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『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』

2023年09月28日 | 映画(た行)
『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』(原題:The Last Voyage of the Demeter)
監督:アンドレ・ウーヴレダル
出演:コーリー・ホーキンズ,アシュリン・フランチオージ,リーアム・カニンガム,デヴィッド・ダストマルチャン,
   ハビエル・ボテット,ウディ・ノーマン,ジョン・ジョン・ブリオネス,ステファン・カピチッチ,ニコライ・ニコラエフ他
 
上映劇場も上映回数も少ないのでスルー予定でしたが、
先日観て気に入った『ヒンターラント』の監督が脚本を担当しているという。見逃すわけにはいきません。
しかしこれもオーストリア作品と思いきや、アメリカ作品じゃあないか。
動楽亭に落語を聴きに行く前に、TOHOシネマズなんば別館にて。
 
アイルランド出身の作家ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』が刊行されたのは1897年のこと。
以降120年以上経つ今まで何度も話題になり、映像化されたり舞台化されたりも。
吸血鬼の話で私の印象に残っているのは池田理代子ベルサイユのばら外伝「黒衣の伯爵夫人」ですかね。
 
余談ですが、ドラキュラの出身地はルーマニアとされているにもかかわらず、
ルーマニアで『吸血鬼ドラキュラ』が出版されたのは1990年になってからだそうです。それまで発禁書だったとのこと。
 
1897年、英国船籍のデメテル号がブルガリアのヴァルナへと入港する。
ルーマニアのトランシルヴァニアから運ばれてきた荷物を積んでロンドンへと届ける予定で、
デメテル号の一等航海士ヴォイチェクが船員となる者を探しているところ。
 
ケンブリッジ大学医学天文学を学んだ黒人男性クレメンスが挙手するが、
いくら賢くても体力のない奴はお呼びでないとヴォイチェクは却下。
いかにも力のありそうな男たちが選ばれ、デメテル号に乗り込もうとする。
 
ところがそのうちのひとりが積荷である木箱のドラゴンのマークを見て突然態度を変える。
こんな不吉な荷物を積むことはできない、呪われた船だと言って走り去ってしまう。
放たれた木箱の下敷きになりそうだった少年トビーをクレメンスが助け、
それが船長エリオットの孫だったものだから、ヴォイチェクは渋々クレメンスを船員として採用する。
船はロンドンに向けて出航。
 
その夜、ひとつの木箱から物音がするのを聞いてクレメンスが開けてみたところ、
何かの感染症に罹っているのか、意識朦朧としている女性アナが入り込んでいた。
女が船にいると良くないことが起こると反対する船員もいるなか、
海に放り出すわけにはいかないとクレメンスは懸命に看病する。
 
そんななか、船内ではおかしなことが起こりはじめる。
まずはトビーの愛犬と家畜たちが惨殺され、いずれも首に噛み痕がある。
およそ人間の仕業とは思えず、魔物がいるのかと皆が怯えるうち、ひとりまたひとりと船員が殺されて……。
 
「ドラキュラ伯爵」ですからね。イメージとしては伯爵然としていたのに、そのイメージがぶっ飛びます。
本作のドラキュラは、最近観た作品の中ではブギーマンかなぁ。
いやぁ、邪悪なエイリアンっぽいから、プレデターとかのほうが近いかな。
あ、どれも容姿を覚えていないのに、すごく適当なことを書きました。ごめんなさい。(^^;
とにかく、愛嬌のかけらもない、キモい奴です。
 
アメリカ作品ゆえなのかと思ったのは、登場人物の人種。
別に全員白人でもよかったんじゃないかと思うのですけれど、
クレメンスが「ケンブリッジ出身で初めての黒人医師なのに、就職がなかった」と黒人の境遇を語ったり、
料理担当の船員がアジア系だったりして、いわゆる「忖度」が感じられてしまうのです。
これをもし『ヒンターラント』のステファン・ルツォヴィツキー監督が撮っていたら、
こういうキャスティングにはならなかったのではないかと。
 
というふうに、なんだか釈然としない部分もありますが、本作の雰囲気はとても好き。
続編もありそうなエンディングだけど、客は入りますかね。

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