夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『友罪』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の10本目@伊丹)

2018年06月08日 | 映画(や行)
『友罪』
監督:瀬々敬久
出演:生田斗真,瑛太,夏帆,山本美月,富田靖子,奥野瑛太,飯田芳,
   青木崇高,忍成修吾,西田尚美,村上淳,片岡礼子,佐藤浩市他

6月22日公開の『焼肉ドラゴン』を試写会で観たので、そちらを先にUPしました。
今日からまた観た順に戻ります。

前日にヘロヘロになりながら西宮で4本観たおかげで、
翌日曜日は楽チン、車で伊丹へ行って3本。
ダンナ出張中だから、16時に晩ごはんじゃなくていいし(笑)。

薬丸岳の同名小説の映画化。
好きな作家なのですが、彼の作品はたいていとても重い。
立て続けにはなかなか読めないので、これも未読です。
心身ともに元気なときに読むことにして、まずは映画版を。

埼玉県の町工場に就職した益田(生田斗真)。
正義感あふれる雑誌記者だったが、夢破れてこの地に流れ着いた。
同日に就職した鈴木(瑛太)とともに一軒家の寮に入る。
同じ寮で暮らす清水(奥野瑛太)と内海(飯田芳)が先輩風を吹かし、
益田は上手く話を合わせるが、鈴木は愛想もクソもない。
人づきあいを避け、皆が起きる前に寮を出て、寝静まってから帰宅している様子。

清水は鈴木の態度を良しとせず、鈴木の留守中に部屋を物色。
たいして荷物もないなか、ナイフとスケッチブックが出てくる。
スケッチブックには中年女性の裸体のスケッチがあった。

ある日、鈴木は男・達也(忍成修吾)に追われている女・美代子(夏帆)を見かける。
美代子が咄嗟に鈴木のかげに隠れたせいで、達也は激怒。
鈴木は達也から殴られるままで一向に抵抗しない。
達也が去ったあと、鈴木の介抱をする美代子。

人と関わろうとしなかった鈴木だが、終業時間に工場までやってきた美代子をまじえ、
清水や内海、益田と一緒に飲みに行くと、カラオケを歌って笑顔も見せる。
荒んでいた益田の心も、鈴木といるうちに動きはじめる。

一方、以前益田と交際していた記者の清美(山本美月)は、
近隣の町で児童殺害事件が起こったのをきっかけに、
17年前に起きた少年Aによる同様の事件を調べ直していた。
清美から原稿についてのアドバイスを求められた益田は、
少年Aの写真に鈴木の面影を見いだし。鈴木こそが少年Aなのではと考える。
しかも、少年Aの指導教官が、鈴木のスケッチブックの女性にそっくりで……。

漠然と、伝えたいことは伝わってきます。ただ、ちょっとバランスが悪い。

益田と鈴木の話とは別に、浮き彫りになる美代子の問題。
それとはまた別に、タクシー運転手・山内(佐藤浩市)の話もあります。
山内には息子がいて、この息子がかつて交通事故で児童を死なせている。
メディアの攻撃から逃れるために、妻(西田尚美)と離婚して一家離散することを選びますが、
その息子がすべて承知の上の女性と結婚するという。
しかも相手の女性のお腹の中にはすでに子どもがいる。
山内は、人の子どもを死なせた人間に、家庭を持って幸せになる権利などないと言う。

益田と鈴木の話と山内の話が繋がるならば、
ひとつの作品として見応えがあったかもしれませんが、繋がりはない。
各々それだけでも1本になりそうな話なのに、
無理やりまとめてバラバラ、という印象を持ってしまいました。

瀬々敬久監督の作品は、なんだか私にはいつもあとひとつかふたつ物足りない。
そしてひとつかふたつ、余分。
本作ではラスト近くの山本美月演じる清美が涙を浮かべるシーンに興醒め。
そう、いつもこんな感じで涙を押しつけられている気がするのです。
逆に瑛太の演技はよかった。彼が押し殺したように話すシーンでは泣きました。

凶悪な事件が起こるたび、そんな事件の犯人なんて、死刑になってしまえ。
そう思うときがあるのは事実です。
だけど、この世に消してしまってもいい命なんてないのかな。
瑛太演じる鈴木を見ていると、そう思いました。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『焼肉ドラゴン』@試写会 | トップ | 『妻よ薔薇のように 家族はつ... »

映画(や行)」カテゴリの最新記事