monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「霞の水脈(みお)」という用語

2015年02月24日 | 日本国語大辞典-か行

 日本国語大辞典・第二版では「霞の水脈(みお)」という用語は立項していませんが、以下の複数の用例があります。語釈としては、「霞が流れて筋のように見える部分。また、霞の筋を川に見立てていう。」というくらいの意味でしょうか。

川上霞
八番 右 成茂宿禰
水上や岸の柳のふかみとり霞のみをのしるし成けり
十番 左 頼氏朝臣
朝またき霞のみをも白浪の瀧(ママ)田の川をわたるかち人
(巻第百九十八・石清水若宮歌合)
塙保己一編『群書類従・第十二輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、506ページ
(↑二首目の和歌は新編国歌大観5巻では「朝またき霞のみをも白浪の竜田の川をわたるかち人」となっています。)

ふたもとの-すきのこすゑや-はつせかは-かすみのみをの-しるしなるらむ(壬二集)日文研の和歌データベースより

春雪 民部卿為明
春きても霞のみおはさゆる日に降くる雪の淡ときゆらん
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

わたつうみや-しほのひるまの-はまひさき-かすみのみをや-またうつむらむ(新玉津島社歌合)日文研の和歌データベースより

湖上霞
けさみれは霞のみをにうかひ出てみきはそわかぬしかの浦舟
(巻第二百三十九・為重卿集)
塙保己一編『群書類従・第十四輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、248ページ

山霞
瀧のうへの山はみふねの名もしるし霞のみをはやうかふ也(2ページ)
暮春霞
さてははや霞のみ尾に舟出してかへるか春のすゑの白波(9ページ)
(巻第百六十三・為尹千首)
塙保己一編『群書類従・第十一輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年

春さむき霞のみをにけふしこそ御舟の山もうかふあは雪(草根集)日文研の和歌データベースより
川上の霞のみをにまほかけてうかふ三室の山かつらせり(草根集)日文研の和歌データベースより