なんだか最近、すっかり透明になってしまって自分が本当に存在しているのかどうかすら自信が無い。
いつも諦めるほかなかった気持ちなんて誰にもわかるわけが無いから、きっと今牛が何に怯えてるのかなんて理解されるはずないんだよね。
相変わらずとぼとぼ歩いてたら白黒の猫いっぴき。
「どみっ・・・!」
くるりと振り向いてくれたネコさんはおかっぱ頭じゃなかった。
そのうちパンダに出くわしても呼んじゃうんじゃなかろうか。
ため息。
月は見えない。
歌い散らかす元気もなくて、インプレッサwは暗闇の中で黙ってる。
とても大切で肝心なところでスタックしちゃって動けなくなってる牛。
今なら砂浜で足をとられたEdixの気持ちがよくわかる。
膝を抱えて待ってたらレッカー車は来てくれるかな?
よぅくわかってる。
自分で車に乗り込んで、自分の手でキーを回さない限りインプレッサwは一緒に歌ってくれたりしない。
行く先がどんな道なのか考えて怯えるのかワクワクするのか、それも自分次第。
座り込んでても後ろから背中を小突いてくれる馬はいない。
あの日狩勝峠で、このまま足を踏み出してしまおうとした事を思い出せば何も迷うことなんて無いはず。
モウ少し。
モウちょっとしたらきっと大丈夫。
ちゃんと眠って、ちゃんと食べて、目を覚ましたら牛乳を飲もう。
不規則な鼓動がおちついて、言葉をさえぎる咳が止まったら。
新しい歌を歌うときみたいにちゃんと準備しなくちゃ。
そうか、新しい歌かぁ。
たくさん息を吸って解き放ったら、そこからはじめられるよね、きっと。