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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 六月十一日 神今食(じんこんじき)

2013年06月11日 | 日本古典文学-夏

みな月のはかげのかづら引きかけてながかれとのみ代をいのるかな
(題林愚抄)

あけやすきころにしあればとりもあへずよひ暁の神の御食薦(みけこも)
(明題和歌集)

左 神今食 入道大納言
更ぬとて今そそなふる坂まくら神もぬる夜の時や知らん
 左神今食は御門の天津神に神供を備奉らせたまふなり。昔は八省中和院に行幸有て。身づから神膳を備給ひける也。今は神祇官などにて有にや。
(年中行事歌合~群書類従)

みなつきのつきかけしろきをみころもうたふささなみよるそすすしき
(拾遺愚草員外~日文研HPより)

 六月 神今食
みな月の月の光もこほりけりひかげかざさぬ小忌(をみ)の袂に
(拾遺愚草員外之外・自筆遺草~「藤原定家全歌集・下」久保田淳校訂、ちくま学芸文庫)

六月十一日は、じんこんじきのまつりなり。上卿土御門中納言・辨。内侍とうよりたちてのち、辨上卿ははやたゝせ給ふ。「内侍とく。」と申し侍りければ、少將内侍、
おそしとは誰をいふらん君をこそ待つらんと思ふ時も過ぎぬれ
歸りまゐりて侍りしに、少將内侍「かく。」とかたり侍りしかば、「上卿よりとくたちて、我こそまちしか。」などかたりて、辨内侍、
いつもさぞ我を待つとはいひしかどまたれし物をさよふくる迄
(弁内侍日記~群書類從)

弘仁五年六月己丑(十四日)
六月十一日に行うべき神今食の祭礼を神祇官で行った。天皇の体調が悪かったことにより延引したのである。
(日本後紀~講談社学術文庫)