monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

帰雁

2010年03月13日 | 日本古典文学-和歌-春

ひさかたのみどりのそらの雲まより声もはるかにかへるかりがね(新勅撰和歌集)

花の枝(え)にさへづる鳥もあるものを見すててなどか雁のゆくらむ(大膳権大夫行文五十首)

白波のあとこそ見えね天の原かすみの浦にかへるかりがね(新後拾遺和歌集)

うす墨に書く玉づさと見ゆるかなかすめる空にかへるかりがね(後拾遺和歌集)

ほのぼのとかすめる山のしののめに月をのこしてかへる雁がね(続古今和歌集)

聞く人ぞなみだは落つるかへる雁なきて行くなるあけぼのの空(新古今和歌集)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

池田重子の「冬のおしゃれ」に

2010年03月13日 | 読書日記

 池田重子の「冬のおしゃれ」(実業之日本社)という本を読んでいたら、文字が刺繍された着物が紹介されていました(52ページ)。
『「霞の」「たつた山」「神代の」と文字をたどると和歌のようであるが、物語中の和歌か誂え主の自作か定かではない。』と、本に書いてありましたので、インターネットで和歌を調べてみたところ、この三つの単語を含む和歌が見つかりました。ひょっとして、この歌を刺繍したのではないでしょうか。
 春のよの明くるかすみのたつた山これや神代のころもなるらむ

 写真の着物の左前袖には、「なるら(む?)」らしき文字もみえているので、ほぼ間違いないと思われます。(物語和歌や近代和歌は検索してませんが。)
 出典は、遠島歌合(えんとううたあわせ、嘉禎2年7月)のようです。「夫木抄」にも採られていて、春の部の「霞」の題です。着物の地模様を「霞」に見立てているのではないでしょうか。

 そうそう、本のタイトルが「冬のおしゃれ」なので、旧暦10~12月の和服の着こなしを見ることができると思ってたら、違いました。正月から初春のよそおいがメインで、ちょっと肩すかしを食ったような気分です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする