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弁護士懲戒制度は不公平である

2009-11-29 | 日記
 先日、当ブログの記事、「弱者にも法的救済が必要」 ・ 「弁護士増員に反対する弁護士の本音」 ・ 「弁護士増員の 「受け皿」 はあるらしい」 のコメント欄において、弁護士自治、および、それと密接な関連を有する監督・懲戒制度について、法改正が必要である旨、弁護士と思われるかたからのコメントがありました。

 私の考えかたは、すでに上記コメント欄にて、ご返事のかたちで示しています。しかし、それはあくまでも、いただいたコメントにご返事をした時点での、「とりあえず」 のものであり、今後、さらに考えることを前提としたものであることはもちろんです。

 弁護士懲戒制度について調べましたので、その成果、および、それを踏まえた私の意見をここに記します。



 まず、話の前提として、現在の弁護士懲戒制度の概要を示します。



日本弁護士連合会」 の 「懲戒制度

弁護士および弁護士法人(以下「弁護士等」といいます。)は、弁護士法や所属弁護士会・日弁連の会則に違反したり、所属弁護士会の秩序・信用を害したり、その他職務の内外を問わず「品位を失うべき非行」があったときに、懲戒を受けます(弁護士法56条)。懲戒は、基本的にその弁護士等の所属弁護士会が、懲戒委員会の議決に基づいて行います。

(中略)

弁護士等に対する懲戒の請求は、事件の依頼者や相手方などの関係者に限らず誰でもでき、その弁護士等の所属弁護士会に請求します(同法58条)。

(中略)

懲戒の請求をした方は、弁護士会が懲戒しない旨の決定をしたときや、相当の期間内に懲戒の手続を終えないとき、懲戒の処分が不当に軽いと思うときは、日弁連に異議を申し出ることができます(同法64条)。

(中略)

異議の申出についての日弁連懲戒委員会の議決に対しては、これ以上、不服申立の途はありません。


 弁護士に対する懲戒請求の手続き、制度の概要が記されています。



 ここで注目すべきは、「日弁連懲戒委員会の議決に対しては、これ以上、不服申立の途はありません。」 という記述です。

 ここには、弁護士に対する懲戒手続は、

  1. まず、当該弁護士等の所属する弁護士会 ( たとえば東京弁護士会 ) が審査を行い、
  2. これに不服があれば、日弁連 ( 日本弁護士連合会 ) が審査を行う、
  3. 日弁連の審査には、不服の申立ては認められない、

とされています。

 この仕組みを理解したうえで、次の資料を見てください。



司法制度改革審議会」 の 「第44回会議(平成13年1月23日開催)配付資料 「弁護士制度の改革」に関する裁判所の意見(その2)

「弁護士制度の改革」に関する裁判所の意見(その2)

最高裁判所事務総局

 これまでの審議において,裁判所は,「弁護士人口と弁護士活動の在り方について」として,弁護士人口の増加の必要性,弁護士偏在の改善,隣接職種の権限の問題,専門化の必要性の問題を,「弁護士会の運営」として,弁護士会の運営の透明化,弁護士倫理の確立の重要性等をそれぞれ指摘したところである。
 中間報告においては,法曹人口の増加の指針が示されたのをはじめとして,「弁護士へのアクセス拡充」として,法律相談活動等の充実,弁護士費用の透明化,合理化,弁護士情報の公開が,「法的サービスの内容の充実」として,弁護士業務の質の向上,執務態勢の強化,隣接法律専門職種との関係,弁護士の国際化等が提言されたほか,弁護士倫理の強化と弁護士自治の問題が指摘されている。それぞれの提言や問題点の指摘は,いずれもこれからの我が国の司法の在り方を左右する極めて重要な事項であり,実情を十分に把握した上で実効性のある形で具体化されることが必要である。
 この関係で,特に次の点を指摘しておきたい。

(中略)

2 懲戒手続に関する裁判上の救済手続の在り方
 弁護士会による懲戒手続は,弁護士の地位や資格に直接的な影響を与えるものであるから慎重な判断を要するが,国民に対して手続や判断内容を開示するという観点からは,最終的に裁判手続による救済の道が開かれていることが望ましいといえよう。
 弁護士に対する懲戒請求について,弁護士会が弁護士を懲戒しない場合や,弁護士会の懲戒の処分が不当に軽いと思われる場合には,懲戒請求をした者は,日弁連に異議を申し出ることができる。この異議申出により,弁護士が日弁連により懲戒された場合には,弁護士は処分取消しの訴えを裁判所に提起することができる。これに対し,異議申出に対する棄却または却下の決定があった場合には,異議申出人は裁判所に訴えを提起することができない。
 このような制度がとられているのには種々の理由があると思われる。しかし,少なくとも弁護士の利用者が,弁護士会の自治的制裁に関する判断に不服がある場合に,最終的に裁判手続で争えないものとされているのは,バランスを欠くように思われる。この点については,中間報告で指摘されている国民に対する説明責任の確保,綱紀・懲戒手続の透明化・実効化という観点から検討すべき課題ではないかと思われる。


 「弁護士が日弁連により懲戒された場合には,弁護士は処分取消しの訴えを裁判所に提起することができる。これに対し,異議申出に対する棄却または却下の決定があった場合には,異議申出人は裁判所に訴えを提起することができない。」 が、これは 「バランスを欠くように思われる」 と指摘されています。



 最高裁判所事務総局は、
  • 慎重に、「このような制度がとられているのには種々の理由があると思われる」 と述べたうえで、
  • さらに慎重に、「バランスを欠く 『ように思われる』 」 と述べている

のですが、この指摘は、もっともだと思います。というか、「あきらかに」 バランスを欠く、と考えてよいのではないでしょうか。



 この指摘は、「司法制度改革審議会」 の 「第44回会議(平成13年1月23日開催)配付資料」 でなされています。そのため、すでに制度が改正されており、日弁連のホームページが 「古い」 可能性もあります。そこで、

 現在、この指摘に沿って、制度が改正されているのか、いないのかを、確認します。



法令データ提供システム」 の 「弁護士法(昭和二十四年六月十日法律第二百五号)」 ( 最終改正:平成二一年七月一五日法律第七九号 )

(懲戒事由及び懲戒権者)
第五十六条  弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
2  懲戒は、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。
3  弁護士会がその地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して行う懲戒の事由は、その地域内にある従たる法律事務所に係るものに限る。

(中略)

(日本弁護士連合会の懲戒)
第六十条  日本弁護士連合会は、第五十六条第一項に規定する事案について自らその弁護士又は弁護士法人を懲戒することを適当と認めるときは、次項から第六項までに規定するところにより、これを懲戒することができる。
2  日本弁護士連合会は、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、懲戒の手続に付し、日本弁護士連合会の綱紀委員会に事案の調査をさせることができる。
3  日本弁護士連合会の綱紀委員会は、前項の調査により対象弁護士等につき日本弁護士連合会の懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認めるときは、その旨の議決をする。この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、日本弁護士連合会の懲戒委員会に事案の審査を求めなければならない。
4  日本弁護士連合会の綱紀委員会は、第二項の調査により、対象弁護士等につき懲戒の手続を開始することができないものであると認めるとき、対象弁護士等につき懲戒の事由がないと認めるとき又は事案の軽重その他情状を考慮して懲戒すべきでないことが明らかであると認めるときは、日本弁護士連合会の懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする議決をする。この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、対象弁護士等を懲戒しない旨の決定をしなければならない。
5  日本弁護士連合会の懲戒委員会は、第三項の審査により対象弁護士等につき懲戒することを相当と認めるときは、懲戒の処分の内容を明示して、その旨の議決をする。この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、対象弁護士等を懲戒しなければならない。
6  日本弁護士連合会の懲戒委員会は、第三項の審査により対象弁護士等につき懲戒しないことを相当と認めるときは、その旨の議決をする。この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、対象弁護士等を懲戒しない旨の決定をしなければならない。

(訴えの提起)
第六十一条  第五十六条の規定により弁護士会がした懲戒の処分についての審査請求を却下され若しくは棄却され、又は第六十条の規定により日本弁護士連合会から懲戒を受けた者は、東京高等裁判所にその取消しの訴えを提起することができる。
2  第五十六条の規定により弁護士会がした懲戒の処分に関しては、これについての日本弁護士連合会の裁決に対してのみ、取消しの訴えを提起することができる。


 日弁連 ( 日本弁護士連合会 ) の裁決に対して、懲戒処分されたことを不服とする弁護士が、裁判所に訴えを提起することができる場合について 「だけ」 、弁護士法に定められています。



 弁護士法第 61 条は、

  1. 所属弁護士会によって懲戒された弁護士が、日弁連に不服を申立てたが、日弁連によって 「審査請求を却下され若しくは棄却され」 た場合、
  2. 日弁連によって懲戒された場合、

について、「懲戒されたことに不服がある弁護士」 は、東京高等裁判所に、懲戒処分の 「取消しの訴えを提起することができる。」 と定めており、

 弁護士法は、「弁護士に対する懲戒の処分を請求した者」 が、「弁護士が懲戒されなかったことに不服がある場合」 については、なんら、定めていません。つまり、制度は改正されていません。



 これは、おかしくないでしょうか。

   現行法 ( 弁護士懲戒制度 ) は、公平ではなく、弁護士に有利になっています。

 最高裁判所も、「国民に対する説明責任の確保,綱紀・懲戒手続の透明化・実効化という観点から検討すべき課題ではないかと思われる。」 と指摘しており、

   早急な法改正が必要

ではないかと思います。
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-05-21 00:59:53
公平など、どこにもありません。
綱紀委員会も、発達障害者の弁護士が混じると、法律どころか倫理観もない小学生並みのごまかしようで、でたらめな議決書を半年して送ってきて、想定通りと揶揄せざるを得ません。
各弁護士会の内情で、古参の弁護士をたててるらしく、部下の懲戒と全く同じ内容で懲戒請求しても、都合が悪いと当方の苗字を間違えて回答してきて、さも諭すような口調で書き直しを命じていたり、部下はいいけど、京大卒の法律事務所長は懲戒請求に縛りをかけて嫌がらせするなど、おかしいです。

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