夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ファーストラヴ』

2021年02月27日 | 映画(は行)
『ファーストラヴ』
監督:堤幸彦
出演:北川景子,中村倫也,芳根京子,板尾創路,石田法嗣,
   清原翔,高岡早紀,木村佳乃,窪塚洋介他
 
TOHOシネマズ伊丹にて。
 
島本理生直木賞受賞作堤幸彦監督が映画化。
堤監督の作品で凄く好きだと思ったものは今のところないんです。
だからあまり期待はせずに鑑賞に臨みました。
 
アナウンサー志望の女子大生・聖山環菜(芳根京子)が、
大学教授で著名な画家でもある父親・那雄人(板尾創路)を殺害した容疑で逮捕される。
美人女子大生による父親刺殺ということで、事件はメディアでも大きく取り上げられる。
環菜は自分の罪を認め、「動機はそちらで見つけてください」と語ったらしい。
 
公認心理師の真壁由紀(北川景子)は、環菜に取材して本を執筆したいと考える。
環菜は取材を承諾したとのことだが、
国選弁護人として環菜の弁護を引き受けたのが庵野迦葉(中村倫也)だと知り、由紀は困惑。
迦葉は由紀の夫・我聞(窪塚洋介)の弟で、由紀の大学時代の同期生でもあったから。
 
それでも環菜を救いたい一心で由紀は迦葉に連絡。
ふたりで協力して環菜の動機を突き止め、無罪を勝ち取ろうとするのだが……。
 
芳根京子ちゃんのことが実はちょっと苦手です。
かつてオーディション荒らしの異名を取ったとのこと、
彼女がオーディションに現れれば、間違いなくその役を得るので、
ほかの人は最初からあきらめるしかないぐらい演技が上手い。
確かにめちゃくちゃ上手いんですよね、怖いぐらい。
 
本作の彼女も凄まじい演技を見せています。
幼い頃から父親が開催するデッサンクラブのモデルを務めさせられ、嫌な思いをしてきた。
かばってくれるはずの母親(木村佳乃)は娘を嘘つき呼ばわりし、
事件後の法廷にも弁護側の証人としてではなく、検察側の証人として出廷します。
世間からサイコパス扱いされ、誰にも心の裡を見せようとしない環菜。
 
上手すぎて怖いから、彼女が涙を流すシーンでは泣けなかったし、
北川景子が大泣きするシーンでも泣けなかったのですけれど、
窪塚洋介には泣かされました。
今までの彼にはエキセントリックな印象がありましたが、この夫役は実に温かい。
妻が言い出せずにいる過去について何もかも察していて、
だからと言って問い詰めないし、聞き出そうとすらしない。
本人が話す気になるまで、何も気づいていないふうに待っています。
 
堤監督のこともやっぱり好きだとは言えないままですが、
わかりにくさもなく、知的な雰囲気も漂っているので、
観た人の満足度は高いような気がします。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『名探偵コナン 緋色の不在証... | トップ | 『劇場版 美少女戦士セーラー... »

映画(は行)」カテゴリの最新記事