夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈や行〉

2018年12月30日 | 映画(や行)
《や》
『やっさだるマン』
2017年の日本作品。
愛媛県出身の大森研一監督が宇和島を舞台に撮ったのが『海すずめ』(2016)でした。
広島県三原市の「三原アンバサダー」も務める同監督が、今度はそこを舞台に。
三原市役所に勤務する肇(佐藤永典)は、同級生だった里美(須藤茉麻)とともに、
同市の公式マスコットキャラクター“やっさだるマン”の管理運営を担当。
肇がやっさだるマンの着ぐるみをかぶって広報活動しているが、
全国どころかご当地でも知名度はイマイチ。ゆるキャラグランプリでも散々の結果。
課長(清水美沙=清水美砂から改名)から次は10位以内に入るようにとの指令が下ってゲンナリ。
ところが、新しく配属された優那(竹達彩奈)があまりに可愛くて俄然やる気に。
映画が好きだという優那が先輩職員の向井(宮川一朗太)と話すのを聞いていて、
地元の人たちに参加を募るPVの制作を思いつく。
行きつけのカフェのマスター(目黒祐樹)に曲づくりを頼み、
里美が振付を考えて、その映像を撮るのは向井と優那。
バッチリだと思いきや、マスターから「曲は自分でつくれ」と言われる。
肇はかつてバンド仲間から「おまえのつくる曲は古くさくてやってられねぇ」と
バンドを追い出された苦い経験があり、以来、音楽を避けてきたのだが……。
TSUTAYA DISCASの在庫枚数がわずか4枚で、レンタルするのにひと苦労。
内輪受けするご当地ムービーだろうと期待せずにいたら、思いのほか楽しかった。
ゆるキャラグランプリで上位に入るために市役所の職員が組織票を投じているとニュースになったばかり。
そんなことはこの映画ではもちろんしません。タイムリー。

《ゆ》
『ユージュアル・ネイバー』(原題:The Harvest)
2013年のアメリカ作品。日本では劇場未公開。
親を亡くして引っ越しを余儀なくされた女子高校生マリアンは、祖父母の家に身を寄せる。
祖父母はとても優しいが、悲しみはなかなか消えない。
ある日、近所の散策中に見つけた一軒の家。
窓から中を覗き込むと、同年代で寝たきりの少年アンディがいた。
お互い友だちができたと大喜びするが、
アンディの母親で外科医のキャサリンはマリアンに敵意を露わにし……。
アンディの家の地下室にはもうひとり少年がいて、
マリアンはてっきり地下室の少年が誘拐されたジェイソンだと思い込みますが、
実はアンディこそがジェイソン。
キャサリンはアンディに心臓や肝臓を移植するためにジェイソンを誘拐したという驚愕のお話。
狂っているとしか思えないキャサリンにサマンサ・モートン
本当は善人なのに妻に意義を唱えられない夫リチャードにマイケル・シャノン
予備知識なしに観たおかげで結構おもしろかったけれど、
WOWOW放映時の邦題はなんと『マッド・マザー 生贄の少年』。
このタイトルだけで全部ネタバレしとるがな。ヒドイ(笑)。

《よ》
『歓びのトスカーナ』(原題:La Pazza Gioia)
2016年のイタリア/フランス作品。
イタリア・トスカーナ州の“ヴィラ・ビオンディ”は、精神病患者の診療施設。
患者のひとり、ベアトリーチェは女王様気取りの自称伯爵夫人。
極度の虚言癖を持つ彼女のおしゃべりは止まらない。
ある日、体中にタトゥーを入れた鬱病患者のドナテッラが入居する。
頼まれもしないのに世話を焼こうとするベアトリーチェは、
ドナテッラが幼い息子エリアと無理に引き離されたことを知り、
「会わせてあげる」と言うのだが……。
嘘か誠かわからないベアトリーチェの話に、観るほうも翻弄されます。
ふたりの施設脱出劇も面白ければ、施設職員の温かさも伝わってくる。
エリアの養父母との対面シーンには心を砕かれ、その後の海岸のシーンに涙。
これはぜひとも劇場で観たかった作品です。
2015年に司法精神病院が廃止されたことを本作で知りました。
しかし、グルームホームなどに移れた患者は少ないとのこと、心が痛みます。

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