言語空間+備忘録

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郵政改革にみる「完全民営化」と「完全に民営化」

2010-04-24 | 日記
高橋洋一 『日本は財政危機ではない!』 ( p.120 )

 さりげなく文言を付け加えたり、書き換えて、自分たちに都合の悪い政策を骨抜きにする。これは役人の最も得意とするテクニックだ。そうした技術は、「霞が関文学」と呼ばれていて、先輩から後輩へと脈々と受け継がれている。
 たとえば霞が関では「完全民営化」と「完全に民営化」は意味が異なる。霞が関用語では「民営化」の意味はひとつではない。なんと三つに分かれるのだ。
 一つ目は民有・民営という形態を取る「完全民営化」。二つ目はNTTやJRの初期のように、政府が株式を保有し、経営形態だけを民営にする「特殊会社化」。そして最後が農林中央金庫のように、政府が根拠の法律だけを持つ形態。
 普通、「民営化」というと、一番目の意味だと思う。だが、霞が関用語によると、三つのうちのどれを選んでも正しいとされている。
 官僚にとって、何がなんでも避けたいのは一つ目の「完全民営化」だ。そこで「完全民営化」とあれば、さりげなく「に」を滑り込ませ、「完全に民営化」に変える。これなら、「完全に特殊会社化」するという道もあり得る。
 政策金融機関の民営化でこれをやられた。私は官僚の霞が関文学には精通しているので、政策金融の改革にあたっては、経済財政諮問会議でも「完全民営化」という言葉を使い、法案にもそう書いた。
 ところが、最終段階の持ち回り閣議で、官僚の事務方が持ってきた法案をチェックすると、「政策金融機関を完全に民営化」すると、いつの間にか、「に」が入っていた。
 持ち回り閣議にかける書類に手を加えたことも、官僚の狡猾さを物語っている。通常の閣議なら事前に書類をチェックできるが、持ち回り閣議では各大臣がその場でサインするだけなので、われわれがチェックしにくい。
 このときは、たまたま私たちのスタッフのひとりが気がつき、竹中さんにサインをしないよう、連絡したので事なきを得た。
「なぜ、『に』を勝手に入れたのか」と質 (ただ) しても、「ワープロを打ち間違えました」としらばっくれられたら何もいえない。
 このような巧妙で、相手に決定的なダメージを与えられる姑息 (こそく) な策略を官僚は使うので、霞が関のやり方を隅々まで知っていないと対抗できない。毒をもって毒を制すではないが、官僚の巧妙なテクニックに精通していて初めて、彼らの陰謀を阻止できるのだ。
 この話はいろいろなところでしたので有名になってしまったが、今後も出てくることがあるかもしれない。というのは、民主党と国民新党は郵政民営化に反対だが、さすがに前のようには戻せない。そうなると、政府の持つ株式を放出しないで、「特殊会社化」を目指すだろう。
 これも役人用語で「民営化」である。
 民主、国民新党も、郵政民営化反対の姿勢は変えていないといえる。役人にはとても好都合な政策だ。私は、国民のためにはならないと思うが、いかがなものだろうか。


 「霞が関文学」の一例として、役人の世界では、「完全民営化」と「完全に民営化」では意味が異なることを紹介し、さりげなく「に」を付け加えるなどの方法で、官僚は改革に抵抗している、と書かれています。



 官僚の抵抗が実ったのか、郵政民営化は、著者の

   「政府の持つ株式を放出しないで、『特殊会社化』を目指すだろう。」

という予言が的中しつつあります。



東京新聞」 の 「政府の郵政改革関連法案 株売却、明文化せず」 ( 2010年4月23日 夕刊 )

 政府が今国会に提出する郵政改革関連法案で、日本郵政グループの株式を将来売却することが明文化されないことが二十三日、分かった。国が全株式を保有し続けることも可能となり、民間金融機関側が反発しそうだ。

 この日開かれた郵政民営化見直しの政策会議に提示された法案の詳細案には「政府が日本郵政株式会社の議決権の三分の一超を保有」「日本郵政がゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の議決権の三分の一超を保有」など株式の保有割合だけを明記。売却方針や時期は書き込まれていない。

 政府は「法施行後に市場環境などを考え売却方針を決める」としているが、あいまいさが残ることになる。


 「政府が今国会に提出する郵政改革関連法案で、日本郵政グループの株式を将来売却することが明文化されないことが二十三日、分かった。国が全株式を保有し続けることも可能とな」る、と報じられています。



 私は、郵政民営化について、「いつでも民営化を中止し、元に戻す道を残すべきである」と考えているので、今回の動きに対して、肯定的に捉えています ( 「郵政改革 ( 小泉改革 )」 参照 ) 。

 しかし、( 私は )「完全民営化」には反対していますが、「完全民営化」を姑息な方法で阻止してよい、とまでは思いません。

 ( 郵政民営化の是非についてはともかく ) 官僚の抵抗に対する著者の批判は、正当であると思います。
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