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前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

2012年3月県議会 予算特別委員会  原発問題、新幹線問題

2012年06月21日 | Weblog
2012年3月県議会 予算特別委員会

「原子力行政について」           佐藤 正雄 委員

◯佐藤委員  日本共産党の佐藤正雄である。
 まず、原子力問題について質問する。
 先ほど農業問題の質問があったが、福島県の農民の方が書いた詩を紹介したい。「田畑を耕すことをとめられ、家畜と引き離され、村を追われた人たち。海を、大地を、水を、空気を、故郷を汚した者たちを決して許さない」という詩である。福島原発事故は、農民だけではなく、中小業者、自営業者、普通の年金生活者を含めた福島県民、また、福島県民だけではなく、重大な影響を及ぼしている。
 1年前の福島原発事故は、広島型原爆の20個分、セシウムでは168個分という大量の放射性物質をまき散らかした。15万人以上の人々が生活手段の一切を捨てて、ふるさとを追われたままさすらわなければならず、人生を根底から狂わされている。あらゆる分野に被害が及び、福島県内全体の産業活動は停滞、縮小し、人口減少もとまらない。34年前の人口と同じになってしまう、人口が半分に減るのではないかという試算まで、先日マスコミでは報道されている。1年たっても、事態は全く改善していない。そうした原発事故であり、野田総理の事故終息宣言の撤回を求める声が起こっている。福井県もそうであるが、福島県にも縄文のはるか昔から人々の営みがあったわけである。人が住めないといった、まさに日本の歴史始まって以来の取り返しのつかないことを残念ながら私たちの世代が引き起こしてしまったと言える。とりわけ福井県の嶺南地域、豊かな若狭地域には縄文の時代からの営々とした営みがあったことがいろいろな遺跡によって明らかになっているが、私たちはこの地域をこのような同じ惨害に遭わせてはならないと思う。そのために、やはり私は原発からの撤退を決断すべきだと思う。
 こういう立場から、知事に何点か質問する。こういうひどい福島原発事故が起こったが、改めてこの責任はどこにあると考えるのか。

◯知  事  今回の福島の原子力発電所事故などの全般的な問題であるが、原発の安全対策について、国や電力事業者に大きな油断があり、また事故発生直後の最初動の対応にも不注意があったと思う。
 国や電力事業者は福島事故の貴重な教訓を生かして、責任ある安全規制体制をつくり、安全対策のさらなら強化に全力を尽くす必要があると考える。

◯佐藤委員  知事はそういう立場で、福島事故での知見に基づいた暫定基準を求めており、国が再稼働について判断することを求めているが、総理大臣とか経済産業大臣とか関係の国の責任者が政治的に再稼働を決断し、福井県にその了解を求めてくるというような局面も予想される。県民の安全を考えて、その内容が不十分だというときには当然、そのことを拒否するつもりかどうか確認したい。あわせて知事が要求しているいろいろな基準、暫定基準を含め、国の監督する組織体制について、どのように求めていくのか。どういう体制があれば、そのことが担保されると考えているのか、二点尋ねる。

◯知  事  まず、国から考え方が示された場合にどう考えるかということであるが、原発再稼働の判断に当たっては、2月23日に牧野経済産業副大臣、神本文部科学政務官に対して要請したところであり、繰り返しになるかもしれないが、原子力発電の意義、原発再稼働の必要性に対する国の確たる見解、地震により重要機器の損傷がなかったと推定されることなどの知見に対する国の見解、福島事故の教訓や知見を反映した暫定的な安全基準の早期設定とスケジュールの明確化、日本海側の地震・津波の調査研究などの科学的知見の反映、こうしたことについて、国が責任ある回答を示す必要があり、県としてその実効性を十分確かめていくということになる。
 また、暫定基準の問題に関連し、監督する組織体制についての質問であるが、国は今回の事故により損なわれた原子力の安全に関する信頼を回復し、その機能を強化するため、規制・利用を分離し、規制を一元化する観点から原子力規制庁を設置する法案を閣議決定している。その際には、原子力に関する深い知識と経験を有する人材が登用される必要があり、これが国民から信頼される、責任ある体制として確立されることが重要である。そういう期待もしているし、そして全体として政府が総合的な統制というか、判断を行うということが大事であると考える。

◯佐藤委員  先日、原子力発電・防災対策特別委員会も傍聴したが、福井県はストレステストの一次テストの結果に注目しており、福井県がかねてから要求している暫定基準がどういう形で示されてくるのかによると答弁されていた。この二つをセットで判断するということで間違いないか。

◯安全環境部長  今ほど知事から答えたが、ストレステストについては国のほうが評価するし、暫定的な安全基準も必要であるが、原子力発電の意義、原発再稼働の必要性に対する国の見解、さらにこの暫定的な安全基準についてスケジュールの明確化、重要機器に損傷がなかったとされることの知見に対する国の見解が全体として示されることが必要だと考えている。

◯佐藤委員  ストレステストの審査の結論がきょうにも出るのではないかというマスコミ報道があるが、安全委員会の委員長は「安全委員会が要請した安全評価は一次、二次セットであり、セットでやってもらわないといけない。一次だけでは総合的な安全評価としては不十分だ」と述べている。これは福井県の判断にどう影響するのか。

◯安全環境部長  ストレステストについては、一次評価では、安全上重要な機器が設計上の想定を超える事象に対し、どの程度の安全裕度を有するかを評価する。二次評価では、試験で確認された実際の材料の強さを基準として、機能喪失に至るかを評価するとされているが、この二次評価の時期や、どうやって行うかの手法については、現在明らかにされていない。
 県としては、原発の再稼働については、当初からストレステストの結果だけで判断することは不十分であるとしており、本県はこれまで一貫して求めてきたとおり、国が福島原発事故の知見を反映した暫定的な安全基準示すことが大前提と考えている。
 なお、原子力安全委員会の委員長の発言に対して、藤村官房長官は2月21日に、事業者が行った一次評価を原子力安全・保安院が評価し、さらにその妥当性を原子力安全委員会が確認した上で、地元の理解を含めて、政治レベルで総合的に判定するとしている。

◯佐藤委員  国はわざわざ、テストを一次、二次に分けた。さきの答弁にあった原子力に精通している人材、有能な人材と言えるかどうかは別として、一応そういう人材とされている安全委員会のトップが、一次、二次がセットでないと総合的な安全評価としては不十分だと考えている。そういう考えは違うと言いたいのか。

◯安全環境部長  安全委員会は、当初から一次、二次が必要だと言っているが、再稼働の判断に当たっては、政府は一次評価の結果をもとに判断すると言っている。
 本県としては、もともとストレステストというのは、机上のコンピュータのシミュレーションであるので、それに重きを置いているのではないということを説明申し上げた。

◯佐藤委員  ストレステストに対する県の批判はよくわかる。とにもかくにも一次、二次はセットだと言っている。しかも、本来、去年の末が提出期限だと言われていた。関西電力は出していない。ほかの電力会社も出していない。どこの電力会社も出していない。去年の末が期限のテストを出してこないのは、再稼働の判断に関係ないからである。だから、いまだに国から言われたことだけをやっている。国から言われなくても、県民、国民の安全のためにこういう仕事もしておかないといけないという立場に立ってないのではないか。違うか。

◯安全環境部長  委員御指摘のとおり、原子力の安全については、事業者はみずから、当然国の指示を待つことなく積極的にやらなければいけない。これは大切な姿勢であるし、私どもも人員の確保などについて事業者に対応を求めたところである。
 今回のストレステストについては、確かに昨年の年末までに二次までの評価をするという指示が出ているが、もともとストレステストをどうやるかということについては、日本で初めて導入されたものであるし、事業者の理解がなかなか進んでいないこともあり、国からどのようにやるかという指示も出ていないので、進んでいないのが実態であると理解している。

◯佐藤委員  いかに国がいいかげんかということを部長は言われたと思う。そういうように何の責任感もない国の原子力行政だということを逆に裏づけた答弁だと思う。逆に言えば、一次テストも信用できないということである。
 次に、枝野大臣は、さきの議論にもあった大飯原発の近くの海底断層FO-A、FO-Bと熊川断層の連動について「バックチェックをして、1.8倍の余裕が小さくなることもある」と言っている。当然、連動することを考えれば余裕が小さくなるのは常識というか、普通の理解だと思う。
 こういう形で関西電力が県の委員会、あるいは県議会に対して、原子力安全・保安院が説明した1.8倍の余裕に関し、原子力安全・保安院が妥当とした余裕が小さくなると、県の判断にどう影響するのか。

◯安全環境部長  ストレステストの倍数であるが、もともとは、その基準となる地震動の何倍まで耐えられるかという倍数を出したものである。先ほどから申し上げているが、ストレステストにより出た倍数に意味があるのかどうかということについては、かねてから私どもだけでなく、学者の方も議論にのせているところである。
 ただ、絶対的にどこまで耐えられるのかというシミュレーションは、それはそれで意味のあることだと思っているが、基準が見直されれば、その倍数が変わるのは当然であり、その辺の知見については、国がしっかり審査してほしいと考えている。

◯佐藤委員  こういうテストと倍数に意味があるのかというような答弁であるが、一体我々県民は何をもとに安全になったと判断できるのかということになる。部長の言われるのはそのとおりであり、枝野大臣も「ストレステストを行ったからといって、それだけで安全性が確認されるものではない」と国会答弁ではっきり言っている。
 だから、逆に言えば、大臣も、部長と同じとは言わないが、「ストレステストをやったからそれで安全が確認されたというわけではなく、余り過信しないでほしい」と言っている。
 こういう国のストレステストの結果に対し、福井県が国のやり方だけでは駄目だといろいろ注文つけているのはわかるし、福井県の注文というのは妥当だと思うが、本体の国が、大臣がストレステストをやっても安全性が確認されたわけじゃないと平気で言うような国の原子力行政は信用できないし、その結果も信用できないということになるのではないか。

◯知  事  余り極端な物の言い方はどうかと思うが、我々としては、ストレステストについてはしっかり進めてもらいたいと思う。
 さらに、我々としては福島の知見をいかに反映させるかということで、さきに申し上げた4項目、あるいは5項目、それぞれスケジュールも違うが、それをきちっとしっかり進めていただき、それをもとに政府の責任ある見解、いろいろな方がいろいろなことを言われるかもしれないが、責任ある見解を国民の前に示すということが大事であるということを求めている。

◯佐藤委員  何も極端なことを言っているのではない。経済産業大臣の国会答弁である。経済産業大臣が国会答弁で、「ストレステストをやったからそれだけで安全性が確認されるというものではない」と言っている。僕が極端なのではない。経済産業大臣の答弁だから、知事も信用できなくなるのではないかと尋ねている。

◯知  事  そういうことを申し上げているのではなく、全般的な発言に対して、その発言の真意のもとに言っていただいたほうが議論がかみ合うのではないかと申し上げている。

◯佐藤委員  部長も枝野経済産業大臣もストレステストだけではきちんとしたサンプルにはならないということをわかって言われていると改めて私は痛感した。
 次に、斑目安全委員会委員長は、非常に反省され、大分お疲れでもうやめたいと言われているみたいである。斑目委員長は国会で「シビアアクシデントについてはIAEAでは規制を検討しているが、平成4年に日本では事業者任せにしていた。深く反省している。それから今回の全交流電源喪失については、その可能性は非常に低いということで、真剣な検討を日本ではしてこなかった。非常に深く反省している」と答弁している。だから、やはりでたらめな安全委員会だったということが言える。全く規制が効いていなかった。委員長自身が国会で謝罪している。
 そうなると、安全委員会が中心になってつくってきたいろいろな耐震とか原子力の指針のたぐいの見直しが始まっているが、こういうものがきちんと整合性がとれて、新しい規制体制のもとでつくり直されないと、安心して再稼働議論に進めないのではないか。

◯安全環境部長  規制の全体について、すべて見直されなければ安全が確保されず、再稼働はできないという考えでなく、私どもとしては基本的なところの安全が確保され、その後、判明した知見については順次対応されていくことで安全性が確保されていくという考え方をとっている。

◯佐藤委員  基本的と部長は言われるが、指針は基本である。基本中の基本で斑目委員長は反省しているわけであり、基本がおかしかったと言っている。

◯安全環境部長  その意味は、今回の福島ではどういうことにより事故が起きたのか、また、その対策はどうかというのが今回の事故を踏まえた、まさに基本のところと考えている。そこのところについては、全電源喪失あるいは津波対策等々の対策が国の意見聴取会等で議論されていると考えている。

◯佐藤委員  そういうものがきちんと日本の指針には反映されていないということを安全委員長みずからが謝罪されているわけだから、やはり福井県民の安全を守るという立場に立って、そういう議論を精査し、それまで再稼働の判断はしないというぐらいのことを求めておきたい。
 あわせて、もう一つ大事なのは、これまでも議会でも繰り返し取り上げられてきた地域防災計画の問題である。
 細野原発事故担当大臣は、新しく法制度を発足させた上で半年ほどかけて新しい指針を踏まえた防災計画をつくると国会答弁している。
 だから、ハード面では、例えば関西電力、原子力安全・保安院がいろいろやって、県の求めるものが出されてくる。しかし、もう一つの住民との関係の防災計画は、半年ぐらいたたないと新しい指針を踏まえたものが提起できない。そうなると、建物はそれなりに県の求めに応じたものになるが、肝心の住民避難の関係、防災計画の関係はまだ整わないということで間違いないか。

◯危機対策監  現在、福島の事故を教訓にして、防災指針を見直しているところである。
 県もその防災指針の完成を待つことなく、今やらなければならないこと、福島の知見を踏まえてどういうふうに防災計画を見直していくのか、鋭意作業をしているところである。

◯佐藤委員  不十分なままの再稼働は駄目だということである。そういうものがきちんと、いざというときの体制も整えてからそういう議論をしなければいけない。
 先ほど市議会議長会の話があった。敦賀市議会から出された意見書について、ほかの市長が反対し、結果的に否決された。これは、非常に大事な問題だと思う。知事も読んだと思うが、前の来馬原子力安全対策課長が一昨年本を出された。私も一昨年買って、読み、今回質問の前にもう一回読んだ。来馬課長は「原子力という公共性はオセロゲームに似ている。幾ら一市町村が賛成しても、周りの市町村が反対すれば無意味だ。もちろん福井県はオセロゲームで言うならばほぼ真っ白だ。要するに推進派である。しかし、高レベル廃棄物の最終処分場をめぐり、ある県の候補であったまちが、周辺自治体からの反対で候補から取り下げられたように、福井県もまた大きなオセロゲームの中にいる」と言っている。ゲームに例えるのはどうかと思うが、いずれにしても来馬課長は「君は原子力を考えたことがあるか」という著書の中で、このように表現されている。
 来馬課長の言い方を借りれば、これまでは真っ白だったかもしれないが、今は黒い石がどんどん打たれている。ぱっと真っ黒になるかもしれない。そういう局面が県下の九つの市の市議会議長会での結論だと思う。知事はどのように認識されているか。

◯知  事  趣旨がわからない。

◯佐藤委員  要するに来馬課長は、これまで福井県は大体全市町村そろって、原発推進という立場で進めてきたが、実際には、どこかの県で一つでも反対が起こり、周りの市町村が反対すれば、うまく進まなくということを書いている。そのとおりだと思う。
 だから、今回、原発立地の近くの越前市や小浜市を含め、もちろん嶺北の市も含め、やはり原子力政策は見直すべきだという声がほうはいとして上がっている。知事はどのように認識されているか。

◯知  事  今、例に取り上げられた著書についても、そのような単純なことだけを書いているわけではないし、いろいろことを総合的に書いている。その中での議論であり、もちろん我々は安全神話をずっと信じて仕事をしてきたわけではない。何十年にわたって責任を持って、立地あるいは周辺地域等々と十分な議論をしながら今日に至っている。そういう実績をしっかり理解願いたい。

◯佐藤委員  福島県もそうである。立地町はもちろん、ほかの市町も福島県庁の言うことを信用してきた。その結果が今度の事故である。
 だから、今度の結果を受けて、福井県内の市町も本当に大丈夫かと心配し始めている。そのことを知事は感じないのか。

◯知  事  福井県は、福井県のみならず、議会もそうだし、市町もみずからの立場で住民の安全を守りながら原子力発電所の問題に取り組んでいる。私どもだけが何か特別なことを市町に指示したり、そんなことをしているわけではない。

◯佐藤委員  私はそういうことを言っているのではない。福島原発事故を受けて、これだけ心配の声が高まっている。県民はもちろん、県民だけでなく、自治体の首長、市長、あるいは議長、議員の中にもそういう不安の声が高まっているということを当然感じているから、知事も慎重になっているのだと思う。
 だから、そういうことを踏まえ、かねてから要求しているように、説明会を開くとか、以前開いたようなフォーラム形式にするかどうかは別にして、やっぱり県民が不安に思っているときには県が積極的に前に出て答えてもいいのではないか。

◯知  事  そういういろいろなことがあるから、国に対してさまざまな条件なり、あるいは安全の基準なり、それ以外にも原子力事業者のいろいろな課題や、避難道というか制圧道路の問題や、さまざまなことを総合的に議論しながら進めているのであり、それをもとに今回の再稼働の問題やその他について県民の信頼を得る形で方向性を出したい。

◯佐藤委員  きのうの原子力発電・防災対策特別委員会で最後に中川委員長も言っていたが、なぜ避難道をつくるのかというと、それは事故が起こる可能性があるからである。やはり、そういうことを不安に思うわけで、それに応えてきちんと、道路をつくったからもういいだろうではなく、仮に避難道をつくっても、県民に対してきちんと説明責任を果たしていくことを求めておきたい。

        「新幹線・並行在来線経営分離について」
◯佐藤委員  次に、新幹線の問題である。
 北陸新幹線により県民の利便が向上すると福井県はこれまで広報しているが、福井駅から東京駅、南越駅から東京駅、敦賀駅から東京駅、いろいろなことが考えられるが、こういうケースについて、現行の東海道新幹線の利用と比べると時間がどれだけ短縮されるのか。また、料金がどれだけ安くなるかという利便性はいかがか。

◯総合政策部長  今回、「ひかり」と「こだま」と、それより速い「のぞみ」タイプの中で「ひかり」の時間がクローズアップされて報道されていたようであるが、最速タイプの「のぞみ」タイプで計算すると、福井駅から東京が現行3時間28分であるのに対し、最速タイプで2時間52分で約36分短縮、料金は現行片道1万4,260円に対し1万3,840円で420円安くなるという試算である。
 また、同様に南越駅から東京については、現行では武生から東京駅間が3時間20分であるのに対し、最速タイプと緩行タイプの「こだま」タイプを乗り合わせると約3時間9分で11分の短縮となる。料金については現行1万3,940円に対し、1万4,160円と220円のプラスである。
 敦賀駅については、現行3時間に対し、最速タイプで3時間8分で8分のプラス。料金は1万3,210円に対し1万4,370円と、1,160円のプラスとなる。
 なお、今回の国の試算については、費用対効果の確認のため、やや堅めに試算されている旨報告されており、実際のダイヤや料金については、開業直前に運行主体であるJRによって決められることから、ダイヤや料金が県民にとって利便性のあるものになるよう強く求めていきたい。

◯佐藤委員  こういう数字がきちんと県民に示されると、県全体、県民の全体益から見れば時間短縮効果もなかなか厳しく、料金が値上がりするところも出てくるわけだから、厳しいというのが実感だと思う。
 例えば、最速タイプの「のぞみ」タイプの県内の停車駅はどこを想定しているのか。

◯総合政策部長  最速タイプで言えば、県庁所在地の福井駅、終着駅の敦賀駅ではないかと考えている。

◯佐藤委員  先日の新幹線・地域鉄道調査特別委員会の中で、「大宮駅どまりということが一部で言われたが、その可能性があるのか」という質問に対し、部長は「議論の中ではそういう話は出ていない」という答弁であった。
 これは、あり得ないという意味か、それとも議論されていないだけで、あり得るという意味なのか、どちらなのか。

◯総合政策部長  あくまで東京から敦賀まで直通で来るということしか考えていない。

◯佐藤委員  ところが、平成12年の福井市議会で福井市の都市戦略部長は、「新幹線のダイヤについて、繁忙期には一部大宮駅発着となることもあるかもしれないが、通常期には基本的には東京への乗り入れが確保される」と答弁している。福井市の部長は、一部、埼玉県の大宮駅発着の新幹線ダイヤとなることもあると答弁しているが、この認識の違いは何か。

◯総合政策部長  福井市の部長の答弁の趣旨はよくわからないが、我々は東京駅から敦賀まで直通としか聞いていない。

◯佐藤委員  こういうことも含め、福井県庁、福井市役所がそういう大事な問題で答弁が違うということでは利便性の問題が大きく変わってくる。埼玉の大宮駅でおりて、乗りかえて東京に行かなければいけなということになると、時間短縮効果が飛んでしまう。そういうことも含めてきちんと精査してほしい。

◯総合政策部長  今のような事実を我々は聞いていないので、精査をするも何もないと思っている。

◯佐藤委員  福井市の部長が議会でいいかげんな答弁をしたと言いたいのかもしれないが、必ずしもそうではないと思う。
 私も直接国土交通省へ行って、こういう問題が本当に起こるのかということで確認したが、福井市の部長の答弁のように、もちろん全部が大宮駅どまりにはならないが、あっちでもダイヤが込み合って、ふくそうしているので、繁忙期にはそういうこともあり得るというのが国土交通省の回答である。国土交通省がうそをついているのか。

◯総合政策部長  今、小委員会などでも盛んに議論されているが、そういう話題は一切出ていないので、我々としては全く承知していない。

◯佐藤委員  議論のテーマになっていないということと、そういう問題が起こり得ないということとは別だということで、最初に私は質問した。やはり、こういう問題にもきちんと対応して、県民に説明してもらいたい。
 次に、三セク化の問題である。一般質問でも取り上げたが、沿線自治体の住民の多数は、そもそもこの北陸線がJRから切り離され、三セクになるということを知らないことが多い。一体どういう形になるのか、どういう姿になるのかということが示されないまま、先日、知事と沿線の市町長がJRからの経営分離の合意をしたことは大問題だと思う。このように、住民への説明責任を行わない行政でいいのか。

◯知  事  先般の県と沿線市町による合意であるが、新幹線着工の基本的条件である並行在来線の経営分離の同意に当たり、経営分離後も地域で存続を図ること、それから認可後に対策協議会を設置することなどを改めて確認し合ったものである。
 並行在来線は県民の日常生活に欠かせない重要な交通手段であり、これまで新幹線の必要性とあわせ、ホームページ等各種広報手段、職員による出前講座などを通して先行した他の県の事例を説明するなど、幅広く理解を求めている。
 新幹線の早期開業に向け、認可後も円滑な事業進捗を図っていくためには、まず、何よりも県民の理解と協力が必要であるので、引き続き県民に十分な理解を求めていきたい。

◯佐藤委員  マスコミによれば、沿線自治体だけではなく全自治体に負担を求めると報道されていた。
 では、沿線自治体以外の、例えば大野とか勝山とか永平寺等の了解はとれているのか。また、沿線自治体以外の市町に対して、いつ説明しているのか。

◯総合政策部長  対策協議会にすべての自治体に参加してもらうかどうかについては今後議論していくということを言っただけである。一部マスコミ報道で全市町の参加を求めるという報道もあったように聞いているが、これは石川、富山の例を参考として出した際に富山県の例を引っぱられ、そのように受けとめられたと思っている。
 我々としては、これから協議していきたい。

◯斉藤委員長  以上で佐藤正雄君の質疑を終了した。
 ここで休憩する。再開は午後1時とする。

2012年3月県議会 厚生常任委員会。 原子力行政、原子力防災など

2012年06月21日 | Weblog
2012年3月県議会 厚生常任委員会

◯大久保委員長  それでは、平成23年度関係の第92号議案のうち、安全環境部関係の所管分について、各委員より発言を願う。

敦賀民間処分場
◯佐藤委員  敦賀市民間最終処分場の2月補正予算で4,400万円減額になったが、これは実績に伴う減額であると思うが、内容はどういうことか。

◯循環社会推進課長  水処理施設が本格稼働しているが、この施設の維持管理経費の減である。具体的に言うと、例えば、薬剤や活性炭の減とかである。入札をして薬剤等を購入しているが、その入札差金に伴う減額であり、この水処理施設で4,400万円余りの減額である。

◯佐藤委員  この調子で進めば、全体事業費が少し圧縮されるのか。

◯循環社会推進課長  全体事業費というのは継続費の102億円のことかと思うが、現在、継続的に実施している事業であるので、102億円は国の特別措置法の計画で承認をいただいていく事業額である。
 実質的には、最終的に平成24年度までには102億円以内でおさまる予定である。

◯佐藤委員  国等の特措法の範囲の102億円は、今年度も同じようなペースで進めば、また何千万円かを国へ返還することも発生するのか。

◯循環社会推進課長  国への返還ということではない。102億円という枠が認められているということである。

モニタリングポスト
◯佐藤委員  わかった。
 次に、モニタリングポストの整備事業約8億円は、県内で何カ所ふやすのかということと、あと箇所の特徴の2点を聞きたい。

◯原子力安全対策課長  今回、増設するモニタリングポストの整備事業は、国の4次補正として、これまでは発電所から10キロ圏内を主に国のモニタリングの対象範囲としているが、それを30キロまで広げるというものである。10キロから20キロ、さらには20キロから30キロと、大体10キロ単位の範囲で、発電所を中心にして国が16方位に分け、県内では21局を増設したいと考えている。
 場所としては、越前町、越前市、南越前町、それから敦賀市以西の嶺南地域の各市町であり、台数としては南越前町で5台、あと嶺南地域では1台ないしは3台、それぞれ台数はいろいろで、既設の物とのポイントもあるため、オーバーラップ等を避けるようにして、16方位の中で設置場所を決め、設置を考えている。

◯佐藤委員  たしか、県庁の県民ホールにもモニタリングポストの状況を見られるものがあるし、もちろん原子力安全対策課にもあると思うが、そのポストがふえれば、いろいろとデータ量がふえるので、受ける側の容量を増強することはしないのか。

◯原子力安全対策課長  現実的にモニタリングポストの設置になるので、それに合わせて全体的な表示装置、データ収集など、全部を平成24年度の中で包括して表示できるように変えていきたいと考えている。

新エネルギー、再生可能エネルギー
◯佐藤委員  山本正雄委員の質問に関連し、正式名称は忘れたが、十数年前に当時の栗田知事が、新エネルギーに関するビジョンをつくり、福井県としての目標数値を出したことがある。だから、今ほどの事業化の先行きがわからないという答弁は、現状としては、福井県としては結局後退している。
 なぜかというと、エネルギー研究開発拠点化計画のように、原発に頼る、偏った計画に頼ってきたから、新エネルギー、再生可能エネルギーという点で、福井県の視野が向いていなかったという問題がある。そういう認識はあるか。

◯環境政策課長  佐藤委員から指摘をいただいたのは、平成12年に県で定めた「福井県新エネルギー・省エネルギービジョン」のことかと思う。
 以前、委員から一般質問があったが、例えば太陽光発電については、平成22年度までの目標ということで、3万3,000キロワットを掲げたが、実績が1万9,000キロワットという形で達成していない部分もある。他方で、風力発電については3,000キロワットを目標に掲げていて、現在、県内に2万1,800キロワットが導入されている。
 そういう意味では、もちろん、これからどういう目標を掲げていくかは検討していかないといけないところだが、県の取り組みだけではなく、技術的な面、あるいは国の方針も含め、当時と比べると大きく状況が変わっていることも事実かと思う。
 そういう意味で、当時の目標を達成できたか、できていないかだけではなく、今の状況を踏まえ、どういう目標設定にしていくべきかを今後考えていきたいと思う。

◯佐藤委員  当然のことだと思うが、県の今後の見通しだけではなく、どういうような方向でやっていくのかと同時に、可能性というものがある。
 例えば、石油、ウランなどの資源は限りがあるが、地球がある限り、太陽と風と水は尽きることはないので、県としては、原発のように1カ所で強力な電力をつくり出すことはできないが、地産地消という発想であれば、可能性は広く薄く無限にあるのがこの分野であるので、そういう趣旨を環境政策課長も議会でも答弁していたかと思う。エネルギーに関して、もう少し真剣に具体化する姿勢が足りないのではないか。

◯環境政策課長  可能性については、さきの本議会の一般質問でも佐藤委員から質問をいただいた。例えば太陽光だと、県内だが、48万キロワット、風力であれば175万キロワット、中小水力であれば33万キロワットというデータが環境省の調べで出ている。
 ただ、そのデータはあくまで机上の計算であり、例えば小水力であれば、ただそこで水が流れているというだけではなく、本当に発電機を設置できるか、あるいは送電線までの距離を考えて、経済的に事業として成り立つかといったことが盛り込まれた数字かと言うと、そこまでではない。
 実際、中身の数字を見ながら認識しており、来年度の地域主導型事業を考えていく中で、そういう問題も浮き彫りにしていきたいと思っているし、逆にこういう場合には設置できるのではないかということをパターン化していく。そういうことができれば、大きく展開することも図れるのではないかと思っている。

◯佐藤委員  課長がそういうことを言っているのでは、非常に寂しいと思う。
 だから、デメリットを言ったら切りがないので、なかなか原発に頼れないということなら、可能性に向けチャレンジしていくしかないのだから、それを大いに切り開いてということで取り組むことが必要だと思う。
 それから発電だけではなくて、熱利用がある。だから、福井県の研究所でも地中熱利用を公共施設ではやっているが、そういう点ではいろいろな使い方がある。福井県の農協が普及させた太陽熱給湯器は、東京都が積極的に補助していた。もっといろいろな会社でも使うようにするには、いろいろな工夫があるわけで、そういう点をもっと考えないといけない。
 デメリットがあるから、ポテンシャルどおり進まないでは、非常に寂しい話である。

◯安全環境部長  今の話は、デメリットではなくて、現実の話をまじめに考えるかどうかだと思う。幾らポテンシャルがあっても事業化できなければいけないので、その辺をまじめに考えていきたいというのが今の環境政策課長の答弁である。
 その辺を考えたときに、例えば、いろいろな資源でも物理的にはできたとしても、では経済的に採算性がとれるかどうかで、資源が変わるわけである。その辺のことを課長から答弁申し上げたということで、その辺がもちろん過去に計画をつくり、達成したもの、達成しないものがあるが、今回、さらに各地域でどれだけのものが事業化できるのかは、今ほど課長が申し上げたように、地元とも調整や調査もしながら、環境基本計画の議論の中で数値目標も含めて、議論していきたいと思う。

原子力広報安全等対策事業
◯佐藤委員  14ページ、原子力広報安全等対策事業費は、従来とは内容をどのように変えるのか。原子力・エネルギー学習環境整備事業は、一般質問で聞いたときに、教育長からは高校生についてはそういう授業はもうしない、原発見学はしないという答弁があったと思うが、この事業はどういう対象なのかというのが2点。それから、一番下のSPEEDIの維持管理は、今回の福島原発事故を受けてシステムの拡充はしないのか。この3点を伺う。

◯原子力安全対策課長  広報安全等対策事業については、実態としてはあっとほうむを中心とした広報事業を考えていて、従来は、例えば、発電所施設やあっとほうむを見学するアトムバス90台ほどを計上していたが、今年度からは、福島原発事故もあってその台数が比較的少なく推移しているということもあるし、また放射線にかかわる体験教室も今回の事故を踏まえてやっていくのがいいのではないかということで、広報事業自体は、例えば広報誌であるとか、原子力講座、化学実験教室、放射線の体験教室、それにアトムバスも計画しているので、従来どおりの計画を予定している。
 それからもう1点、原子力・エネルギー学習環境整備事業についても、従来どおりの小学校が団体で使うバスであるとか、エネルギー体験教室は、学校においてやる授業の経費について計上している。
 3点目の緊急時対応システム整備事業は、あくまでも県と国とのシステムを結ぶための保守契約、専用回線の使用料であって、システムそのものは国のものであり、今回の変更に伴う経費はこの予算の中には入っていない。

◯佐藤委員  最初の広報事業だが、あっとほうむ内のいろいろな展示物は平成24年度でどのように変更されていくのか。要するに、そういう原発事故を受けた内容にふさわしく変更されていくのか。
 また、小学生の団体見学でアトムバスを使うと言われたが、それは原発等を見学して、その説明を受けるだけならやらないほうがいいと思うが、県としてどのように福島原発事故を踏まえた内容に改善していくのか。

◯原子力安全対策課長  展示そのものは、一番大きくは来館者に向けた映像のホールシステムの更新を、2年間かけて行い、昨年度で完成している。これは、事故を受けてというよりも、子供向けのソフトの改造等を含めて、展示ホール及び映像システムを改善したものである。福島原発事故の状況をあっとほうむの中で、放射線などを含めて掲示するような広報に努めている。
 また、アトムバスというのは、あっとほうむがやっているバスと原子力・エネルギー学習環境整備事業でのアトムバスとの二つあるが、基本的には原子力関係やエネルギー関係施設と、あっとほうむを見学していただいて、あっとほうむにおいてはさまざまな展示等を理解してもらうので、特段、福島原発事故を踏まえた内容で考慮しているものではない。

◯佐藤委員  福島原発事故を受けて、展示物や掲示、教育において、内容が余り変わっていないということは大きな問題だと思う。以前から言っているように、県の原子力事業については、従来はどちらかというと推進派の一辺倒であった。当時からスリーマイルやチェルノブイリ等で原発事故があったわけで、そういう事故を踏まえた教育内容、広報内容にすべきだということを要求してきたが、福島原発事故を受けてなお大きな改善が見られないことは非常に残念である。改善を求める。

原子力防災訓練実施事業と、国民保護計画推進事業
◯佐藤委員  10ページの原子力防災訓練実施事業と、11ページの国民保護計画推進事業の想定内容について伺う。

◯危機対策・防災課長  原子力防災訓練の想定については、場所は未定だが、来年度も実施するということで計画している。
 そして、国民保護の訓練だが、毎年図上訓練をやっているので、来年度も図上訓練を実施したいということである。

◯佐藤委員  私が聞いているのは、場所は美浜町であるとか高浜町であるとかは別として、どういう原子力防災訓練であり、どういう事故想定を考えているのかということと、国民保護も予算を出しているわけであるから、原発の事故を考えるのか、それともコンビナートの事故を考えるのか、どういう想定なのかということを聞きたい。

◯危機対策・防災課長  現段階では、まだ想定までは考えていない。

◯危機対策監  今の想定というお尋ねだが、原子力防災訓練については、現在、承知のように、国で防災指針の見直しをしている状況であるし、また福島原発事故のいろいろな状況もだんだんわかってきている状況もある。そういったことを踏まえて、実効的な訓練想定を行っていきたいと思っている。
 それから、国民保護訓練については、委員の指摘のように、原発ということも大きな課題になってきつつあるということも踏まえて、どういった国民保護訓練がいいのかを十分検討していきたいと思っている。

◯佐藤委員  まだ具体的に決まっていないというのであれば、今度3月18日に敦賀市で訓練もあるので、いろいろな意見が出るだろう。雪も大体解けて、本来荒れない時期にやるというのではなくて、過酷な状況でどうなのかという意見が県の原子力安全専門委員会の先生方からもいろいろと出ている。事故が、夜に起こったらどうなるのかとか、雪が降っているときに起こったらどうなのかとか、いろいろな議論がある。以前から県議会でもそういう議論もあるわけだから、そういうことを考えなければいけないということもある。
 また、今回の東日本大震災を踏まえると、福島第一原発は危なかった。第二原発も危なかった。女川原発も東海村も危なかった。日本原電の東海村も危なかった。だから、下手をしたら、宮城県でも福島県でも茨城県でも多重災害になった危険性がある。
 実際、東日本大震災では全部危なかったわけだから、福井県であっても、これは敦賀市も美浜町もおおい町もという、同時多発的に大きな津波、地震等によって、一つだけにとどまらず、「もんじゅ」でも事故が起きる、敦賀の日本原電でも美浜でも事故が起きるというような複合事故も当然考えていかないといけない。たまたま、福島第一原発の1、2、3、4号機が事故になったが、そういうことも含めて考えていかないと、スケジュールどおり、ペーパーどおりの訓練だけをやっていても、なかなかよろしくないのではないかと思うが、どうか。

◯危機対策監  委員の指摘するように、いろいろな複合型災害を考えていくという点、それから、安全対策がいろいろ施されていく上でどういう訓練があり得るのか。いろいろな状況を総合的に勘案しながら、またその時点その時点でのいろいろな進捗状況や熟度を勘案して、その時点での実効的な訓練を考えていきたいと思っている。

◯佐藤委員  安全対策が施されていく中で、どういうことが考えられるかということであると、そういう事故は起こらないだろうということになってしまい、新たな安全神話みたいになってしまうわけである。そこは今回の事故で戒めるときではないか。

◯危機対策監  安全対策イコール訓練想定ということはあってはならないという直線的な発想ではなくて、安全対策を施して、事業者としてきちんと実行していくということが大事である。そのための訓練というものがあり得るわけなので、そういう意味合いで申し上げたところである。

原発問題
◯佐藤委員  原子力発電所の事故の問題で部長から答弁をいただいたが、県の原子力安全専門委員会の議論の到達点について伺う。私も前回1回だけ傍聴したが、委員もかなり厳しい意見を国の原子力安全・保安院の方に述べられていて、福井県が選んだ専門家のチェックにとても耐えていないという印象だった。だから、先般、県議会が原子力安全・保安院の審議監等を呼んで質疑をしたときにも、こういう思いも述べたが、県が設置した委員会のいろいろな到達点を、国の原子力安全・保安院の説明との関係で、どのように総括されているのか。

◯原子力安全対策課長  委員が指摘するように、2月20日に原子力安全・保安院で設置している「意見聴取会」の中間取りまとめの報告をもらった。
 その際に、委員から厳しい指摘もいろいろあったし、耐震関係の議論もまだ継続されているということで、県としては、原子力安全・保安院の今後の審議状況を踏まえながら、今後とも専門委員会の先生に専門的な助言をいただきたいとは考えている。ただ、いつごろ、どういう形でというのは、具体的にはまだない。

◯佐藤委員  県の原子力安全専門委員会の先生方の指摘、要するに、国の原子力安全・保安院の説明に対して注文をつけている内容について、ポイントを絞って言うと、どういう点で課題を突きつけているのか。

◯原子力安全対策課長  一番大きなポイントは、技術的知見という意見聴取会の報告の中の30項目の議論である。
 ただ、あの項目の中には対策をとるのに時間を要するようなものもある。その意味で、その30項目の対策について、スケジュール的なものであるとか、体系的にするとか、ほかにも対策をやるべきではないかという意見も具体的かと思うが、これらについては、国は電力事業者からそういう対応を聞こうと、きょう、多分やっていると思う。そういう動きもあるので、今後どういう形で進められていくかを一つのポイントとして見ている。古い設計思想の検証等もあるので、どのような形で今後、議論が進められるのか、気にしながら見ていきたいと思う。

◯佐藤委員  きょう、国が事業者に対応を聞くということであるが、要するに県の原子力安全専門委員の先生から見ても、クリアできていないところがあるではないかという指摘もあったと思う。原子力安全・保安院のチェック、あるいは事業者の対策ではクリアできていないところもあるのではないか。クリアできていないところとは、主にどういう点を指摘しているのか。

◯原子力安全対策課長  クリアできていないと言うか、いろいろな面で、例えば電源の確保とか強化という部分で、多様な意見を対策として出されている。これらがどういう関係で進められていくのか、電源を強化するという意味で、例えば蓄電池のような電源を分散配置したらというような対策もあるし、そういう部分でどこまで、どの程度まで求めるのかは、なかなか見えていないところがあるので、今後、どういうふうに持っていくのかが一つのポイントだと思う。

◯佐藤委員  なかなか抽象的な話だと思うが、結局、原子力安全・保安院が一律ということで妥当で、原子力安全委員会に送ったとなっている。その原子力安全・保安院が妥当とした内容についても、県の委員の方からもかなり批判を受け、懸念されることに対して、原子力安全・保安院の課長などもその旨については、私が傍聴していても、まだ検討中だとか、まだ十分答えられないというような場面が何回かあったと思う。非常に不十分な点がある。

◯原子力安全対策課長  不十分だという意味では、案件が非常に多くて時間的に議論を十分尽くすには足りなかったという反省はあるが、先生方としても今回の福島原発事故をいろいろな方面から考えて、そういう意味で国への指摘を出していると県では理解しているし、県としても原子力安全専門委員会で出された意見に対して、原子力安全・保安院からはしっかりとした考え方なり、検討の経過を説明してもらう機会が必要かと思う。

◯佐藤委員  原子力安全・保安院から説明を聞くと言っているが、これは新しい組織との関係になるわけであるが、時期の問題、例えば4月中に原子力規制庁に、新しく衣がえをするということもある。これは県議会の中でもいろいろな意見があった。組織が変わる中で原子力安全・保安院の説明を聞いてもどうなのかという意見はあったが、検討して、その辺はどういう点が課題かの議論は継続していかなければいけないけれども、組織・体制が変わると、人も変わるという中で、新たなチェック体制としては、厳しくなるのか、緩くなるのか、それは見てみないとわからないが、その辺はどう考えているか。

◯原子力安全対策課長  2月20日時点もそうであるし、先日、県議会の説明の際もあったと思うが、原子力安全・保安院としては、3月31日までの業務はしっかりされるということで、要するに4月1日以降、まだ法案の審議が動いていないところもあるが、それ以降、新しく原子力規制庁ができれば、その部分はしっかりと引き継ぐということで、これは原子力安全・保安院もそうであるし、原子力安全委員会も今度新たに原子力規制庁の中に入るということもあるので、そういう形でしっかり引き継がれていくと、県では理解しているし、期待もしている。

◯佐藤委員  部長報告の中にも、日本海側の地震、津波の詳細について、今後調査し、明確にしていく必要性があるということで、牧野経済産業副大臣と神本文部科学大臣政務官にも強く申し出たというくだりがあった。これは、どの程度の期間か、原子力安全・保安院はとかくバックチェックをやりたいと言っているが、実際にどの程度、本当に県民が納得できるような調査と審議がされるかという見通しはあるか。

◯原子力安全対策課長  日本海側の地震、津波に関しては、昨年の震災発生以降、文部科学省の地震調査研究推進本部という日本全体の地震の評価をしているところがあって、そういう権威のあるところでしっかりと日本海側の地震や津波のことに関しても調査していただきたいという要望を、震災以降、県としてはすぐに出している。この調査そのものは、長期にわたるものであるから、先日の神本文部科学大臣政務官に対しても、文部科学省としての日本の地震、津波の調査の実施をできるだけ早期に着手していただきたいとお願いしているところである。
 一方で、原子力安全・保安院は、原子力発電所の耐震安全性そのものを審議するということで、地震、津波の意見聴取会で個別の発電所の活断層の連動性などを審議している。まだ、いろいろ審議を継続している段階であると認識しているが、そういうものが一方で動いていると理解している。

◯佐藤委員  文部科学省の地震調査研究推進本部と原子力安全・保安院の話があるわけであるが、この間見ていて、課長も問題だと思っているかもしれないが、事業者任せで調査し、事業者の調査した資料も行政がチェックするという点で、手落ちがたびたびあったことがわかってきていると思う。それがいいのかどうかがあるので、文部科学省や県がちゃんと調査をやって、国民に責任を持ったデータを示す。それに基づいて、事業者が、原発施設がどうなのかをきちんと見るというふうにしないと、どうしても事業者は民間事業者であるから、もうけを度外視してはやらないわけである。だから、どうしてもそこにずれが出てくる。
 東京電力を見ても、結局、大きな津波を想定しないとだめだと専門家が言っても、その忠告を振り切ってきたわけであり、事業者任せだという問題が出てくる。だから、ちゃんと文部科学省が責任を持って調査をして、その結果に基づいてきちんと判断をしていくようにしていかないといけない。この間、関西電力とか原電とかいろいろレポートを出したが、今のままだとまた同じ方向に行ってしまう。

◯原子力安全対策課長  地震に関しては、いろいろな調査がある。平成19年の新潟県中越沖地震以降、耐震バックチェックということで、新しい指針に基づく発電所の耐震安全性をチェックすることになった。このチェックを実施するのは、原子力安全・保安院であるが、国みずからが海上の音波探査をやって評価をしてくれということを県としてはお願いしている。これは、実際に、県内では敦賀湾とか小浜湾で、国みずからが海上音波探査を実施しており、その評価結果を踏まえて、耐震バックチェックを実施しているところである。ただ、一方で、その評価結果等を踏まえてもなお、きのうの地震、津波の意見聴取会でもまたデータをしっかり出していただきたいという委員からの意見もあるので、そういうデータを含めて、また新たに意見聴取会で審議されるものと考えている。

◯佐藤委員  なぜそういうことを言うかというと、これまでの経過ももちろんあるが、今回の津波痕跡調査でもそうであるが、事業者が三者共同で調査して、国の原子力安全・保安院の目から見ても不十分ではないかということで突き返されるというのがある。内部の話をいろいろと聞くと、どうしても事業者だと調査を担当するコンサルタント会社に早くやれと言っているという話も聞いたが、事業者としてはなるべく早く調査も終えて、早く再稼働というゴールにたどりつきたいという思惑があるわけである。民間会社であるから、それは否定できない。
 そこで、国や県という行政が住民本位の立場でどうチェックをかけていくか、今回の場合は、なおさら福島原発事故があったので問われているわけであるから、きちんとしないといけないと思う。福井県としては、従来の福井県の審査のあり方と、福島原発事故を受けて、県の原子力安全専門委員会もやっているが、そこでの審査のあり方を県民本位に変えていくべきである。県民にアピールできる点としてはどうか。

◯原子力安全対策課長  津波堆積物の調査については、昨年3月の震災直後に県の原子力安全委員会を開催した際に、日本海側では堆積物調査の実績が少ないという地質学の専門家の意見も含めて、事業者が昨年秋以降に調査している。
 現状において、地震、津波の意見聴取会の中でも、天正年間の地震による津波は、大きなものはなかったと一応評価しているが、追加調査として、国の機関が三方五湖の日向湖で堆積物の調査をしようという計画があるし、もう一方では、事業者としては、敦賀半島の猪ケ池、美浜町坂尻などで調査をするので、調査報告も進められていくと思っている。県としては、こういう調査結果は、専門家の観点からの議論が必要だと思っているので、県が原子力安全専門委員会でお願いしている地質学の専門家からの意見等を聞いていきたいと思っている。

◯佐藤委員  実際、こういう調査をやるが、津波の場合は、なかなか痕跡が発見しにくいという点があるわけである。だから、高知県では、ため池などで調査をするやり方で、津波痕跡を探すということ等もやっている。工夫はされているけど、それでもなかなか難しいから、そういう痕跡がないイコール津波が来なかっとは、断定しづらいわけである。いろいろな地震があったということは、例えば活断層調査などを見てもらえればわかるので、それに基づいてどういう津波があったかもそれなりに想定するということで、慎重にやってほしいと思う。
 過去にどういう調査報告書が出たかと思い、この間、県立図書館に行って調べてみたら、2年前に出た雑誌で、ちょうど福井県の活断層調査をした資料を見て来たが、これを見ると三方断層の調査も割とやっていて、35メートルぐらいの変異があると報告されている。ああいう地形だけに、物すごく巨大な変動があったと2年前の雑誌に掲載されているから、3年か4年前に調査はされていたのだろうが、京都大学の先生によっていろいろとわかっているということであるから、先日の福井新聞でも紹介されていたし、12月の予算特別委員会で私も紹介したけれど、そういう立場で県もぜひ判断していただきたいと思うが、いかがか。

◯原子力安全対策課長  地質調査というのは、それぞれ場所によっていろいろなことが出てくるところがある。例えば、事業者も今の話ではないが、熊川断層の末端部などをもう一度調査をしようかと動きつつある。そういう調査結果をどう見るかというのも、いろいろな先生の意見もあるので、そういう部分で、一つは詳細な調査結果の国としての評価もあると思うし、その上で県の専門家の意見をお聞きしたいと思う。

原子力防災訓練
◯佐藤委員  防災訓練の関連で、福井県は国の方針がきちんと示されていないと言っているが、地元の自治体からは避難先が福井県内だけに限られていることはおかしいのではないかという指摘があったことが新聞でも報道されている。
 先日、国へ行ってやりとりをしたときに、国としては、福井県に対して広域でやるようにということも伝えていると、担当者は言っていた。その辺は、具体的に詳細なマニュアル化は国ではされていないが、国の考え方として別に県域だけにこだわらずに、広域でやったらどうかという話がそもそもあるのか、ないのか、正確に教えていただきたい。
 それから今回、マスコミの報道では、3月18日にあわせて滋賀県も訓練をやるとのことである。これには福井県としてはどのように協力するのか、情報提供はどのようにされるのか。

◯危機対策・防災課長  2月に国主催の防災関係の担当者会議があった。その担当者会議の中で、広域避難について国から話があった。その中で、広域避難については、国が先頭に立って調整をしなくてはいけないのではないかと、いろいろな県から反論された状態であった。
 それから、滋賀県の訓練については、確かに、福井新聞の情報で知ったわけであるが、3月18日の福井県の訓練と同じように、福井県の情報伝達訓練の後、滋賀県で訓練を実施すると聞いている。

◯佐藤委員  確認したいが、今の課長の話だと、国が開いた担当者会議で国が調整するという意見を各県が出して、国に対応を求めたという答弁だったと思う。国の担当者は、広域でやってもいいというか、何も別に国として広域ではやってはいけないとかそういうのではなくて、広域も含めて考えるべきだというふうに伝えていると聞いているが、そういう伝え方が全然なかったという認識でいいのかどうかということと、それと滋賀県の訓練は、要するに、福井県として、今回であれば日本原電敦賀2号機の事故情報を提供するということか。

◯危機対策監  広域避難については、県としては、国が責任を持って対応をすべきであるという考え方である。したがって、国からは、地方である県の側で広域避難をいろいろと考えてほしいという考え方が示されているが、県としては、それはおかしいと申し上げているのが、先ほど危機対策・防災課長から答弁申し上げた内容である。
 それから、滋賀県の防災訓練については、福井県の訓練想定とは別で、独自に行われるものであると認識している。

◯佐藤委員  国としては広域を考えてくれと言っているが、そう単純にはいかないが、しかしこれもマスコミの報道によると、要するに滋賀県のA市と防災のときは助け合う等の協定を結んでいるが、実際に、そういうことをなぜ援用できないのかという疑問があるが、どうか。

◯危機対策監  委員の指摘のように、自然災害をベースにした災害相互応援協定はあるし、またそれに基づいていろいろ訓練もなされているが、原子力に関しては、国が一元的に責任を持って進めている政策の防災対策であるから、その広域避難を考える上においては、国がきちんと主導権を持って主体的に取り組むべきであるというのが、県の考え方である。

◯佐藤委員  もう終わるが、言われることはよくわかる。
 原子力政策における安全対策の責任は一元的に国にあるということを言われることはよくわかるが、現実に災害が起こったと想定すると、通常の災害のときにはやっている近隣府県との協力を生かさないのは、いかにも不自然だし、近隣府県も心配しているわけである。だから滋賀県は訓練するわけである。そこは原発立地県の福井県として蓄積があるわけであるから、滋賀県が訓練をやるのであれば、必要な情報は大いに提供して、これからともにそういう問題を考えていこうと進めていくのが、隣近所のつき合いということではないか。行政間のつき合いにおいて、原子力行政になると途端に何か高い壁が福井県と滋賀県の間にできるのはおかしいのではないか。

◯危機対策監  福井県としてこれまで取り組んできた原子力防災に関するいろいろな知見について隣県に情報提供することは、全然やぶさかではなく、行政べースでのやりとりもしているところである。
 ただ、基本的な考え方として、原子力防災の広域避難に対しては、国が主体性を持って前面に出てやるべきであるという基本線を主張しているわけである。

大飯原発の送電鉄塔の問題
◯佐藤委員  大飯原発の送電鉄塔の問題で、要するに、鉄塔の地盤を改修しないといけない、あるいは、かえなくてはいけないということであったが、福島原発事故で言うと、電源喪失の大きな原因は、地震によって送電鉄塔が倒れたというものであるが、この大飯原発の送電鉄塔問題の概要と今後の対策スケジュールを教えてほしい。

◯原子力安全対策課長  送電鉄塔の基礎については、特に基礎の安定性、地震時の安定性の評価をして、2月17日に関西電力が原子力安全・保安院に報告している。
 その中で、急傾斜の土砂崩壊に対する基礎の安定性項目があり、大飯発電所につながっている500キロボルトの送電線の鉄塔が1基、市内を走っているような所内用の77キロボルトの電源の小浜線で2カ所の計3カ所について、早急に地質調査を行って、その対策工事を設計するように、事業者みずからが評価し、報告書を提出している。
 このうち、77キロボルトの小浜線の二つについては、のり面の保護シートを対策済みであるが、恒久対策としてこのうち一つについては、鉄塔の移設を今後、計画するし、もう一つと500キロボルトの送電線については、今後、のり面の保護工の施工、鉄筋の挿入を計画して、速やかに対応していくと聞いている。

◯佐藤委員  工事が終わるのはいつごろか。

◯原子力安全対策課長  具体的には承知していないが、今後、計画してやられるものであると思う。

◯佐藤委員  建物一つ一つに、対策を施していくことは、もちろん大事だと思うし、福島原発事故の知見から言っても大事だと思うので、事故防止対策をしっかりと進めていただきたいと思う。
 もう1点は、3月2日付の日本経済新聞の地方欄に、原子力機構の鈴木理事長のインタビューが載っていたが、ちょっと違和感を覚えた。
 鈴木理事長は、「これまで政治的な理由で計画が何度も中断されていることも問題視したい。小さな問題が生じても1年近く計画が先延ばしされることがざらにあったり、ナトリウム漏れ事故以降の運転停止中の15年間はほとんど何もできなかったが、設備費だけで年間100億円から200億円近くの費用がかかる。ナトリウム漏れというのは、世界の高速増殖炉では、比較的高い頻度で起きていることを知ってほしい。フランスのフェニックス原発では、31回も起きている。」というようなことを言っている。
 政治に責任があるというのは、国と県であろう。安全環境部長は、このコメントに対してどう思うか。

◯安全環境部長  理事長のその発言であるけれども、理事長は研究者、学者としての一面も持っておられ、その技術者としてのお考えを述べたのではないかとは思うが、理事長という立場でそういう発言をされるのは、不適当な発言だと感じている。

◯佐藤委員  全く不適当である。大体、原子力安全委員会の委員長を務めており、はっきり言えば、今回の福島の事故に責任がある。そういう立場の人が「もんじゅ」について、動いてないのは政治の責任だと、国と県が悪いと言っているのだろう。そういう発言をした鈴木理事長に対して、厳しく抗議したか、意見を言ったのか。

◯安全環境部長  正式な抗議というわけではないが、理事長とは何回かお会いしていたので、理事長の立場で発言する際には十分配慮願いたいという話はしている。

◯佐藤委員  厳重にお願いする。

■請願陳情審査
◯大久保委員長  賛成多数である。
 よって本件は、適当である旨報告することに決定した。
 引き続き、これより請願・陳情の審査に入る。
 今回、付託を受けた陳情2件の審査に入るが、審査方法は1件ずつ行う。
 まず、陳情17号「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の制定に関する意見書提出を求める陳情」を議題とする。
 本件に対し、各委員より発言願う。

◯山本(正)委員  個人的には消費者被害に遭っても、仲裁できない、相談もなかなかできないということで、今回の陳情は、窓口をみんなで協力してやろうということなので、採択をしたい。

◯仲倉委員  消費者法の観点から、趣旨はよく理解できるわけであるけれども、現在、国で法制化に向けて今国会へ法案提出予定であり、制定も間近と聞いているので、継続審査として、国の動きを見守る。継続審査で願う。

◯佐藤委員  消費者被害はいろいろな形で、多々起こっているわけであり、こういう形できちんとした訴訟制度を設けるというのは、消費者保護の観点からは有意義だと思うので、採択でお願いする。

◯大久保委員長  ほかに発言はないか。

      〔「なし」と呼ぶ者あり〕

◯大久保委員長  本件については、継続審査を求める意見があるので、まず、継続審査について、諮ることとする。
 本件を継続審査とすることに賛成の方は、挙手願う。

      〔賛成者挙手〕

◯大久保委員長  賛成多数である。
 よって、本件は継続審査とすることに決定した。
 次に陳情第18号「停止中原発の運転再開を拙速に進めず、早急に『脱原発プログラム』を策定するよう意見書提出を求める陳情」を議題とする。
 本件に対し、各委員より発言を願う。

◯山本(正)委員  国では、エネルギー政策や原子力に関する大綱などについて、現在、審議をしている最中であって、今回の福島原発事故の知見を生かした意見聴取会等で審議しているわけであり、ここまで早急に「脱原発」ということについては問題があると思う。よって、この陳情には反対するために、不採択としたい。

◯仲倉委員  同様な理由により、我が会派も不採択としたい。

◯佐藤委員  先ほどいろいろな議論があったように、原発の安全性という問題は、地震とか津波とか、知見が深まれば深まるほど両立しがたいということが明らかになってくると思う。そういう点で、陳情者の趣旨は脱原発プログラムを早急に策定させるという、一定期間を設けて、原発をなくしていくというプログラムをつくれということであると思うので、採択したい。

◯大久保委員長  ほかにないか。

      (「なし」と呼ぶ者あり)

◯大久保委員長  ないようであるので、本件に対する採決に入る。
 本件を採択とすることに賛成の方は、挙手願う。

◯大久保委員長  賛成少数である。
 よって、本件は不採択と決定した。
 以上で、請願・陳情の審査を終了する。

福井県議会開会、知事は「原発再稼動の理解・支持が広がるように全力を」と。共産党、農民連が抗議申し入れ

2012年06月21日 | Weblog
   昨日は、議会請願の受付、大飯原発再稼動了承に抗議する日本共産党と農民団体の申し入れ活動、議会運営委員会、電力事業者の説明会、本会議、総務教育常任委員会などがつづき、県議会開会日にふさわしい?あわただしい日となりました。
   福井市議会では、鈴木議員の質問に答えて、「市内全域を対象に原発事故時に甲状腺被曝を防止する効果があるヨウ素剤を40歳未満の市民の2回分、さらに観光客などの滞在者用に2万人分を備蓄」する計画であることが明らかとなりました。これまで日本共産党が繰り返しもとめてきた「重複配備」が実現することになります。県としても、全県民対象に、重複配備を計画すべきです。

        ★


     野田政権が関西電力・大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を「政治判断」で決定した問題で、日本共産党福井県委員会は20日、決定の前提となる同意を西川一誠知事が与えたことに抗議し、同意の撤回を強く申し入れました。南秀一委員長、かねもと幸枝書記長(衆院1区候補)、私ら8人が県庁を訪れました。

南氏らは「県民が同意したわけでは決してなく、国民の多数は反対だ」と訴え、東京電力・福島原発事故と県内原発への対応では、この間、県として1度も県民説明会を開いていない問題点を指摘し、開催をあらためて求めました。
また、日本海側の地震・津波の調査・研究も、安全基準にかかげた安全対策さえまともに行われていないと厳しく指摘し、「再稼働を強行することは、最悪の形での『安全神話』の復活そのもの」だと断じました。

応対した岩永幹夫原子力安全対策課長は、安全対策が先送りされている免震重要棟の整備や防波堤のかさ上げなどについて、「直接的な事故防止ということよりも2次的な意味)」だと強弁しました。また、県としての県民説明会開催には否定的な態度を示しました。南氏らは「なぜ反対世論の方が大きいのに同意できるのか。県民や国民の怒りはもっともっと広がっていく」と警告しました。


    つづいて、農業者団体の申し入れにも同席しました。福井県農民運動連合会はじめ、福島、大阪、京都などの8府県の農民連の代表ら42名が20日、福井県へ抗議申し入れをおこないました。

 福井県農民連の山川知一郎副会長が、「多くの国民が再稼働に不安を募らせ、反対の声をあげているなかで、容認判断をした西川知事の責任は重大です。容認の撤回を」と抗議文を読み上げ、岩永幹夫原子力安全対策課長に手渡しました。

    福島から参加した根本敬事務局長ら15名は、「非常に残念だ。知事に今の福島の状況をみていただきたい」「先の生活の展望もなく、どんな思いで私たちが生活しているか。福井県の判断には冷水をかけられた」など次々に怒りの声をあげました。また、飯舘村の菅野典雄村長からの、「再稼働は納得がいかない」とのメッセージも読み上げられました。

   岩永課長は「燃料破損事故は起こさせない。安全を事業者に求めていく。福島でも第二原発が、宮城の女川でもメルトダウンンは起こしていない。われわれは福井の発電所に責任をもってやっていく」などと答えました。
京都からの参加者らが「わたしたちの声を聞いていない。原発事故がおこれば、わたしたちも大きな被害をうける。再稼働はやめてください」と繰り返し訴えました。この後、おおい町役場にも抗議申し入れをおこないました。

           ★


    6月定例福井県議会が20日開会しました。
西川一誠知事は提案理由のなかで、大飯原発再稼働了承について、「原子力発電所の再稼働に対する国民や消費地の理解促進、安全性向上の研究、県議会での意見も含め必要な事項を要請し、(総理から)責任ある回答が得られました。今回の判断は、総理の強い思いを重く受け止め、県原子力安全専門委員会が積み重ねた検証と審議の結果を踏まえ」たものと説明しました。そして、「国は、原子力発電の重要性をぶれることなく国民や消費地に説明し、再稼働に対する理解と支持が広がるように全力を尽くす必要がある」とまで強調しました。

 知事はいっかんして福島原発事故と再稼働問題での福井県としての県民説明会の開催を拒否しており、『理解と支持』というならまず開催して、県民の疑問に答えるべきです。国民県民多数が不安に思い、反対している原発推進に『全力を尽くす必要がある』と国をけしかけている姿勢は許されません。


 原発問題を審議する県議会委員会は
 ●厚生常任委員会  7月2日10時から    傍聴しめきり 6月27日
 ●原子力発電特別委員会 7月4日10時から  傍聴締め切り 6月29日