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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈ら行〉

2018年12月30日 | 映画(ら行)
《ら》
『ラーメン食いてぇ!』
2018年の日本作品。
これで長編映画デビューを飾る熊谷祐紀監督が同名WEB漫画を映画化。
人気ラーメン店“清蘭”の店主・紅烈土(石橋蓮司)は、
二人三脚で店をもり立ててきた最愛の妻を亡くし、悲しみに暮れる。
そんな彼の孫娘・茉莉絵(中村ゆりか)がいじめに遭って自殺を図る。
一命を取り留めた茉莉絵は、烈土が病室に運んできたスープに気持ちを救われ、
ラーメンのすべてを自分に教えてほしいと烈土に懇願する。
食の細い茉莉絵は、食べることが何よりも好きなかつての親友・コジマ(葵わかな)に、
ふたりで世界一のラーメンをつくろうと声をかけるのだが……。
途中はずいぶん偽善的な話だなぁと思いました。
というのも、茉莉絵がいじめられる原因をつくったのはコジマ。
片想いの相手が茉莉絵とつきあいはじめたのが悔しくて、
茉莉絵が援助交際していると学校の裏サイトに書き込み、結果、茉莉絵は自殺未遂。
なのに一緒にラーメン店をしようってか。このふたりのやりとりにうんざり。
ただ、日本から遠く離れた場所で遭難したグルメ評論家・赤星(片桐仁)が面白い。
茉莉絵やコジマの両親には宅間孝行、森尾由美、水橋研二片岡礼子が扮し、
トータルではまぁまぁ楽しめた作品でした。
ところで、麺の食感を表現するのに「ぴろぴろ」という言葉は本当に使うんですか。
ラヲタの方々、教えてください。

《り》
『リングサイド・ストーリー』
2017年の日本作品。
2015年に劇場で観た映画のマイベスト、『百円の恋』(2014)」の武正晴監督による。
カナコ(佐藤江梨子)と売れない俳優のヒデオ(瑛太)は長年同棲中。
ヒデオといえば、いつかカンヌに連れて行ってやると大口ばかり。
ある日、カナコが勤務先のリストラに遭い、
ヒデオが勝手にプロレス団体“WRESTLE-1”の広報にカナコの名前で応募。
プロレス好きのヒデオが熱く語った手紙のおかげで採用される。
ヒデオとちがってプロレスのことなど何も知らなかったカナコだが、
次第にその世界に魅了され、いきいきと仕事をするように。
すると、ヒデオは自分がカナコを送り出したにもかかわらず嫉妬を募らせて……。
プロレスにほぼ興味のない私も好きになってしまいそうなほど。
瑛太は何をやらせても上手いですねぇ。
その中でも、本作で近藤芳正演じるプロダクション社長が言うように、ろくでなしの役がいちばん!

《る》
『ルージュの手紙』(原題:Sage Femme)
2017年のフランス作品。
ベテラン助産師のクレール(カトリーヌ・フロ)は、超まじめ。
息子を医学生に育て上げた後も飲酒せず肉も食べず、禁欲を自分に強いている。
そんな彼女に突然電話をかけてきた継母のベアトリス(カトリーヌ・ドヌーヴ)。
酒とギャンブルに目がないベアトリスは、30年前に理由も告げずに姿を消した。
その直後に有名な競泳選手だったクレールの父親は自殺。
今ごろになって連絡を取ってきたのは、脳腫瘍に冒されているベアトリスが、
死ぬ前に最も愛した男に会いたくなったからだという。
父が他界していることを知り、ベアトリスはショックを受ける。
あいかわらず酒を飲みつづけ、金にもだらしのない継母なのに、
クレールはどうしても無視することがてきず……。
いくつになっても美しく、上品にも下品にも振る舞えるカトリーヌ・ドヌーヴ。
フランスを代表する名女優の共演から目を離せません。

《れ》
『レジェンダリー』(原題:Pilgrimage)
2017年のアイルランド/ベルギー作品。
1209年のアイルランド。修道士の一行がローマに向かって巡礼の旅に出る。
目的は修道院が保管する神聖な聖遺物「マティアの石」を運ぶこと。
しかし最果てともいえるこの地は、何世紀にもわたって部族間の戦争が勃発し、
侵略を狙うノルマン人の上陸も活発化している危険な場所。
旅をどう進めるべきかと悩んでいたところへ、騎士レイモンドが案内を買って出る。
若き修道士ダーマットと口のきけない平修士らは、
レイモンドに警戒しながらも旅を続けるが、
途中、盗賊たちの襲撃に遭い、修道士のうちの何人かが殺されてしまう。
しかもその襲撃はレイモンドの差し金だったことがわかり……。
“スパイダーマン”トム・ホランドがダーマット役。
スパイダーマンのはっちゃけぶりと打って変わって暗いのなんの。上手い。
平修士役のジョン・バーンサルが発する言葉は最期に「地獄だ」のみ。
宗教的な物語はむずかしくて敬遠しがちでしたが、これはなかなか面白かった。
96分と短めなのも嬉しい。

《ろ》
『ローマンという名の男 信念の行方』(原題:Roman J. Israel, Esq.)
2017年のアメリカ作品。
デンゼル・ワシントン主演なのに日本では未公開、DVDスルー。
法律事務所で裏方の仕事を担当する人権弁護士ローマン・J・イズラエル。
ある日、事務所代表を務めるパートナーが倒れて植物人間に。
事務所を畳まざるを得なくなり、凄腕弁護士ジョージ・ピアスに雇われる。
金儲けにはまるで興味のなかったローマンだが、
自分が担当する殺人事件の犯人に懸賞金がかかっていることを知り……。
ジョージ役にコリン・ファレル。これが格好よくて目が釘付け。
理想論だけでは弁護士もやって行けないだなぁと、悲しくもなり。
ローマンが殺されてしまうという悲しい結末ながら、
ジョージの後ろ姿に希望が感じられます。

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今年観た映画50音順〈や行〉

2018年12月30日 | 映画(や行)
《や》
『やっさだるマン』
2017年の日本作品。
愛媛県出身の大森研一監督が宇和島を舞台に撮ったのが『海すずめ』(2016)でした。
広島県三原市の「三原アンバサダー」も務める同監督が、今度はそこを舞台に。
三原市役所に勤務する肇(佐藤永典)は、同級生だった里美(須藤茉麻)とともに、
同市の公式マスコットキャラクター“やっさだるマン”の管理運営を担当。
肇がやっさだるマンの着ぐるみをかぶって広報活動しているが、
全国どころかご当地でも知名度はイマイチ。ゆるキャラグランプリでも散々の結果。
課長(清水美沙=清水美砂から改名)から次は10位以内に入るようにとの指令が下ってゲンナリ。
ところが、新しく配属された優那(竹達彩奈)があまりに可愛くて俄然やる気に。
映画が好きだという優那が先輩職員の向井(宮川一朗太)と話すのを聞いていて、
地元の人たちに参加を募るPVの制作を思いつく。
行きつけのカフェのマスター(目黒祐樹)に曲づくりを頼み、
里美が振付を考えて、その映像を撮るのは向井と優那。
バッチリだと思いきや、マスターから「曲は自分でつくれ」と言われる。
肇はかつてバンド仲間から「おまえのつくる曲は古くさくてやってられねぇ」と
バンドを追い出された苦い経験があり、以来、音楽を避けてきたのだが……。
TSUTAYA DISCASの在庫枚数がわずか4枚で、レンタルするのにひと苦労。
内輪受けするご当地ムービーだろうと期待せずにいたら、思いのほか楽しかった。
ゆるキャラグランプリで上位に入るために市役所の職員が組織票を投じているとニュースになったばかり。
そんなことはこの映画ではもちろんしません。タイムリー。

《ゆ》
『ユージュアル・ネイバー』(原題:The Harvest)
2013年のアメリカ作品。日本では劇場未公開。
親を亡くして引っ越しを余儀なくされた女子高校生マリアンは、祖父母の家に身を寄せる。
祖父母はとても優しいが、悲しみはなかなか消えない。
ある日、近所の散策中に見つけた一軒の家。
窓から中を覗き込むと、同年代で寝たきりの少年アンディがいた。
お互い友だちができたと大喜びするが、
アンディの母親で外科医のキャサリンはマリアンに敵意を露わにし……。
アンディの家の地下室にはもうひとり少年がいて、
マリアンはてっきり地下室の少年が誘拐されたジェイソンだと思い込みますが、
実はアンディこそがジェイソン。
キャサリンはアンディに心臓や肝臓を移植するためにジェイソンを誘拐したという驚愕のお話。
狂っているとしか思えないキャサリンにサマンサ・モートン
本当は善人なのに妻に意義を唱えられない夫リチャードにマイケル・シャノン
予備知識なしに観たおかげで結構おもしろかったけれど、
WOWOW放映時の邦題はなんと『マッド・マザー 生贄の少年』。
このタイトルだけで全部ネタバレしとるがな。ヒドイ(笑)。

《よ》
『歓びのトスカーナ』(原題:La Pazza Gioia)
2016年のイタリア/フランス作品。
イタリア・トスカーナ州の“ヴィラ・ビオンディ”は、精神病患者の診療施設。
患者のひとり、ベアトリーチェは女王様気取りの自称伯爵夫人。
極度の虚言癖を持つ彼女のおしゃべりは止まらない。
ある日、体中にタトゥーを入れた鬱病患者のドナテッラが入居する。
頼まれもしないのに世話を焼こうとするベアトリーチェは、
ドナテッラが幼い息子エリアと無理に引き離されたことを知り、
「会わせてあげる」と言うのだが……。
嘘か誠かわからないベアトリーチェの話に、観るほうも翻弄されます。
ふたりの施設脱出劇も面白ければ、施設職員の温かさも伝わってくる。
エリアの養父母との対面シーンには心を砕かれ、その後の海岸のシーンに涙。
これはぜひとも劇場で観たかった作品です。
2015年に司法精神病院が廃止されたことを本作で知りました。
しかし、グルームホームなどに移れた患者は少ないとのこと、心が痛みます。

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