「真っ白な嘘」
うーん、神木君のナレーションに思わず、冒頭から惹き込まれてしまった。
最後まで観ると、この意味が判るのだけれど、やられましたね。
こんな手に引っかかるわたしもわたしだが、これもしようがない。
わたしは、彼の大ファンだからだ。
妖怪大戦争は、小学生の甥っ子と観に行った。
どちらかと言うと、わたしの方が観たかったのであって、大の大人が1人で行くのが恥ずかしく、彼をダシに使ったのだ。
そのへんは、彼も心得ていて、ちゃんと大人しく付いてくる。
神木君を初めて観た作品は、「インストール」だ。
ちょっと生意気な小学生を見事に演じていた。
この子、天才かもしれないって驚いたのを覚えている。
「妖怪大戦争」でも、神木君の演技は断然光っていて、彼のための作品と言ってもよいくらいの出来だとわたしは思っている。
この作品で、印象的なのは、ふたりの女だ。
1人目は彼女・・・栗山千明が演じる「アギ」
わたしは、彼女の出ている作品を不思議なほどたくさん観ている。
彼女のちょっときつめの顔は、わたしの好みではない・・・むしろ嫌いなタイプなのに、である。
「死国」「バトル・ロワイヤル」「あずみ2」「キル・ビル」・・・
観ていて当然と言えば当然のビックタイトルばかりである。
多分、彼女の才能がこれだけのビックタイトルを引き寄せたのだろう。
大天狗と戦い、伝説の剣を折るシーンは圧巻。
ボンテージ風の衣装も、彼女のサド的な雰囲気を盛り上げ、しかも、衣装の色を純白にしたところが暗示的で凄くいい。
つまり、彼女は仲間の妖怪たちを裏切ってまで、「加藤」と添い遂げたかったのだ。
強がりを言っても、所詮はか弱い哀れな女の性を見事に演じていると言えるのではないか。
最後に、無情にも「加藤」に
「お前が邪魔なのだ」
と言い放たれた時の彼女の表情ときたら・・・。
深々と彼女の胴体を刺し貫いた剣。
滴り落ちる赤い血。
その血が、純白の衣装を染め、彼女の無念さを象徴していた。
2人目は、高橋真唯演じる「川姫」
最初に彼女のコスチュームを観た時、
「うわ~、なんてエロい衣装なんだ」
と思ってしまった。
下に何にも付けないで、短い「赤い」「羽織」を着ているだけに見えたから・・・。
羽織の横は、腋の下まで割れているし、それを腰紐で結わえているだけなんだもの。
当然、両脚は、腰まで見えている。
彼女はわたしの好きな顔立ちをしているだけに、
「うーん、女優さんも大変」
って、同情した。・・・もちろん、同情する必要なんてなくて、ああいう衣装が役柄上、必要なのだ。
それは、神木君や雑誌編集者の佐田(宮迫博之)が川姫に助けられるシーンでも明らかだ。
あの膝枕がなければ、女性の優しさと癒やしが表現できない。
このふたりを対比するとすれば、
こういう感じで虐められるのがいいか、
それとも、こういう感じで慰められるのがいいか、
選択することになる。
破壊と癒やし、戦いと平和・・・。
それは、悪と善にも通じる。
このふたりで、その両極を演じてみせているのだ。
その悪の根源たる「加藤」を演じている豊川悦司が凄くカッコいい。
わたしは彼の主演作は、申し訳ないことにほとんど観ていない。
観たのは、唯一、「丹下左膳」だけだ。
それでも、「丹下左膳」を観た時、非常に感動して、感想を書いたくらいだから、わたしとしては、よほどのことなのである。
「妖怪大戦争」を観に行きたかった理由のひとつは、神木君を観たかったことであるが、もうひとつの理由は、間違いなく「トヨエツ」の勇姿を見たかったからである。
彼の演じる「加藤」は、絶大な力を持ちながらも、たった一粒の「赤い」「小豆」のパワーに敗れ去る。
作品の中で、「小豆は体にええだ(byじいちゃん)」とわざわざ字幕まで出したのには、ちゃんと意味があったのだ。
最終決戦に「小豆洗い」が同行するのにも、こういう伏線が張られていたわけだ。
古来より「豆」には不思議な力があるとされているが、そんなことは、観客の大多数を占めるであろう子供たちが知っているはずないからである。
「加藤」の魔力で生まれた大怨霊「ヨモツモノ工場」は、人間たちによって費消され棄てられたあらゆるものの恨みが集まってできたものだ。
「川姫」も人間に棄てられた「人形」であり、「加藤」により妖怪として生を受けた。
「棄てられた恨みを晴らせ」と言う「加藤」に対して、「川姫」が言い放つ言葉。
「復讐は人間の証。わたしはそこまで落ちぶれていない。だから、わたしは、人間を助ける」
何とも耳に痛い言葉ではないか。
学校で難しい言葉を並べながら、エコロジーとかリサイクルなどと勉強するよりも、「妖怪大戦争」を観た方が、よほど「モノの大切さ」がよく判るというものだ。
つまり、この作品のもうひとつのテーマ。
「ものは大切に」
ふふふ。思わず、微笑んでしまう。
たくさんの子供が観ることを前提に創られた作品だけに、単純明快、勧善懲悪、モラルの問題まで包含して、よく出来ていること!
さて、冒頭の神木君のセリフ「真っ白な嘘」
この意味は、是非、ご自身でお確かめください。
この作品、赤と白の対比で作られていることに、最後に気が付くという趣向なのです。
だからと言って、猩猩をここまで、真っ赤かにしなくても・・・。
近藤正臣さんて、判りませんでしたよ。
これは、期待どおりというか、予想に反してというか、おもしろくて、なおかつ、含蓄の深い作品でした。
minaは大満足。もちろんハートは3つ。
是非、子供さんと映画館に観に行ってください。
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うーん、神木君のナレーションに思わず、冒頭から惹き込まれてしまった。
最後まで観ると、この意味が判るのだけれど、やられましたね。
こんな手に引っかかるわたしもわたしだが、これもしようがない。
わたしは、彼の大ファンだからだ。
妖怪大戦争は、小学生の甥っ子と観に行った。
どちらかと言うと、わたしの方が観たかったのであって、大の大人が1人で行くのが恥ずかしく、彼をダシに使ったのだ。
そのへんは、彼も心得ていて、ちゃんと大人しく付いてくる。
神木君を初めて観た作品は、「インストール」だ。
ちょっと生意気な小学生を見事に演じていた。
この子、天才かもしれないって驚いたのを覚えている。
「妖怪大戦争」でも、神木君の演技は断然光っていて、彼のための作品と言ってもよいくらいの出来だとわたしは思っている。
この作品で、印象的なのは、ふたりの女だ。
1人目は彼女・・・栗山千明が演じる「アギ」
わたしは、彼女の出ている作品を不思議なほどたくさん観ている。
彼女のちょっときつめの顔は、わたしの好みではない・・・むしろ嫌いなタイプなのに、である。
「死国」「バトル・ロワイヤル」「あずみ2」「キル・ビル」・・・
観ていて当然と言えば当然のビックタイトルばかりである。
多分、彼女の才能がこれだけのビックタイトルを引き寄せたのだろう。
大天狗と戦い、伝説の剣を折るシーンは圧巻。
ボンテージ風の衣装も、彼女のサド的な雰囲気を盛り上げ、しかも、衣装の色を純白にしたところが暗示的で凄くいい。
つまり、彼女は仲間の妖怪たちを裏切ってまで、「加藤」と添い遂げたかったのだ。
強がりを言っても、所詮はか弱い哀れな女の性を見事に演じていると言えるのではないか。
最後に、無情にも「加藤」に
「お前が邪魔なのだ」
と言い放たれた時の彼女の表情ときたら・・・。
深々と彼女の胴体を刺し貫いた剣。
滴り落ちる赤い血。
その血が、純白の衣装を染め、彼女の無念さを象徴していた。
2人目は、高橋真唯演じる「川姫」
最初に彼女のコスチュームを観た時、
「うわ~、なんてエロい衣装なんだ」
と思ってしまった。
下に何にも付けないで、短い「赤い」「羽織」を着ているだけに見えたから・・・。
羽織の横は、腋の下まで割れているし、それを腰紐で結わえているだけなんだもの。
当然、両脚は、腰まで見えている。
彼女はわたしの好きな顔立ちをしているだけに、
「うーん、女優さんも大変」
って、同情した。・・・もちろん、同情する必要なんてなくて、ああいう衣装が役柄上、必要なのだ。
それは、神木君や雑誌編集者の佐田(宮迫博之)が川姫に助けられるシーンでも明らかだ。
あの膝枕がなければ、女性の優しさと癒やしが表現できない。
このふたりを対比するとすれば、
こういう感じで虐められるのがいいか、
それとも、こういう感じで慰められるのがいいか、
選択することになる。
破壊と癒やし、戦いと平和・・・。
それは、悪と善にも通じる。
このふたりで、その両極を演じてみせているのだ。
その悪の根源たる「加藤」を演じている豊川悦司が凄くカッコいい。
わたしは彼の主演作は、申し訳ないことにほとんど観ていない。
観たのは、唯一、「丹下左膳」だけだ。
それでも、「丹下左膳」を観た時、非常に感動して、感想を書いたくらいだから、わたしとしては、よほどのことなのである。
「妖怪大戦争」を観に行きたかった理由のひとつは、神木君を観たかったことであるが、もうひとつの理由は、間違いなく「トヨエツ」の勇姿を見たかったからである。
彼の演じる「加藤」は、絶大な力を持ちながらも、たった一粒の「赤い」「小豆」のパワーに敗れ去る。
作品の中で、「小豆は体にええだ(byじいちゃん)」とわざわざ字幕まで出したのには、ちゃんと意味があったのだ。
最終決戦に「小豆洗い」が同行するのにも、こういう伏線が張られていたわけだ。
古来より「豆」には不思議な力があるとされているが、そんなことは、観客の大多数を占めるであろう子供たちが知っているはずないからである。
「加藤」の魔力で生まれた大怨霊「ヨモツモノ工場」は、人間たちによって費消され棄てられたあらゆるものの恨みが集まってできたものだ。
「川姫」も人間に棄てられた「人形」であり、「加藤」により妖怪として生を受けた。
「棄てられた恨みを晴らせ」と言う「加藤」に対して、「川姫」が言い放つ言葉。
「復讐は人間の証。わたしはそこまで落ちぶれていない。だから、わたしは、人間を助ける」
何とも耳に痛い言葉ではないか。
学校で難しい言葉を並べながら、エコロジーとかリサイクルなどと勉強するよりも、「妖怪大戦争」を観た方が、よほど「モノの大切さ」がよく判るというものだ。
つまり、この作品のもうひとつのテーマ。
「ものは大切に」
ふふふ。思わず、微笑んでしまう。
たくさんの子供が観ることを前提に創られた作品だけに、単純明快、勧善懲悪、モラルの問題まで包含して、よく出来ていること!
さて、冒頭の神木君のセリフ「真っ白な嘘」
この意味は、是非、ご自身でお確かめください。
この作品、赤と白の対比で作られていることに、最後に気が付くという趣向なのです。
だからと言って、猩猩をここまで、真っ赤かにしなくても・・・。
近藤正臣さんて、判りませんでしたよ。
これは、期待どおりというか、予想に反してというか、おもしろくて、なおかつ、含蓄の深い作品でした。
minaは大満足。もちろんハートは3つ。
是非、子供さんと映画館に観に行ってください。
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minaさんの、アギと川姫に関する考察は面白いですね。この考察を読ませていただいてから、『妖怪大戦争』を私の中で整理し直してみました。すると、「アギと川姫」「赤と白」「善と悪」「人間と妖怪」「都会と田舎」「日常と非日常」「大人と子供」というように、多くの対立軸が潜んでいたことに気が付きました。分かりやすいストーリーの中に色々なことを詰め込んでいた映画なのだと思い知らされました。
女ながらドッキリしちゃいました(笑)
美少女や美少年、そして美中年に、目を奪われてばかりいました。目の保養でした。
川姫の服装、セクシ-すぎますよね。女である私でさえドキドキしました。
妖怪大戦争、いろんな意味で楽しめましたよね。
今年の夏も、高校野球の苫小牧の57年ぶりの連覇を締めくくりに終わろうとしていますが、瑠架さんの夏はどんな夏でしたか?
タダシ君のような一生の思い出となるような夏になったらいいですね。
だから、わたくしには妖怪が見えないのでしょうね、ははは。
神木君の演技は「天才」というだけでなく、あれだけの面々を相手に全く引けを取らないあたりがすごいです。同年代の子供たちとの演技の差にはビックリですもん。
しかし、大人まで、萌えちゃっていますね。
神木くん、かわいかったですよね~、ホント。
いい役者さんになって欲しいものです
それと「真っ白なウソ」大人から見ると、
素直に受け入れられないような・・・。
今頃になって、DVDで見まして、面白かったです。近く地上波で放送されるようですけど。
そうか、白と赤の対比というのがあったんですね。気が付きませんでした。豆にもピンと来ませんでした。minaさんのレビュー読ませてもらってから、気が付いてことがけっこういっぱいありました。
底辺にあるテーマですが、僕が子供の頃、物を大切に大事に‥、と教わって育ちましたが、高度経済成長、バブル時代と過ぎて行き、大量消費社会が定着した感もある現代ですけど、「もったいない」や「物は大事に」「倹約貯蓄」というのと、資本主義下の経済が活発な社会とは、対立構造になっていて、大きなジレンマがあると思います。難しいですね。
昔の人たちが真っ暗な夜の闇の中で、恐怖心などが作り出した、思い過ごしや勘違い、見間違い、といったものが生み出した、素朴なファンタジーである妖怪たちが、現代情報化社会の中で居なくなってしまったのは、ちょっと寂しい気持ちがします。
ラストにアップで、水木しげる先生の元気な顔が見れて嬉しかったです。
神木隆之介君、美少年ですねえ。美少年というより、もっと子供ですけど、綺麗な子供だなあー、と惚れ惚れ感心して見ました。美しい児童というか。
小学生くらいの子役美少女も多いですけど、男の子で、感心するくらいの子役美少年は初めてです。演技も実にうまいし、「おおおォ‥」というオドロキ方も相当に気に入りました。
子役美少女で好きになる女の子も時たま居ますが、男の子では初めて好きになった感じですね。
なんて書き込んでいると、幼児趣味の変態と思われる恐れもありますけど、私は断じて、そういう意味で綺麗だ可愛いと思っている訳ではありませんで‥。
ロリコンというのも解らない訳ではないのですけど、自分は、そういう意味とは違う美感で見ていると思っていますけど‥。
最近、調子が悪いものですから。
ホント、命が尽きるかもしれません。
そのくらい、悲惨な状態なんです。
そのせいか、感受性が著しく低下して、何に対しても、反応できません。
心も身体も病んでいます。
だから、良い作品を観ても、感想を書くことができないし、コメントをいただいても、お返事を書く気力がなかなか湧いてこないんです。
こんな弱音を吐くようでは、駄目ですね。
この作品を観た1年前は、こんなにも元気だったんだなと感慨深いです。
白と赤の対比は、最近観た作品だと、「ブロミス」がありました。非常におもしろかったです。映像の現実離れした美しさは、「ヒーロー」とか「ラバーズ」に通じるものがありました。ストーリーも非現実と現実が交錯して、不思議な趣・・・そうですね、中国の怪異話を集めた「聊斎志異」のような雰囲気が、わたしにはたまらなく魅力的でした。
本来なら、こういうことは、ちゃんと記事にするのですが、その気力がありません。
kenさんは、わたしみたいにならずに、この夏を上手に乗り切ってください。