「日弁連の「司法修習生に対する給費制維持」論について」のコメント欄において、
司法修習生の給費制を維持すべき根拠 (反対意見) として、
司法修習生は「補助的な業務」を行っており、
司法修習生には労働者性が認められる (労働者と学生の中間である)
と指摘されましたので、この点について、私の意見を記します。
しかし、私は専門家ではないので、意見がズレているかもしれません。その場合には、どなたか指摘してください。
(「素人は意見を主張するな」という考えかたもありうるとは思いますが、「書く」と約束していますし、そもそもこのような考えかたが成り立つならば「すべて専門家=法律家の言う通りに給与を支給しろ」ということになり、民主主義ではなくなります )
司法修習生は「補助的な業務」を行っていると主張されているのですが、問題は、それが「どの程度なのか」だと思います。
ここで、コメントされた青龍さんによれば、
実質的に補助的な業務を行っているといえるのは (すくなくとも強く主張しうるのは) 、「検察修習の2か月間のみ」であると考えられます。とすれば、その2か月間の補助的業務性をもって、司法修習「全期間について」給費制を採用すべきであるというには「いささか無理がある」と思われます。
次に、他の期間についても「まったく」労働者性がないとはいえない、さらに給費制を維持すべき根拠として、(司法修習生の労働者性以外の) 他の事情をも持ち出せば (併せ考慮すれば) 、「全期間について」給与を支給すべきであるという結論を導き得る、という主張について考えます。
この主張は「さまざまな根拠を合わせる」という構成をとっているために、「根拠のひとつひとつ」について検討しなければならない、とも考えられるのですが、
給費制を採用すべき「主な」根拠が労働者性であるとすると、その「主な」根拠ですら給費制の根拠として「いささか無理がある」と考えられますから、他の理由は「根拠として、もっと弱い」と考えられます。とすれば、「根拠のひとつひとつ」について検討せずとも、給費制維持論は「根拠がかなり弱い」と考えるのが、適切であるように思われます。
もっとも、これは司法修習生に支給される「金額による」とも考えられます。しかし、実質的にみて「2か月間のみ」であるとするなら、それは「給与」といえるレベルの金額にはならないと考えられます。
上記程度で給与を支給すべきであるとすれば、(一般の) 大学等で教授の研究を手伝っている学生にも給与を支給すべきであるということになりかねず、どこまでも「(給与を支給すべき) 実質的な労働者」の範囲が広がってしまいます。
司法修習生の修習について、実質的に労働といえる部分があるとはいえ、その程度はわずかであると考えられます。したがって、司法修習生を学生として捉え、学生として扱うのが適切ではないかと思います。
■追記
しかし、検察修習の際、「基本的に事件処理のほとんどは修習生が行」うことに問題はないのか、と考えるのは私が素人だからでしょうか? 司法修習生は「無資格者」ではないでしょうか?
司法修習生の給費制を維持すべき根拠 (反対意見) として、
司法修習生は「補助的な業務」を行っており、
司法修習生には労働者性が認められる (労働者と学生の中間である)
と指摘されましたので、この点について、私の意見を記します。
しかし、私は専門家ではないので、意見がズレているかもしれません。その場合には、どなたか指摘してください。
(「素人は意見を主張するな」という考えかたもありうるとは思いますが、「書く」と約束していますし、そもそもこのような考えかたが成り立つならば「すべて専門家=法律家の言う通りに給与を支給しろ」ということになり、民主主義ではなくなります )
司法修習生は「補助的な業務」を行っていると主張されているのですが、問題は、それが「どの程度なのか」だと思います。
ここで、コメントされた青龍さんによれば、
新司法試験の司法修習は、10か月の実務庁修習と、2か月の集合修習に分けられます。であり、かつ、
実務庁修習では、検察・弁護・裁判所(民事・刑事)で2か月ずつ修習を行います(残り2か月は修習生の希望に応じて修習先が決定されます。)
この内、修習生は、検察では警察から送致されてきた事件の捜査を行います。指導係の検事の判断を仰ぐことも多いですが、捜査のかなりの部分を修習生が担当します。裁判所においては、裁判官の下で法廷傍聴をする傍ら、記録を検討して、事案の概要や問題点を裁判官に報告します。弁護では、指導弁護士について法廷や打ち合わせ、法律相談に立会い、指導弁護士の指示の下で答弁書・準備書面等の文書を起案します(もちろんその全てが採用されるわけではありません)。
このように、実務庁修習には、OJTの部分と研修の部分が混在しています。
検察修習では、修習生は捜査のかなりの部分を担当しています。要所要所で指導係の検事のチェックは入りますが、基本的に事件処理のほとんどは修習生が行い、修習生の起案を流用して検事が起案するという関係にありません(調書は例外)。これに対して、裁判所、弁護では、修習生によって異なりますが、指導にかけていただいている手間の方が大きいのは事実です。というのですから、
実質的に補助的な業務を行っているといえるのは (すくなくとも強く主張しうるのは) 、「検察修習の2か月間のみ」であると考えられます。とすれば、その2か月間の補助的業務性をもって、司法修習「全期間について」給費制を採用すべきであるというには「いささか無理がある」と思われます。
次に、他の期間についても「まったく」労働者性がないとはいえない、さらに給費制を維持すべき根拠として、(司法修習生の労働者性以外の) 他の事情をも持ち出せば (併せ考慮すれば) 、「全期間について」給与を支給すべきであるという結論を導き得る、という主張について考えます。
この主張は「さまざまな根拠を合わせる」という構成をとっているために、「根拠のひとつひとつ」について検討しなければならない、とも考えられるのですが、
給費制を採用すべき「主な」根拠が労働者性であるとすると、その「主な」根拠ですら給費制の根拠として「いささか無理がある」と考えられますから、他の理由は「根拠として、もっと弱い」と考えられます。とすれば、「根拠のひとつひとつ」について検討せずとも、給費制維持論は「根拠がかなり弱い」と考えるのが、適切であるように思われます。
もっとも、これは司法修習生に支給される「金額による」とも考えられます。しかし、実質的にみて「2か月間のみ」であるとするなら、それは「給与」といえるレベルの金額にはならないと考えられます。
上記程度で給与を支給すべきであるとすれば、(一般の) 大学等で教授の研究を手伝っている学生にも給与を支給すべきであるということになりかねず、どこまでも「(給与を支給すべき) 実質的な労働者」の範囲が広がってしまいます。
司法修習生の修習について、実質的に労働といえる部分があるとはいえ、その程度はわずかであると考えられます。したがって、司法修習生を学生として捉え、学生として扱うのが適切ではないかと思います。
■追記
しかし、検察修習の際、「基本的に事件処理のほとんどは修習生が行」うことに問題はないのか、と考えるのは私が素人だからでしょうか? 司法修習生は「無資格者」ではないでしょうか?