雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

有は無より生ず ・ ちょっぴり『老子』 ( 46 )

2015-06-19 13:38:02 | ちょっぴり『老子』
          ちょっぴり『老子』 ( 46 )

               有は無より生ず

道の働きによって万物は生じ、滅する

「 反者道之動、弱者道之用。天下萬物生於有、有生於無。 」
『老子』第四十章の全文です。
読みは、「 反(ハン)は道の動、弱(ジャク)は道の用なり。天下の萬物は有より生じ、有は無より生ず。 」
文意は、「 もとに(無に)返そうとするのは道の働きである。柔弱なのが道の作用である。天下の萬物は形ある物から生まれているが、その形あるものは無から生じている。 」

この「文意」では分かりにくいと思います。
つまり、「天下の萬物は、その根源となる形ある物から生じているが、その根源となるものは、無から生じている。そして、形ある物が働きを終えれば無に返そうとするのは、道の働きである。その道の働きは万物に対して強硬なものではなく、極めて柔弱なものである」といった意味と考えられます。

柔弱こそが強い

『道』は、天地が誕生する以前にすでに存在していたものであるから、つまり「無」の状態の時に、既に存在していたということなのでしょうか。
そして、万物は、その使命を終えれば、滅していきます。つまり、「無」に返るわけです。
これらの、生じること、滅することは、『道』が司っているということのようです。

そして、この考え方はこの後の章でも再三出てきますが、それらの『道』の働きは、柔弱なものであり、しかも、その柔弱なことこそが、最も強い働きをするというのです。
私たちの日常生活でいえば、「弱い犬ほどよく吠える」という言葉がありますが、これになぞらえるのは、少々レベルが低すぎるでしょうか。

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