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『ソフト/クワイエット』

2023年05月29日 | 映画(さ行)
『ソフト/クワイエット』(原題:Soft & Quiet)
監督:ベス・デ・アラウージョ
出演:ステファニー・エステス,オリヴィア・ルッカルディ,エレノア・ピエンタ,
   デイナ・ミリキャン,メリッサ・パウロ,シシー・リー他
 
ちょっと面白そうでシネ・リーブル梅田まで観に行きましたが、
わざわざ出向いたことを後悔したぐらい不快な作品。
映画の出来としては良いのでしょうけれど、内容はワースト級です。
 
幼稚園教諭のエミリーは、実は白人至上主義者
彼女のお眼鏡に叶った友人を集めて、教会の談話室を借りて会合を開く。
“アーリア人団結をめざす娘たち”という名のグループを立ち上げるため。
 
しかし、彼女たちの会話を聞いた牧師が直ちに出て行くように告げる。
さもなくば警察に通報すると言われて、致し方なくその場を退去。
それで断念するようなエミリーではないから、自分の家で続きを話そうと皆を誘う。
 
途中、メンバーのひとりであるキムが営む食料品店に寄り、酒を調達。
そこへエミリーと面識のあるアジア系姉妹のアンとリリーがやってくる。
ワインを買いたいというアンに罵詈雑言を浴びせるキムたち。
 
アンにいちばん高いワインを買わせた後も執拗に嫌味を言いつづけ、
それでも気持ちが収まらないエミリーたちは、アン姉妹の家へと向かう。
留守宅に少々いたずらをしてやるつもりだったが、それが行き過ぎて……。
 
一見普通のご婦人たち。エミリーなんて、むしろ上品で博愛主義の女性に見える。
だからこそ、彼女たちの本当の姿が恐ろしい。
 
よくもまぁこんな作品を撮れると思うぐらい不快。虫酸が走る。ヘドが出る。
だけど、本作を撮った監督が非白人女性だと知ると見方がまた変わります。
 
ベス・デ・アラウージョ監督はブラジル移民の父親と中国系アメリカ人の母親を持ちます。
最近のアジア系が多く出演するハリウッド作品のもてはやされ方には違和感をおぼえていますが、
こんなふうに見た目「普通」の白人の裏の姿を描く本作は衝撃的。
 
ミヒャエル・ハネケ作品の不快さがカワイイと思えるぐらいでした。

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