夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』

2016年09月14日 | 映画(あ行)
『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』(原題:Un + Une)
監督:クロード・ルルーシュ
出演:ジャン・デュジャルダン,エルザ・ジルベルスタイン,クリストフ・ランベール,アリス・ポル,
   ラウル・ヴォラ,シリヤ・ピルガオンカル,ヴェナンチーノ・ヴェナンチーニ他

パギやんの『歌うキネマ』のほうを先にUPしました。
観たものを書くのに追っつかず、これを観たのは9日前。

ダンナ国内出張で、ワタシ2日間映画三昧。
職場や自宅近くのシネコンで上映中の作品はほとんどすでに観ていたので、
とりあえずシネ・リーブル梅田へ。

18時以降60分100円になるタイムズに駐めるつもりが満車。
平日の仕事帰りに行くときに満車だったことなんてないのに。
人通りもものすごく多くて、まだ観光客いっぱい。
そのタイムズのみならず周辺の駐車場が混雑気味で、
迷っている間に映画の選択肢が減るのも悲しいから、
たいして安くもないコインパーキングで妥協。
→結局映画を2本観て出庫して1,000円でした。500円以内で済むはずがぁ。

時間の都合で選んだ1本目。
すごく観たかったかと聞かれたらビミョーですが、
来月79歳になるクロード・ルルーシュ監督が、
その名を世界に知らしめることになった『男と女』(1966)と同じく、
盟友の作曲家フランシス・レイとコンビを組んだ作品。
主演がジャン・デュジャルダンだということと、
インドが舞台だということにも興味を惹かれ、これで手を打ちました。

パリ在住のアントワーヌは映画音楽作曲家として大成功を収め、
美しいピアニストのアリスとの恋愛も順調。
ある日、インドの映画監督から指名を受け、曲を付けるためにインドへ飛ぶ。

ニューデリーの大使館でおこなわれるレセプションに招かれた彼は、
会食の席でフランス大使サミュエルの妻アンナと隣り合わせに。
エリートのサミュエルの愛を一身に受ける彼女は天真爛漫。
退屈していたアントワーヌは彼女との会話に笑わされる。

やがてアンナは不妊に悩んでいることをアントワーヌに打ち明ける。
子どもを授かるため、聖者アンマに会いに巡礼の旅に出るのだと。
アンマに抱擁されれば、どんな人の悩み事も解決するというのだ。

眉唾ものだと思ったが、酷い頭痛に悩まされていたアントワーヌは、
医者から勧められた精密検査が怖くて逃げ出してきたばかり。
アンヌと一緒に旅をしたいのか頭痛を治したいのか自分でもわからないが、
インド南部の村へと出発した彼女を追いかけることにして……。

ところどころ苦笑。冗談か本気か測りかねる部分がいっぱい。

まず、アントワーヌが音楽を担当することになった映画。
ボリウッド版『ロミオとジュリエット』でその名も『ジュリエットとロミオ』。
宝飾店に強盗に入った男性が逃亡中に美女を轢き、
盗んだ宝石をあきらめてまで彼女を助けに戻って逮捕された、という実話を
本人たちを起用して映画化しましたっちゅうことになっているのですが、
これが寒い。寒すぎる。これって笑ってもいいところ?

アントワーヌ役のジャン・デュジャルダンは色男だし、
アンナ役のエルザ・ジルベルスタインとアリス役のアリス・ポルはタイプのちがう美しさ。
サミュエル役にはクリストファー・ランバート。
『ニルヴァーナ』(1996)の頃が懐かしい、普通のオッサンになってます。
嫉妬心をメラメラ見せながら、ほかの男に妻を躊躇なく追わせるって何?

アラン・レネ監督の作品と同じ空気を感じます。
洒落た雰囲気を醸し出そうとしているけれど、
観ているほうは目が点になるというのか。

とはいうものの、そんな作品にフランシス・レイの音楽がビタッと合っていて、
昔々の良き映画を観ているような、ちょっと幸せな気持ちにさせられます。
色男と美女がテンポよく会話し、古めかしさが素敵な音楽が流れ、
人がひしめくガンジス川と広大な自然を見られたら、まぁ良し。

クロード・ルルーシュ監督には敬意を表します。
初監督作品を酷評されて「こいつに先はないだろう」とまで言われてから55年以上。
あのときの評者らに監督はドヤ顔してもいいと思います。
来月には『男と女』のデジタルリマスター版公開。
これからもどうぞ長生きしてご活躍ください。

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