苦手。

2012-04-17 17:25:24 | インポート
苦手。
子供の頃、夏の午後にうたた寝して、夕方の暗くなりはじめた頃に目を覚ますと、なんだか無性に寂しくて悲しくてとても嫌だった。

時間はもう流れなくなって、世界には自分一人だけ、そんな瞬間が永遠に続いて二度と抜け出せなくなったみたいで、絶望にも似た気持ちになる。泣きそうになりながら目をこすって自分以外の何かがたてる物音を一生懸命探したんだった。

濃紺から少しずつ明けていく空や、だんだんと暮れて宵に溶ける空を眺めるのは好きなのに。

今でも真夜中の暗闇や夕闇の中で目を覚ますのは苦手で、何もかもが終わってしまったような感覚に陥る。

怖くて悲しくて辛くて、まぶたが熱くなって涙をこらえる。そんな時に枕元にいるどみっさんがふうふうと寝息をたてて眠っているのを見ると、なんだか救われたような気持ちになったものだった。

白々と明ける空の濁りが消えて、青く見える頃にようやく安心するんだ。

まだ、時間は流れてる。少なくとも、ひとりぼっちで取り残されたままで生き続けなくてもいいんだ、と。何の保証もないけれど、そうやってやりすごす。

あの世界の外側に、みんながいる世界があるんだろうか?