香り、音、ぼんやりと。

2005-10-20 23:09:04 | 日記・エッセイ・コラム

昔からお香が好きでしたが、しばらくお香を焚くこと自体を忘れていました。
いろいろあって最近気持ちに余裕が出てきたせいか、ここ数ヶ月はほとんど毎日、寝る前にお香を焚いています。(本当は余裕が無いときこそ楽しみたいですけどね。)

一目惚れしたトカゲのお香立てとセットで買った高価なお香は、時間に余裕が無いときは使いません。
今年のお正月に買った、雑貨屋の福袋に入っていた2種類のお香は、惜しげも無く使ってだいぶ長いこと楽しみました。
大好きなラベンダーの香りのは、定番としてローテーションに入っています。
頂きモノはたいていもらってすぐ楽しんで、半分に減った頃、だんだんもったいなくなってしばらく寝かせて、日をおいて少しずつ使うことが多いです。(貧乏性です。イチゴは最後に食べます。)

子供の頃は真っ暗にして寝るのが怖くて豆球をつけていました。眠る前の香りといえば夏の蚊取り線香ですね。あの匂いをかぐと、未だに遠くの田んぼで鳴くカエルの鳴き声を連想します。
今は完全に明かりを消して床につきます。お香の香りが濃くなり、暗闇に目が慣れてきた頃、猫がやってきて枕もとに丸くなり、ごろごろ言いながら、じき寝息を立てながら寝始めます。たまに寝鳴きしながら。水槽の水音もわずかに聞こえます。それが日常の音になっているので、旅先で眠るときは、むしろ静かすぎて違和感を感じたり。

お香はスティック状のものをお香立てに挿して使います。火が灯った先端部分が暗いなかでわずかにオレンジ色に光ります。
そのお香の火の光は、少しずつ燃えて先端が灰になると少し暗く感じますが、灰が落ちる瞬間、ぽっと強くなるんです。当然といえば当然なんですが、ぼんやり暗闇を見つめて朦朧としているときに、たったそれだけの変化ではっと我に返ることがあります。
普段、些細な何かに気づかずにドカドカ歩くように過ごしているせいか、そんなことがあると「私でもこんな事に気づく事ができるんだなぁ」と感じてしまいます。乱暴ですからね私。

数年前までは、とにかく寝つきが悪くて、でも実際は極限まで睡眠を欲しているので空が明るくなった頃にやっと眠るけれど、眠りに落ちる瞬間、悪寒が走るみたいにザワザワして、やはり目が覚めてしまうなんて事もありました。
最近は上手に眠れます。(コツは眠くなるまでFFXIをプレイする事でしょうか♪)
とろとろと眠気を感じて、あぁ、今一瞬何も考えてなかったなぁと思いつつ、何か漠然としたイメージのようなものが浮かんできたらまもなく夢の世界へ移行します。イメージは、過去に見た夢の一部だったり、見たことがありそうな情景だったり、仕事の一場面なんて時もあります。
そこにお香の香りや水音、猫の寝息が入り混じるあの瞬間。決して悪寒を感じるのではなく、ただ不思議な心地よさがある瞬間。

しばらくまえに誕生日にもらったお香は、「ゆき」というタイトルがついています。
雪のにおいってありますよね。「ああ、雪が降る」と感じる匂い。もちろんそのものではないけれど、寝る前の現実との境目で「あ、ナルホド」と思いつつ眠りに落ちていきます。音もなく、はたはたと降る雪の「音」を連想しながら。
ラベンダーやローズといった単独の香りもよいですが、「何かを想起させる香り」と共に眠る瞬間を感じるのが最近の楽しみです。

明日新しいお香を買ってこようっと。明日は寝待月だそうですよ。