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『騙し絵の牙』

2021年04月02日 | 映画(た行)
『騙し絵の牙』
監督:吉田大八
出演:大泉洋,松岡茉優,宮沢氷魚,池田エライザ,斎藤工,中村倫也,佐野史郎,
   リリー・フランキー,塚本晋也,國村隼,木村佳乃,小林聡美,佐藤浩市他
 
109シネマズ箕面にて。
 
当初の公開予定は昨年6月でした。
予告編をさんざん見せられて楽しみにしていたのに、
コロナのせいで延期され、このたびようやく。
 
原作は塩田武士の同名小説。読了時のレビューはこちら
主人公を大泉洋と想定して書かれた本。
そう聞いていたから、大泉洋の顔がちらついて仕方ありませんでした。
 
ところが吉田大八監督によるこの映画版はだいぶ違う。
映画化のために原作をいったんバラバラにして脚本を書き上げたのだとか。
大泉洋以外に主演がオファーされることはなかったけれど(笑)、
えーっ、原作とオチが全然ちゃうやんとたまげました。
 
大手出版社の薫風社の社長である伊庭が急逝する。
社長の息子・惟高(中村倫也)は修行の名目でアメリカへ。
惟高の後見人的存在の常務・宮藤(佐野史郎)と、
他社を渡り歩いてきた専務・東松(佐藤浩市)の間で権力争いが勃発。
とりあえずは東松が社長に就任する。
 
薫風社の看板雑誌は、江波(木村佳乃)が編集長を務める“小説薫風”。
一方、カルチャー雑誌“トリニティ”の編集長・速水(大泉洋)は、
強引な改革を進める東松にトリニティの売り上げ激増を約束。
小説薫風にいた編集者・高野(松岡茉優)をトリニティに引き入れると、
これまでとはまったく異なる目玉企画を次々と打ち出すのだが……。
 
やっぱり紙の本がいいでしょ、と思っていたら……というのが原作でした。
最後にほくそ笑む大泉洋を当て書きされた速水。
映画版もてっきりそうなるのだと思っていたら、あれまぁ。
 
高野が推す新人作家に宮沢氷魚
高野の実家は町の小さな書店で、その店主である父親役に塚本晋也
速水がその才能を認めて書くことを勧めるモデルに池田エライザ
偉そうな作家大先生に國村隼。謎のオッサンにリリー・フランキー
東松にくっついて画策するなんだかよくわからん立場の男に斎藤工
文芸評論家役の小林聡美が異色の存在で面白い。
 
監督の人脈を駆使しましたみたいな豪華キャストだし、
話も決してつまらないわけではありません。
文芸誌主催の文学賞の裏側も見せてもらったし、いろいろと興味は惹かれます。
しかし原作とちがいすぎていてなんだか腑に落ちません。
 
最後に笑うのは、本についていちばん真面目に考えていた人ということなのかも。
このオチを観れば、まだまだ本はこれから。

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