
私たちは、通常、素直な子はかわいく思います。自然と愛情をかけてしまいます。
一方、反抗的でひねくれた言動をする子には、憎たらしく感じ、愛情をかけにくくなります。
しかし、いうことをきかず、反抗的なのは、ほんとうは甘えているのです。
反抗しても、相手は見捨てないという安心感がどこかにあるので、反抗的になれるのです。
このとき、大人と子どもの間には、むしろ一定の信頼関係があると、考えるべきでしょう。
心配なのは、反抗もしない、けれども、心を寄せているとも感じられない子どもです。
たとえば、幼少期に虐待を受けて育った子は、いつ親から見捨てられるかわからないという不安感を抱いています。
したがって、反抗すらできないでいるのです。そのような子は一見、大人にとっては、文句を言わない、「素直な子」に思えます。
しかし、それは大人への信頼関係が薄いのであり、思春期以降には、がまんしていたものが突然爆発し、人に攻撃的・暴力的に出る場合もあります。
こちらの方が深刻てす。
親御さんにしてみれば、反抗ばかりするわが子に、「問題だ」と思われるかもしれませんが、じつは子育てはうまくいっているのです。
相手に対して、本音では頼っているから、反抗できるのです。
だから、反抗的な子には、口うるさく、クドクド言わず(思春期の子は、これをいちばん嫌います)、そっとしておかれたらいいのです。
そっとしておくと、「ねえ、ねえ・・・」「ちょっと・・・」と、むこうからすり寄ってくることもあります。これが、思春期の子どもなのです。