モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

樹液酵母のコロニー発見!(妻女山里山通信)

2010-05-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 蕗を採った帰りのことです。冬に切った山藤の切り口にオレンジ色の物体が発生しているのを発見しました。一瞬大きく成長した粘菌(変形菌)かと思いましたが、近づくとすぐにそうではない、これは樹液酵母のコロニーだと分かりました。こんなに大きなものを見たのは、数年前に調布市の野川公園自然植物園の切り株で見た以来でした。

 樹液酵母とは、樹木の切り株や樹幹の傷などから流れ出た樹液(主に糖分の多いカエデやミズナラなどの広葉樹)に天然の酵母が繁殖して発酵。そこにフザリウム属の赤カビが付着して繁殖しコロニーを形成したものです。酵母が発酵したものですから、天然のお酒ができることもあるわけですし、赤カビに毒性がなければ食用にすることもできるわけです。樹液酵母を使って天然酵母のパンを焼いたり、樹液酵母のビールなどもすでに商品化されているようです。

 というわけで、今回の樹液酵母は山藤についたもの。山藤は花も実も食べられます。花は甘い強烈な香りがあるので樹液も甘いはずと、この樹液酵母をすこし舐めてみました。見た目は気持ち悪いと思うかもしれませんが、ピザのとろけるチーズの熱くないものと思えばそう抵抗はありません。

 触感は、表面は以外にしっかりしていて弾力があります。乾いた皮を破ると中は白くトロトロの状態。食べ頃のカマンベールチーズというところでしょうか。香りは思ったほど発酵している感じではなく強烈な匂いもしません。いわゆる樹液の匂いです。舐めたのは、中の白いところをほんの少し。いわゆる樹液の木の香りがする味で、わずかに甘いという程度。まだまだ発酵途中なのでしょうか。

 真ん中の写真ですが、小さなタマバチかコマユバチかコバチでしょうか。観察すると、どうも食べているようです。糖分の多い樹液が発酵したものですから栄養はたっぷりでしょう。酔っぱらったりはしないのでしょうか。妻女山のクヌギの樹液酒場には、カブトムシやクワガタ、オオスズメバチやカナブンなどが集まりますが、この樹液酵母バーにはあんまりお客が来ないようです。ちょっと開店休業の状態。発酵が進めば集まるのでしょうか。また、しばらくして訪れて観察してみようと思います。

 蕗はそろそろ終わりなのでアイコ(ミヤマイラクサ)と独活(ウド)を採りにいきました。遅出のタラノメとウバユリ、アザミも採れました。アイコはくせがなく、お浸しにすると美味です。最後のコシアブラとアクの強いハンゴンソウも少し採って帰路に就きました。

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。
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