夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

11月に読んだ本まとめ

2019年12月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2019年11月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3621ページ
ナイス数:1091ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
 
■5分後に意外な結末 ベスト・セレクション (講談社文庫)
1話ほぼ5分、22話。酒飲んだ帰りの酔っぱらい状態で電車の中で開いても、読んでいてわからなくなることはありません。ものすごくとっつきやすい話ばかりです。ただ、わかりやすすぎて、最初の数ページでオチばればれやろとツッコミ入れたくなる話も。特に5話目の『あの日を思い出して』、どないよ。と、ダメ出しをしてみたところで、どれも私には絶対思いつかない話ですし、太宰治の小説をモチーフにしたものなどもあり、いろんなパターンを楽しめます。長編を読む馬力はないけど活字は読みたいというときにいいのでは。
読了日:11月02日 著者:桃戸 ハル
https://bookmeter.com/books/14433498

■きみはぼくの宝物 史上最悪の夏休み (幻冬舎文庫)
夏休みの話をなぜ今ごろ読むかな私。今読まなければまた来年の夏まで寝かせてしまいそうで。高野秀行の児童文学を読んだとき、高野さんにはやはりノンフィクションを書いてほしいと思いました。木下半太まで児童文学に手ぇ出すんかいと思ったけれど、これは良かった。京都と大阪、特に北摂地域に土地勘のある人ならたぶん三割増以上で楽しい。いつもは「ら抜き」だらけの印象があったのに、「食べられる」「来られる」と正しい日本語。児童文学のほうが言葉に気を遣うのか。槇原敬之の歌と同じタイトルだから、思わず口ずさむ。だって君は僕の宝物。
読了日:11月03日 著者:木下 半太
https://bookmeter.com/books/12136875

■祝祭と予感
全編『蜜蜂と遠雷』の後日譚かと思っていたらそういうわけでもないのですね。本編では完全に脇役だった人たちのことだから、名前を見ても私は思い出せず、読み進めてようやくあの人のことかと思い当たる。師匠や友人、課題曲の作曲家など、さまざまな形で主役の4人に関わってきた人たちも善人ばかり。だから、どろどろしたシーンなんてなかったけれど、複雑な思いを抱えていたのは主役だけじゃない。私が特に好きだったのは奏の話。報われた、そんな気がします。欲をいえば、読者に大人気の明石にまつわる誰かの話も聞きたかったですよねぇ。
読了日:11月05日 著者:恩田 陸
https://bookmeter.com/books/14441026

■閉鎖病棟 (新潮文庫)
単行本の初版は25年も前なのですね。その5年後に一度映画化されていることも知らず、今回の映画化が発表されてから文庫本を購入、読むより先に映画を観ました。原作とは時代も人物像も異なっていて、映画化というよりはモチーフにした程度という印象を受けます。登場人物ひとりひとりが精神病棟に入るまでの過程も丁寧に綴られているけれど、映画版のイメージのまま読むといささか退屈に感じてしまう。冷たい家族を見れば酷いとは思うものの、実際にその立場になったとき、はたして私は優しくなれるだろうか。その人の幸せを考えられるだろうか。
読了日:11月09日 著者:帚木 蓬生
https://bookmeter.com/books/580036

■堕天使堂 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)
プロローグが終わったら第一章のタイトルが「長坂パグ男の新事務所」。げげっ、いきなりパグ男かよ。シリーズ初の洋モノ怪異にあさま山荘事件が絡められていて、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2007)を観て以来、「総括」という言葉が使えなくなった私としてはマジで怖い。幽霊は信じないタチですが、やはり禁忌に触れてはいけないと思う。やたら可愛げの出てきた春菜ちゃん、妄想シーンが恥ずかしい(笑)。「曳き屋に曳けないものはない」って、カッケー。映像化するとしたらいったい誰が仙龍か、そればかり考えてしまうのでした。
読了日:11月11日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/14496540

■夫の骨 (祥伝社文庫)
30頁ほどの短編9つ。タイトルと表紙からはどの手の話なのか想像つかず。基本的にはイヤミスに分類される話が多く、各話終盤の「傍点を振った一文」に「あらら、そうだったのね」と二度見ならぬ何度見かをしました。登場する女性の妊娠がそもそものきっかけとなっている話がいくつかあり、女性のしたたかさを感じて怖くなるけど、身勝手な男性やマウンティング女子にここぞというときにボソっと、でもきっぱり言ってやったときにはスッキリ(笑)。9編のうち少し異質で普通のミステリーっぽい『虚ろの檻』が好きでした。今後も読みたい作家です。
読了日:11月14日 著者:矢樹純
https://bookmeter.com/books/13708346

■残業禁止 (角川文庫)
ビルの建設現場のそばを通るとき、そこで働く職人さんを見るだけで胸がキュンとして泣きそうになるという友人が私のまわりに少なくとも3人はいます。なんでさと笑っていたのですが、この本を読むとなんとなくその気持ちがわかる気がしてきました。オリンピックの集客を見込んで建てられるホテルの建設現場を仕切る準大手ゼネコンの現場監督。サブロク協定違反があってはならない、だけど納期は延ばせない。三十路を超えるとなかなか考え方は変えられんと思っているので、五十路近くなってもこんなふうに柔軟に考えられる人は良いなぁ。目指したい。
読了日:11月15日 著者:荒木 源
https://bookmeter.com/books/14455664

■望み (角川文庫)
自分の息子が殺人の被害者として死んでいるのと、加害者として生きているのとどちらが良いか。父親と母親の視点から交互に。ふと思い出したのは、映画『ベン・イズ・バック』(2018)。それは殺人ではなかったけれど、麻薬中毒の息子が帰宅したときの両親と妹の反応がちょうど本書と似ていると感じました。『ある少年の告白』(2018)もそう。息子がゲイだとわかったときの両親の反応の違い。どうであれ息子には生きていてほしいと願う母親。愛していることは確か、でも父親はちょっと複雑だというニコール・キッドマンの台詞がよぎります。
読了日:11月19日 著者:雫井 脩介
https://bookmeter.com/books/13609877

■世界のシワに夢を見ろ!〔小学館文庫〕
高野さんを大人買いしたときに読まなかったはずはないのに、よほど気に入った本でないかぎり、読んだ端から誰ぞに進呈してしまうせいで、読んだかどうかわからなくなってまた買ってしまった。手元になかったということは、そこまで気に入った本ではなかったということです(笑)。『桜島に起立!』の内容だけは覚えていたけれど、なぜか私の記憶では山下公園に変わっていたため、鹿児島の話だったのかと驚く。いや、山下公園でこんなことになってたら通報されそうやし(笑)。どれもそれなりに面白いけれど、高野さんの面白さはこれにとどまらない。
読了日:11月22日 著者:高野 秀行
https://bookmeter.com/books/539849

■珈琲城のキネマと事件 (光文社文庫)
洋館の描写に『ベルサイユのばら』の外伝「黒衣の伯爵夫人」を思い出しました。ここで交わされる話は不出というところには、『ジョン・ウィック』の掟に守られるホテルを思い出したりなんかも。でもそんなにおどろおどろしくも暗くもなければ危険でもない、ミステリーマニアの集う喫茶店。トリックのヒントとして登場する映画はかなり古い名作。タイトルぐらいは知らないと退屈かも。マニアたちは個性豊かで会話も芝居がかっているから、舞台劇になったら面白そうな気がします。私の「文庫書き下ろしはイマイチ説」をぶち破るほどではないんだなぁ。
読了日:11月26日 著者:井上 雅彦
https://bookmeter.com/books/14792026

■恋のゴンドラ (実業之日本社文庫)
またスキー場でテロ騒ぎが起きるのかと思ったら、ミステリーでもサスペンスでもない。東野圭吾なのに。序盤の「心はぴょーんと空まで飛んだ」だなんて一文に苦笑い。スキー場シリーズのパトロール隊員がこそっと活躍。居合わせた男女の悩みを解決するのに一役買います。しかしそんなにいい話じゃない。浮気する男は何度でも浮気する。これがまたイケメンかしらんけどどこがええねんこんな奴という男で。本命に浮気がバレれば浮気相手のせいにして、もう最低。何の謎もないやんかと言いたいけれど、男女間のあれこれが謎そのものなのかもしれません。
読了日:11月28日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/14366431

■ホテル・ウィンチェスターと444人の亡霊 (講談社タイガ)
怖がりのくせして“ウィンチェスター”と聞くと引き寄せられてしまうんです。『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』(2018)も観に行きましたが、素面じゃ怖くて酒飲んで鑑賞したら爆睡してしまった(笑)。そんな幽霊屋敷をモチーフにしたらしい亡霊が棲むホテルの話。亡霊と会話もできるコンシェルジュが亡霊から呼び捨てにされているのが可笑しい。トラブルが起きたときこそビッグチャンスだというのは、すべての接客業において同じな気がします。“妖怪アパート”シリーズなどが好きな人にはお薦め。軽いのですぐ読める。
読了日:11月29日 著者:木犀 あこ
https://bookmeter.com/books/14662054

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