雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

取り返しのつかないもの ・ 小さな小さな物語 ( 1779 )

2024-06-20 08:01:29 | 小さな小さな物語 第三十部

東京都知事選で注目を集めている、小池知事と蓮舫さんが選挙公約を発表しました。
内容については、テレビの番組で解説されているのを見ただけですが、どちらの公約が実行に移されるのか、あるいは、どちらも没になるということもあるのか、余り無責任な発言は避けたいと思います。
ただ言えますことは、小池知事の前回の公約に対しては、その結果が未達のものに対しては批判のターゲットにされがちですが、知事にすれば、未達があるからもう一期頑張るのだと言いたいところかもしれません。

今回の都知事選挙のことを言っているのではありませんが、そもそも、本気ですべて完結させようと思っている選挙公約などあるのでしょうか。
正確な言葉は忘れたのですが、外国のある政治家の方は、「レベルの低い公約を掲げている人物に投票しなさい。そうすれば失望することが少ないでしょう」と言ったようなことをアドバイスしてくれています。「ご親切に」と言うべきか、「余計なお世話」と言いたいような内容ですが、ついつい記憶に残っているというのはどういうことなのでしょうか。

まあ、選挙公約なんてものは、いくら大風呂敷を広げても、よほどのものでない限り逮捕されることも罰せられることもありませんから、言いたい放題の所があっても仕方がないのかもしれません。第一、当選さえしなければ実行する責任などありませんし、当選してしまった場合でも、諸般の情勢によって実現できなかったという弁明も可能ですから、巧言令色・美辞麗句を山盛りにした選挙公約がまかり通るのは当然かもしれません。
とはいえ、どの程度の比率か知りませんが、選挙公約を真剣に検討し投票する人もいますので、いやしくも当選を目指している立候補者の方は、真面目な公約を表明すべきだと思います。
本当は、選挙公約は、立候補者と有権者との約束事のはずですから、はじめから守れない公約などはとんでもない話です。

選挙公約ほど大声で表現しないまでも、私たちの生活は、たくさんの約束事から成り立っています。その約束事のほとんどはごくごく小さなものですが、選挙公約と違って、言いっ放しは許されません。約束を破ったからと言って刑罰にあたるようなものはほとんどないでしょうが、そうした行為はボデーブローのように効いていて、確実に人格を低下させていきます。
それは、家族を含めた他人との約束事ばかりでなく、自分自身との約束事でも全く同様です。誠実な人格とは、自分自身との約束も大切にする人のことだと思うのです。
同時に、ややもすると若い人は、それも真面目に物事に接する人であればあるほど、約束を果たせないことで自分自身を追込んでしまうことがあるようです。
「この世には、取り返しのつかないもの」は存在しています。自分自身の責任であろうとなかろうと、降りかかってきた「取り返しのつかないもの」は、時には致命的なほど深刻な場合もあります。
しかし、どれほど辛い「取り返しのつかないもの」であっても、選挙公約を投げ棄てるほどは簡単ではありませんが、必ず、別の景色も用意されているようですよ。


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