monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 夏 氷室

2013年06月01日 | 日本古典文学-夏

道行三人「花の名の。白玉椿八千代経て。白玉椿八千代経て。緑にかへる空なれや。春の後瀬の山続く。青葉の木蔭分け過ぎて。雲路の末の程もなく。都に近き丹波路や。氷室山にも着きにけり。氷室山にも着きにけり。
(略)
シテサシ「夫れは常磐の色添へて。緑に続く氷室山の。谷風はまだ音さへて。氷に残る水音の雨も静かに雪落ちて。実に豊年を見する御代の。御調の道も直なるべし。
下歌「国土豊に栄ゆくや千年の山も近かりき。
上歌「変わぬや。氷室の山の深緑。氷室の山の深緑。春の気色は有りながら。此谷陰は。去年のまゝ深冬の雪を集め置き。霜の翁の年々に。氷室の御調まもるなり。氷室の御調まもるなり。
(略)
シテ「然れば年立つ初春の。地「初子の今日の玉箒。手に取るからにゆらぐ玉の。翁さびたる山陰の。去年のまゝにて降り続く。雪のしづくをかき集めて。木
の下水にかき入れて。氷を重ね雪を積みて。待ち居れば春過ぎてはや夏山になりぬれば。いとゞ氷室の構へして。立ち去る事も夏陰の。水にも住める氷室守。夏衣なれども袖さゆる。気色なりけり。
(謡曲「氷室」~謡曲三百五十番集)

つちさけててるひもしらすきえせぬはひむろはなつのほかにやあるらむ
(堀河百首~日文研HPより)

はるもすきなつたけぬれとひむろやまふゆををさめておけるなりけり
(夫木抄~日文研HPより)

なつなからこほりをりけるおくやまはこのよのほかのここちこそすれ
(為忠家初度百首~日文研HPより)

氷室涼
風さむき氷室のかけの山人はいててやよそに夏をしるらん
(草根集~日文研HPより)

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする