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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

日本の食糧自給率

2009-09-11 | 日記
森谷正規 『戦略の失敗学』 ( p.276 )

 農業では、農業従事者の年齢に関する深刻な問題がある。二〇〇五年の農林業センサスによれば、農業従事者五五六万人のうち、六五歳以上が三七・八%を占めている。これは兼業農家が入った数字であり、農業を主とする者の三三五万人に限ると、六五歳以上は五八・二%にもなる。七五歳以上が四人に一人の八二万人もいて、この人々は一〇年後には九〇歳にもなるので、ほとんど亡くなるかリタイアしている。
 では、新たな若年、壮年の従事者が農業に入ってくるのかどうか、テレビでしばしば話題として取り上げられるが、現状では数としては微々たるものだろう。このままでは、一〇年後には、農業従事者は三割ほど減少するに違いない。これでは、日本の農業はとても支え切れない。農業生産は大幅に減少していくのは避けられない。いま重大な問題にされてきている食糧自給率四〇%は、さらに大きく下がっていく。
 したがって、いまよりもはるかに多く、食糧を輸入せざるをえない。だが、世界中での奪い合いの状況の中で、十分に確保できるのかどうか、ともかく価格は相当に高騰するだろう。


 農業従事者が高齢化している。農業を担う者が減れば、農業生産は減少する。したがって自給率はさらに低下する。自給率が現在 40 % の日本では、食糧確保に不安がある。すくなくとも価格は高騰するだろう、と書かれています。



 農業に従事する人が減っているのは、端的に言って、「儲からない」 のが原因だと思います。したがって農産物価格が高騰すれば、農業従事者は増えるはずであり、農業の担い手が減っている、という問題は、消えてなくなります。農業の担い手が高齢化している、というのは、問題にならないと思います。



 次に、食糧自給率の問題ですが、40 %という数字は、たしかに低いと思います。

 しかし、日本の場合、食物があふれているのが現状であり、質素に、「わずかな量を」 食べているのではありません。ダイエットに励む人もいるほど、食物があふれています。したがって、ひとりひとりが食べる量を減らすことが可能であり、その余地は大きい、といえます。

 いま、ひとりひとりが、食べる量を半分に減らしたとすれば、食糧自給率は 80 %に跳ね上がります。食べる量を半分に減らす、というのは過酷すぎると受け取られかねないと思いますが、食糧の輸入が止まる状況下では、それほど過酷だともいえないと思います。まして、飽食ともいえる日本です。半分にしても問題ないのではないかと思います。すくなくとも、自給率が 60 %になる程度には、食べる量を減らせるのではないかと思います。

 あとは、のこり 20 ~ 40 % ( 自給率が 60 ~ 80 %として計算 ) を、いかにして供給するか、です。この程度の数字であれば、( 政策によって ) 対処可能ではないかと思います。



 最後に、食糧価格の上昇は、すくなくとも主食のコメについては、日本ではそれほど問題にはならないと思います。すでに、国内価格は ( 大幅な ) 割高になっています。

 また、世界的に価格が上昇すれば、もともと価格が高かった日本米にも、輸出の可能性がでてきます。国内での農業生産も増えると予想されます。政府も、コメの増産政策をとると思います。( 「農産物価格と供給量」 参照 ) 。

 農産物価格の上昇は、( コメに限って考えれば ) 日本にとって問題になるどころか、かえって有利になるかもしれない、とも思います。



 食糧自給率が 40 %というのは、たしかに異常な状況だとは思いますが、実際には、意外と安全なレベルなのかもしれません ( もちろん、対策を打っておくことが好ましいことには変わりありません ) 。