多分４人の思い出旅、かな

由緒ある教会で母を送った後
時間の都合でもう一泊することになり
相方の提案で神戸に宿をとることにした
結婚後僅かの期間過ごした神戸
私たちにとって特別な街
いわくつきの街

それならとその地で生まれた息子を誘った
多分最後になる親子三人感傷寄り道旅

翌日、思い出巡りのドライブ
勤め先は地震の被害に合い移転していた

奇跡は起きるものだね
当時すでに古家だった２つの住まいは現存していた

六甲山の麓近くの間借り家
流石に機能してはいなかったけれど
あまりの古さに煤けた表札に
しっかり大家さんの名前があった

高圧電線の鉄塔がそびえ立つ
六甲の山を越えた町
鈴蘭台の坂道にある文化住宅
４０年前そのままの姿で静かに
朽ちるのを待っていた

どちらの家も周囲は
マンションやらコンビニやらと様変わり
まるでエアポケットのように
その家だけが手を入れた形跡もなく昔の姿で佇む

どちらの住まいも母が何度も長逗留した家
一緒に買い物をしたスーパーもそのまま

やっぱり不思議だ
私たちが三人で見届けに来るのを待っていた・・
と思うことにした

思えば母も顔を見せない娘と
可愛がっていた孫の姿を見届けて数日後に逝った

この旅は私たち三人の思い出が朽ち果ててしまう前にと
母が計画してくれたのかも

きっとそうだ、と思うことにしたよ
ね、お母さん