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「春に合う①」用例

2015年02月21日 | 日本国語大辞典-は行

「春に合う」という語には「①春の季節にあう。」という語釈があり、日本国語大辞典・第2版では『赤人集』(11C初か)から「しをわけてみやこたづねてくるかりもはるにあひてぞとびかへりける」の例をあげていますが、さらに100年ほどさかのぼる用例があります。

春ながらまた春にあふ春日野に生ひぬ草木はねたくやあるらむ
(28・延喜廿一年〔五月〕京極御息所褒子歌合、十巻本、35)231ページ
春ながらまた春にあふ春日野に生ひぬ草木はねたしとや聞く
(28・延喜廿一年〔五月〕京極御息所褒子歌合、廿巻本、35)230ページ
萩谷朴『平安朝歌合大成 増補新訂 第一巻』同朋舎出版、1995年

 943年頃成立かとみられる「敦忠集」にも「まちわひし-はるにあひにし-うくひすは-おとらぬことの-なにかくるしき」(日文研の和歌データベースより)という歌があります。

 平安時代後期の成立とされる「素性集」には以下の和歌があります。
しらゆきとみはふりぬれどあたらしきはるにあふこそうれしかりけれ
(9・素性集、63)
『新編国歌大観3 私家集編1 歌集』角川書店、1985年、28ページ

 さらに成立年として最古と思われるのは、日国用例の異同歌の以下の和歌です。
雲わけて都たづねにゆく雁も春にあひてぞとびかへりける
(40・千里集、117)
『新編国歌大観3 私家集編1 歌集』角川書店、1985年、148ページ