
元旦から7日に掛けてスペイン・ツアーに行ってきました。一昨年の秋に、まだまだ先の見えなかった母の介護の中休みという意味で、姉達に無理を言って介護スケジュールを1週間空けてもらい友人と行く予定にしていたものです。でもその時は、母の容態が一時的に急変して行けなくなってしまったのですが。
成田からフランクフルト経由でバルセロナに向かう途中、スイス上空で夕焼けに輝くアルプスの山々が眼下に広がり、それはそれは綺麗でした。フランクフルトで飛行機が30分遅れたために出会えた夢のような景色に、寒くて天気が悪いと言われていた今回の旅行に幸先の良さを感じたものです。

バルセロナではガウディが手掛けたサグラダファミリアとグエル公園、カサ・ミロを駆け足で見学。モンセラートの岩山をモデルとしたとも言われる独特の外観を持つサグラダファミリアですが、内部は林立する細めの白い支柱が上部で枝分かれして入り組み、大小様々なステンドグラスが点在する明るく清冽な世界。2ヶ月前のローマ法王の来訪に合わせて祭壇が完成し、その周りが整備されたというラッキーな面もあり、離れた部分には足場が掛けてあったり、ステンドグラスの半分以上が未だ透明ガラスのままというように未完成の部分も多いながら、完成時の素晴らしさを想像するに難くないものでした。完成予定は2026年とのことですから後15年。ニュースで見ることになるのでしょか。

バルセロナからはバレンシアで1泊してグラナダに。長時間のバスでの移動では、右手山側は(米国の)モニュメントバレーやザイオン国立公園のような荒削りの岩山が延々と続く中、山頂に砦の跡が出現したり、麓に小さな街が広がったり。また左手には果てしなく広がる草原に、作業小屋なのか白い壁の建物がポツンポツンと点在して、中には壁が崩れるままに放置されているのもあり風情たっぷりでした。


グラナダではまず雪で白く輝くシェアラネバダ山脈を背景にアルハンブラ宮殿が見える撮影ポイントに行ってから宮殿に移動。“アルハンブラ”は“赤い城壁”を意味するとのことですが、外観は赤レンガなどを使った頑強な砦風。でも宮殿の内部に入ると雰囲気が一変し、壁という壁は優美で繊細な彫刻(アラベスク)で覆われつくされ、その要所要所に色タイルが配置されるという、権勢を誇った王様の宮殿の名に恥じない華麗さでした。

前述の撮影ポイントは古く美しい街並み(アルバイシン地区)をはさんで宮殿の対岸の山際にあり、昔は洞窟に人々が住んでいた地域。今は洞窟を利用してフラメンコ・ショーをやるレストランなどがあり、そこで見たフラメンコは手拍子と足踏みが主体のドメスティックで華美さのないもの。長距離移動の疲れで半分寝てしまい、秘めた情熱をうまく感じ取れなかったのが悔やまれます。

グラナダからはラマンチャを経由してマドリッドまで移動。車窓にはオリーブ畑がどこまでも広がり、その広さと足場の悪そうな山麓にまで畑を作り上げた執念に感嘆すると共に、木の下に布を広げて枝を叩いてオリーブの実を落とすという収穫作業をこの全ての木で行うなど信じられない思いでした。
北上するに連れてオリーブ畑にブドウの木も混じり始め、ラマンチャ辺りからは牛や羊、馬の放牧が所々に見られる荒野に変化。何でも“ラマンチャ地方”というのは変化の無い荒野が果てしなく続くので、“退屈なもの”の比喩に使われているそうですが、初めて観る景色は全て新鮮で退屈している暇はありませんでした。

ドンキホーテで有名な風車は、そんな延々と続く荒野の中にところどころそびえる岩山の上に数基ずつ点在。風を受けて回る風車は風の強い高い所に設置するという訳で、言われてみれば当然のことですが、なかなか絵になっていました。(残念ながら下からの写真は撮れませんでしたが。)(四女)
