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映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『あいあい傘』

2018年11月08日 | 映画(あ行)
『あいあい傘』
監督:宅間孝行
出演:倉科カナ,市原隼人,入山杏奈,高橋メアリージュン,やべきょうすけ,
   越村友一,サブリナ・サイン,トミーズ雅,立川談春,原田知世他

TOHOシネマズ伊丹にて2本ハシゴの1本目。

俳優で、脚本家で、演出家で、映画監督の宅間孝行
脚本家としてはサタケミキオのペンネームでも知られていましたが、
約10年前からその名前の使用は止め、宅間孝行に統一。
これは自身の劇団“東京セレソンデラックス”の舞台劇で、
同様に舞台劇を映画化した作品としては『くちづけ』(2013)があります。

『旅猫リポート』で泣くまいとしていたように、
これはなんだかものすごく泣きそうな宣伝をしていたのが嫌で、
やはり泣くもんかと思っていました。泣きました(笑)。

毎年恒例の夏祭りが迫った田舎町で塾を経営する六郎(立川談春)。
彼と内縁関係にあるのは、恋園神社からほど近い茶屋“恋園庵”の女将・玉枝(原田知世)。
玉枝の一人娘・麻衣子(入山杏奈)は、生まれたときから家に居る六郎のことを慕いつつも、
なぜいつまで経ってもふたりが籍を入れないのかが気がかり。
そのせいで、ついつい六郎に対して冷たく当たってしまう。

祭りを盛り上げようと集うのは、テキ屋の清太郎(市原隼人)のほか、
バカップルの日出子(高橋メアリージュン)と力也(やべきょうすけ)など。

ある日、清太郎がタイプど真ん中のさつき(倉科カナ)から声をかけられる。
カメラマンのさつきは祭りの取材にやってきたのか、清太郎に町を案内してほしいと言う。
喜んで引き受けた清太郎は、さつきと結婚までできる気でいる。
あんな美人が何の魂胆もなく清太郎に近づくわけがない、そう考えた日出子が、
こっそりさつきを呼び出して尋ねたところ、仰天。

さつきは25年前に自分と母親の前から姿を消した父親を探しにきたらしい。
六郎こそがその父親なのだとわかり……。

大好きだったお父さん。今もお父さんのことを待っているお母さん。
お父さんがいなくなってからどれほど辛い思いをしたことか。
それでもお父さんを待ち続けるお母さん。
失踪して、どうしようもなく落ちぶれていればいい。
そうしたら、私がお母さんのもとへ連れ帰ってあげる。また三人で暮らそう。
そう思っていたのに。

父親は別の家庭を築いている。
可愛い麻衣子と、これ以上にないほど大らかで優しい玉枝を前にして
どうしようもない気持ちになるさつきを倉科カナが好演。

序盤はいかにも舞台劇的な台詞のやりとりで、
特に立川談春の話し方はまるで落語だから、映画では少し違和感がありました。
そこに良い感じでなだれ込んでくるのは高橋メアリージュン。
これまでの彼女の出演作の中で、この役が私はいちばん好きかも。
原田知世の心遣いを知ったときにも泣かずにいられません。

これに文句を言う人はひねくれていると思う(笑)。
『旅猫リポート』と同じく、素直に泣きましょうね。
人の温かさに触れられます。

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