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「野上(のがみ)」用例

2015年02月10日 | 日本国語大辞典-な行

 「野上(のがみ)」という単語には、地名ではなく、「野の上の方。」という一般名詞の語釈があります。日本国語大辞典・第二版では、俳諧『望一後千句』(1652年)からの例が早いのですが、さらに、400年ほどさかのぼる用例や他にもさかのぼる和歌の用例があります。

あらたまる春に成るらし冬がれののがみのかたにうぐひすのなく
(14・新撰和歌六帖、第六帖、うぐひす、2583)
『新編国歌大観 第二巻』角川書店、1984年、401ページ

うぐひすは物うかるねにうらぶれて野上のかたに春ぞ暮れゆく
(9・宗尊親王三百首、春七十首、68)
『新編国歌大観 第十巻』角川書店、1992年、120ページ

かすみたつ野がみのかたにゆきしかば鶯なきつ春になるらし
(巻第一・春上、54、読人しらず)
岩佐美代子『風雅和歌集全注釈・上巻(笠間注釈叢刊34)』笠間書院、2002年、63ページ