私は本来、「いじめ」と「いじり」は似ていて、異なるものだと考えています。
しかし、中学生の場合は、「いじり」はとかく「いじめ」になります。
では、「いじめ」と「いじり」は、どのようにちがうのかを考えていきます。
そのために、次の例から考えてみます。
現在はサッカーの解説をしたり、タレント業をつとめる前園真聖さんは、ご存知の通り、サッカーJリーグ横浜フリューゲルスで活躍したもとサッカー選手です。
前園さんは、タクシーの運転手さんとトラブルを起こし、謝罪会見をしたのは2013年のことでした。
仕事が全くゼロになった前園さんは、このとき今まであたりまえのことだと思っていたことがあたりまえでなかったのだと思い知ったそうです。
事件のあとは、誰も声をかけてくれません。ファンの人たちがいるから、自分があるということが痛いほどわかったのです。
まったく先が見えず仕事がないなかで、初めて解説の仕事が一つきました。そのときの嬉しかった気持ちは忘れられない。
そして、最初は一本だった仕事が少しずつ増えてくることになりました。
ただ、どの仕事でも、過去の前園さんの事件については、誰も触れない、タブーになっているという雰囲気を、周りから感じていました。
腫れ物に触るがごとくの扱いをされることに、本人はモヤモヤした気持ちをもっていました。
(次号に続く)
※ 本文は『PHP No.848』の「ありのままのさ自分を出してみよう」を引用しました。