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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

郵政改革法案は急がなくともよい

2010-11-15 | 日記
YOMIURI ONLINE」の「亀井代表「何を考えている」郵政法案見通し不明」( 2010年11月10日22時32分 )

 郵政改革法案の扱いを巡り、同じ与党の民主党と国民新党の間で不協和音が強まっている。

 民主党内では、12月3日の会期末までに成立させるのは難しいとの見方が強まっているが、国民新党は「成立は公党間の約束だ」(亀井代表)として今国会での成立にこだわっているためだ。

 「国会運営がタイト(窮屈)に進んでいる。何を考えているのだ、と言いたくなる。会期末までに民主党は公党間の約束をどのように果たすつもりなのか。スケジュールを国民新党に説明する責任がある」

 亀井氏は10日の党議員総会でこう述べ、郵政法案の審議の見通しが立たないことに不満を表明した。


 郵政改革法案の今国会での成立が難しくなっている、と報じられています。



 次に、政府の郵政改革法案の内容 (概要) を引用します。



47 NEWS」の「郵政改革法案の要旨」( 2010/03/24 11:37 )

 政府が発表した郵政改革法案(概要)の要旨は次の通り。

 一、日本郵政グループの4分社化体制を見直し、持ち株会社と郵便事業会社、郵便局会社の3社を統合、その下にゆうちょ銀行とかんぽ生命保険を置く体制にする。

 一、政府は持ち株会社に対して3分の1超出資。持ち株会社はゆうちょ銀行とかんぽ生命に対してそれぞれ3分の1超出資する。

 一、ゆうちょ銀行の預入限度額を現在の1千万円から2千万円に引き上げる。かんぽ生命の保険金上限額は現在の1300万円から2500万円に引き上げる。

 一、基本的なサービスを全国あまねく公平に行うユニバーサルサービスについて、現在義務付けられている郵便事業に加えて、ゆうちょ銀行、かんぽ生命にも拡大する。

 一、かんぽ生命にがん保険などの新規事業への参入を認める。

 一、日本郵政グループの会社間の取引で生じる年間500億円規模の消費税を免除する。

 一、ゆうちょ銀行やかんぽ生命に対し、金融検査の手続きを簡素化する。


 郵政民営化を「完全に阻止」する内容ではなく、民営化の「程度を弱める」内容であると報じられています。



 郵政民営化を「完全に阻止」する法案ではなく、「程度を弱める」法案であれば、(亀井代表としては) 無理に今国会で成立させる必要はないのではないかと思います。



法令データ提供システム」の「日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律(平成二十一年十二月十一日法律第百号)

(趣旨)
第一条  この法律は、郵政民営化(郵政民営化法 (平成十七年法律第九十七号)第一条 に規定する郵政民営化をいう。)について、国民生活に必要な郵政事業(日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金銀行(同法第九十四条 に規定する郵便貯金銀行をいう。以下同じ。)、郵便保険会社(同法第百二十六条 に規定する郵便保険会社をいう。以下同じ。)及び独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が行う事業をいう。)に係る役務が適切に提供されるよう、政府において平成二十一年十月二十日の閣議決定に基づきその見直しを検討することとしていることにかんがみ、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止、旧郵便貯金周知宣伝施設(日本郵政株式会社法 (平成十七年法律第九十八号)附則第二条第一項第一号 イに掲げる施設をいう。以下同じ。)及び旧簡易保険加入者福祉施設(同号 ロに掲げる施設をいう。以下同じ。)の譲渡又は廃止の停止等について定めるものとする。

(日本郵政株式会社の株式の処分の停止)
第二条  政府は、郵政民営化法第七条第一項 本文及び日本郵政株式会社法 附則第三条 の規定にかかわらず、別に法律で定める日までの間、その保有する日本郵政株式会社の株式を処分してはならない。

(郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止)
第三条  日本郵政株式会社は、郵政民営化法第七条第二項 及び第六十二条第一項 の規定にかかわらず、前条の別に法律で定める日までの間、その保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式を処分してはならない。

(旧郵便貯金周知宣伝施設及び旧簡易保険加入者福祉施設の譲渡又は廃止の停止)
第四条  日本郵政株式会社は、日本郵政株式会社法 附則第二条第一項 の規定にかかわらず、第二条の別に法律で定める日までの間、旧郵便貯金周知宣伝施設及び旧簡易保険加入者福祉施設の譲渡又は廃止をしてはならない。

(中略)

  附 則

 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。


 「日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等」が定められています。



 この法律 (株式の処分の停止等に関する法律) は、「公布」がなされたのが「いつ」なのか調べていませんが、「法令データ提供システム」に掲載されているので

   すでに「公布」されて「施行」されている、

とみてよいと思います。

 とすれば、郵政改革法案の成立を急ぐ必要はないと考えられます。

 私には、「郵政法案の審議の見通しが立たないことに不満を表明した」亀井代表の真意がわかりません。



 なお、私は「郵政改革 ( 小泉改革 )」に述べたとおり、(亀井代表と同じく) 完全民営化には反対しています。

 また、関連記事として、「郵政改革にみる「完全民営化」と「完全に民営化」」があります。よろしければご参照ください。

中国共産党による独裁体制の確立と、その現状

2010-11-15 | 日記
陳惠運・野村旗守 『中国は崩壊しない』 ( p.64 )

 中華人民共和国は、毛沢東の共産党が蔣介石の国民党を打倒して成立した。共産党が国民党を糾弾するとき、その最大の罪として呼号したのは「一党独裁」だった。共産党の政権奪取後、当然のことながら新生中国は民主国家に生まれ変わるものと期待されたが、実際にでき上がったのは共産党による、より強固な一党独裁国家だった。
 五六年、毛沢東はいわゆる百花運動(「百花斉放<大鳴大放>・百家争鳴」とも言う。「共産党に対して自由に意見を提出せよ」との意 ) によって批判分子を炙り出し (あぶりだし) 、とくに共産党以外の各党派 (民主党派と総称される) に属する知識人を「右派」として逮捕、粛清した。「右派」に分類された知識人たちは、辺境地に追放されるくらいはまだましで、その多くが失意のうちに絶命した。
 こうして共産党は反対派を一掃して一党独裁体制を確立したのだが、国内外に対して近代国家としての体面を保つため、自分たちに従順な党派に限って民主党派の存続を認めた。建国当時から現在にいたるまで、中国には共産党以外に中国国民党革命委員会、中国民主同盟、中国民主建国会、中国民主促進会、中国農工民主党、中国致公党、九三学社、台湾民主自治同盟の八つの政党がある。
 いずれも中国成立時に国民党に抗して共産党を支持した党派であり、しかも党員数は数万から十数万で、その勢力は七四〇〇万の共産党とは較ぶ (くらぶ) べくもない。すなわち、現在の中国に共産党に対抗し得る政治勢力は存在しない。
 民主党派の指導者たちは日本の衆議院にあたる全国人民代表大会 (全人代) や参議院にあたる政治協商委員会 (政協) などに代表議員として送り込まれているが、その権限はほとんどなく、単なる名誉職に過ぎない。彼らは共産党の指名によって国会に送り込まれたただの飾り物なのだ。
 それ以外にも、中国ではすべての政府の役職に関して共産党が人事権を握っている。
 全人代には三〇〇〇人ほどの代表議員――日本でいう国会議員――がいて、国家主席や国務院総理 (首相) もここで選出される。しかし、選挙にあたって投票用紙に書いてあるのはあらかじめ党が決定した一人の名前だけである。投票とはいっても議員たちの仕事はそこに○をつけるだけなのだ。そのため中国人は、全人代をただのゴム印だと揶揄 (やゆ) している。
 全人代の議員たちは、各地方の行政区から推挙されて北京の全人代にやって来る。一つの行政区から複数の議員が選出されることも多いが、誰を選ぶか、党員の比率をどうするかについて事実上の決定権を持つのは地元の共産党組織である。
 しかし、各地方の共産党トップはすべて党中央から派遣されており、最終的に全人代の代表議員になるには党中央の審査を受けなければならないので、結局人選の権利はすべて北京の党中央が握っていることになる。
 中国には現在、三四の省・自治区・直轄市・特別行政区がある。それらの省長・区長・市長は、各地の人民代表大会で選ばれたことになっているが、実際には裏で北京の党中央が決定している。党中央組織部が何人かのリストを作成して最高首脳部である党中央政治局常務委員会にお伺いを立て、一人に絞ったあとに全人代に降ろすのである。
 表面的に見れば、中国は国民政府が機能し、三権分立が確立した国民国家に見えるが、その実態は、立法府 (全人代、政協) も、司法府 (裁判所と検察院) も、そして中央政府から末端の行政機構まで、すべて北京の共産党中央委員会が裏で人事権を握る完全な一党独裁国家である。大臣クラスの高級役人も党中央の意向一つで簡単に首が飛ぶ。


 中国共産党がいかにして独裁体制を確立したか、また、現在その一党独裁体制はどのようなシステムになっているかが、書かれています。



 一党独裁体制を確立する過程について。

 蔣介石の国民党を糾弾する際に、「一党独裁」であることを批判しておきながら、みずからが権力を握ると、みずから「一党独裁」体制を構築したというのは、権力闘争の「手段」としてはあり得るでしょうが、「卑怯」ではないかという気がしないでもありません。

 また、反対派を潰す手段として「自由に意見を提出せよ」と宣言しておいて、それを信用して提出された意見のうち、共産党に対して批判的な意見の提出者を逮捕・粛清したというのも、「卑怯」ではないかと思います。

 これでは、共産党を信用しろ、というのが無理ではないでしょうか。

 中国共産党は政治的テクニックに長けている、と言えばそれまでですが、やはり、「超えてはならない一線」というものがあるのではないかと思います。



 次に、現在、一党独裁体制はどのようなシステムになっているか、についてですが、

 ここでも、「飾り物」として野党の存在を認めたり、「形だけ」の投票がなされたり、「表面上」三権分立になっているけれども実態は違うなど、「形だけ」民主国家のシステムが整えられているとされています。

 「形だけ」民主制をとり入れるやりかたは、中国共産党の「正当性」を内外にアピールする手段として機能していると思われます。

 「形だけ」ですから、その意図・狙いはもちろん、民主化ではないと考えられます。これも要は、一党独裁体制を維持するための政治的テクニックであり、民主化など「する気はない」ということではないかと思われます。



 もっとも、「社会が安定すれば民主化する」、「それまでは」形だけの民主化にとどめざるを得ない、と解釈する余地がまったくないわけではないので、中国共産党が民主化「する気はない」とまで言い切ってよいのか、という批判はあり得るところです。

 しかし、かりに政治的テクニックとして「形だけ」民主化されているとすれば、

   「形だけ」の民主化であり民主化「する気はない」のではないか、
   独裁体制の維持が目的ではないか、

という追及・批判をかわすうえで、これはきわめて効果的であり、その意味で効果的 (かつ悪質) な「政治的テクニック」だといえます。



 「形だけの民主化」なのか「過渡期の現象」なのか。どちらなのかは、(外部からは) 断定しづらいのですが、中国共産党が一党独裁体制を確立する過程をも併せ (あわせ) 考えれば、「形だけの民主化」であり「独裁体制の維持が目的である」と捉えるのが、適切ではないかと思います。

 とすれば、中国共産党は民主化するつもりはない、中国は民主化されないだろう、と考えることになります。

中国共産党は分裂しない

2010-11-14 | 日記
陳惠運・野村旗守 『中国は崩壊しない』 ( p.62 )

 党政治局常務委員会は中国の事実上の最高意思決定機関であり、現在は胡錦濤 (党総書記、国家主席、中央軍事委員会主席) 、呉邦国 (全国人民代表大会常務委員長) 、温家宝 (国務院総理=首相) 、賈慶林 (政治協商会議全国委員会主席) 、李長春 (思想担当) 、習近平 (党中央書記処常務書記、国家副主席) 、李克強 (国務院常務副総理) 、賀国強 (党中央規律検査委員会書記) 、周永康 (中央政法委員会書記) の九人のメンバーで構成されている。
 かつての中国は、一人の絶対的な権力者による個人独裁国家だった。毛沢東が「左」と言えば全員が左を向き、小平が「右」と言えば全員が右を向いた。しかし、いまの中国にはそのような突出した指導者はいない。現在の中国は共産党による一党独裁国家ではあるが、複数の常務委員による集団指導体制である。その常務委員にしても、党内の支持基盤が安定していなければ強い発言権を維持できない仕組みになっている。
 近年になって雷鋒精神の見直しがはじまったのは、党内左派による巻き返しの圧力がもはや無視できないほどになってきたからだ。〇七年一〇月の中国共産党第一七回大会がはじまる一ヵ月前、一七〇人もの古参党員が連名で党中央に建言書を提出した。名前を連ねたのは、元国家統計局長、元全中国労働者組合書記処候補書記、元光明日報副編集長、元化工部長、元青海省共産党委員会書記……等々、ほとんどが省長クラスの党高級幹部だった。
 建言書はまず党の変質を強く批判し、「現在我々は党と国家の明暗を分かつ分水嶺に立っている」と指摘した。また、毛沢東思想と小平理論を対照し、小平の問題を摘出した。さらに行き過ぎた資本主義に反対し、社会主義体制を堅持するため、小平理論と江沢民理論を党規から排除するよう呼びかけたほか、党内規律の綱紀粛正のため、二六ヵ条に及ぶ改革案を提起した。
 ここに名を連ねた一人に馬賓がいる。かつて北京の中央政府機電部で江沢民の上司を務めた人物で、現在 (〇九年) 九五歳の古参党員である。『記念毛沢東』という本を著した彼は、二〇〇〇年頃から文化大革命の意義を再評価する論文をつぎつぎと発表し、改革開放路線を敷いた小平を「ブルジョアの政客」と痛烈に批判していた。また、小平に否定された毛沢東の名誉回復を求めたほか、江青ら四人組の名誉回復まで主張した。
 馬賓らのこうした過激な主張が国民のあいだで一定の支持を得ているのは、改革開放から三〇年を経た国内で、格差拡大、党幹部の腐敗・汚職等さまざまな問題が噴出し、左派に攻撃の根拠を与えているからだ。文革に参加した五〇~六〇代の層は、その大半が馬を支持している。
 このように、現在の共産党には党内に自律調整機能がある。極端に右傾化が進めば左派がこれを引き戻し、極左が暴走しようとすれば右派がこれを押しとどめるだろう。さらに付言すれば、党内の左右両派によるイデオロギー論争が派閥抗争や内部分裂にいたる可能性はきわめて少ない。なぜといえば、左派にしろ右派にしろ、「共産党による一党独裁権力の恒久的な維持と強化」ということで、その目的は合致しているからだ。


 現在の中国には突出した指導者はおらず、複数の常務委員による集団指導体制である。したがって共産党が極端に右、または左に暴走することはあり得ない。しかし、党内の左右両派による論争が内部分裂にいたる可能性はきわめて少ない。なぜなら、左派も右派も、「共産党による一党独裁権力の恒久的な維持と強化」を目的としているからである、と書かれています。



 「突出した指導者はいない」。

 このことは、一面では「人物が小さくなった」ともいえますが、要は政権が安定してきた結果、「カリスマが必要とされなくなった」ということではないかと思います。いまや、突出した指導者が現れるような時代ではなくなったということです。とすれば、今後、新たなカリスマが現れる可能性は (ほとんど) 考えられず、

   中国共産党においては、今後、集団指導体制が継続される

と考えてよいと思います。



 次に、党高級幹部による建言書、すなわち党の変質を強く批判し、行き過ぎた資本主義に反対して社会主義体制の堅持を主張する建言書が提出された、という点ですが、このことは、

   中国共産党内において左右両派の勢力が拮抗しており、
     (集団指導体制によって) バランスのとれた政治が行われている

ことを示している、とみてよいと思います。



 一部には、中国における左右両派の抗争が中国の分裂をもたらす、と分析・予想する人もいますが、

江沢民理論=「三つの代表」論」を、中国共産党が「あくまでも (共産党の) 特権・利権は捨てない」と宣言したものと捉えるならば、(著者の述べているように) 左右両派の抗争が党の分裂や、中国の分裂に至る可能性はきわめて小さいと考えられます。「中国人が共産党に入党する動機」のところで引用した「中国における共産党の特権・利権の凄さ」を考えれば、この予測には説得力があると思います。

 したがって、党内における左右両派の政策の相違は、(党の分裂・中国の分裂をもたらしたりはせず) 党内で消化され、中道的な政治が行われる結果をもたらす、とみてよいのではないかと思います。



 なお、引用文中で述べられている「雷鋒精神」とは、雷鋒の生きかた、すなわち生涯を党と人民への奉仕に捧げて「革命機械のなかの錆びないクギ」と称えられ、毛沢東が「向雷鋒同志学習 (雷鋒同志に学べ)」と号令して共産党員の手本とされた生きかたを指しています。つまり、金儲け・利己主義に走らず、党と人民のために生きる精神のことです。

民主党、日銀法改正を正式に検討開始

2010-11-13 | 日記
Economics Lovers Live」の「[経済]民主党、日本銀行法改正の正式検討手続きに入る

素晴らしい。基本的な方針は大賛成ですので、どうかよろしくお願いします。

http://blog.guts-kaneko.com/2010/11/post_554.php

引用
 われわれの提案する日銀法改正案は、こちらにもありますように、

①米FRB(連邦準備制度理事会)を見習い、日銀による金融政策の目的に「雇用の最大化」を盛り込む

②物価安定目標(インフレターゲット)政策を導入する

③総裁、副総裁、政策審議委員等の選定のあり方を再検討(透明化など)する

 以上の3点を中心としています。


 民主党が日銀法改正を正式に検討し始めた、と書かれています。




 「デフレの脱出策と日銀の説明責任」で述べたとおり、日本銀行の政策に対して (まったく) 疑問がないわけではなく、その意味で法改正を目指す、というのはわかります。そして、その観点からすれば、たしかに「素晴らしい」といえると思います。

 しかし、「クルーグマンの比喩「子守協同組合」」で述べたように、金融政策のみでは限界があることも確かであり、また、(予想外の方面で) 思わぬ弊害が現れないともかぎりません。



 日銀法改正が「素晴らしい」といえるのかは、その影響の度合いを複合的に考えなければならないので、(私には) わかりませんが、

 「検討する」こと自体は「素晴らしい」と思いますし、期待したいと思います。

中国共産党の官僚化=エリート集団化

2010-11-13 | 日記
陳惠運・野村旗守 『中国は崩壊しない』 ( p.53 )

 〇八年七月一日、中国共産党成立八七周年の記念日に党中央組織部が発表したデータによれば、〇七年末までの全国共産党員の総数は七四一五万三〇〇〇人。国民の約二〇人に一人が共産党員である計算になる。また、〇七年一年間の新規入党者は二七八万二〇〇〇人であり、そのうち二二二万九〇〇〇人が三五歳以下だった。
 全党員のうち短大卒以上の者は三一・一%を占め、党全体の高学歴化の傾向が窺える。〇二年に五四万九〇〇〇人だった全国の大学生党員は、〇六年になると一九四万七〇〇〇人に激増した。さらに〇七年には一年間に九九万六〇〇〇人の大学生が新たに入党を果たした。
 結党当初、農民と労働者による人民統治を謳った中国共産党はどこかへ消えてしまった。階級闘争とプロレタリア独裁の理念は忘却の彼方に葬り去られ、今後は若いホワイトカラーを中心としたエリート主義集団としての色彩を強めてゆくだろうと見てまず間違いない。
 さらに、この党を下支えする青年組織が一四歳から二八歳までの「中国共産主義青年団 (共青団)」だ。党の助手と予備軍である共青団の起源は、共産党結成以前の一九二〇年八月上海で起こった社会主義青年団にはじまる。二一年の共産党創立と同時に全国展開され、その後何度かの名称変更を経て、五七年に現在の中国共産主義青年団に落ち着いた。共青団幹部を経て共産党の要職に就く者も多い。現在の国家主席・胡錦濤もこの共青団の幹部から党中央に抜擢された一人だし、その胡錦濤を指導したのが共青団総書記から共産党総書記になった胡耀邦だった。
 共産党の人材育成は小学校からはじまっている。共青団の前段階として、中学二年生までの子供たちで組織される「中国少年先鋒隊 (少先隊)」がある。共青団の団員はこの少先隊のなかから選抜される。

(中略)

 現在の中国の学校では、小学校から大学まで週に一、二時間、思想教育の時間があり、共産主義の基礎理論を学習しなければならない。また、すべての小学校では『没有共産党、就没有新中国 (共産党がなければ新しい中国もない)』という毛沢東時代の共産党賛歌が歌われているほか、歌詞の歴史的意義については中学校の歴史教科書でも教えられる。


 中国共産党は、(農民と労働者の代表としての性格を失い) エリート主義集団としての色彩を強めてゆくだろうと見てまず間違いない、と書かれています。



 小平による経済改革 (資本主義化) の結果、中国社会は事実上「共産主義を捨てた」といってよい状況になり、

 それを受けて提出された「江沢民理論=「三つの代表」論」によって、共産党の存在意義は「中国のリーダー (指導者) である」ということになりました。

 共産党の存在意義が「中国のリーダー (指導者) である」点にあるとすれば、もはや農民・労働者の代表である必要はありません。共産党がエリート集団であることこそが、重要であることになります。

 とすれば、著者が予想するとおり、中国共産党は今後、エリート主義集団としての色彩を強めてゆくだろう、と予想されます。



 中国の学校で、小学校から大学まで思想教育を行い、共産党の「素晴らしさ」を教え、かつ、「中国少年先鋒隊 (少先隊)」のなかで特に優れた者を「中国共産主義青年団 (共青団)」のメンバーに選抜し、そのなかで特に優れた者を党中央に抜擢するシステムが構築されていることは、まさにこのエリート主義集団としての中国共産党の性格からみて、理にかなっているといえます。

 もっとも、このシステムは中国共産党が官僚化してきて結果として、できあがったのではないかと思われます。すなわち、エリート主義化を図ろうとしてこのシステムが構築されたのではなく、戦後、共産主義政権が安定化してくる過程でこのシステムが発達した、とみるのが適切でしょう。この意味でも、江沢民理論=「三つの代表」論は新しい理念を提起したものではなく、たんに現状を追認し、肯定する理論 (理由づけ) を提出したものにすぎないと考えられます。



 共産党による思想教育の成果である「国民の約二〇人に一人が共産党員」という現実は、共産党が中国社会の隅々にまで滲透 (しんとう) している現実を示していると考えられます。反政府の動きなどは、ただちに党中央に報告され (て鎮圧され) るでしょう。

 学校における思想教育が行われていることもあり、反政府・反共産党の動きは、あっても小規模なものにとどまり、大規模化することはないと考えられます。

 とすれば、「中国は崩壊しない」と予想されます。