言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

すくなくとも当面は、景気は回復しない

2009-07-19 | 日記
高橋洋一・長谷川幸洋 『百年に一度の危機から日本経済を救う会議』 ( p.26 )

高橋  物価連動国債のマーケット自体が壊れかかっている。ただし、その「壊れているという情報」にこそ意味がある。壊れはじめているということ自体が、大きな情報になるわけです。ちなみに、日本の場合、十年債しか発行されていませんが、他の国はいろんな年限のものが出ていますから、それでマーケットが考えている未来が読めるのですけどね。

(中略)

高橋  二〇〇九年度の国債発行計画では、物価連動国債は、前年度から二・七兆円減のわずか〇・三兆円。これはデフレ傾向が続いて物価連動国債の人気がないためで、事実上の発行停止措置です。
 問題なのは、これが麻生政権が自画自賛する経済政策と必ずしも整合的とはいえないことです。というのは、麻生政権は、日本は世界でいちばん早く不況から脱するとか、三年で回復とか言っていますが、もしそうであれば、十年間もデフレが継続するはずがない。であれば、物価連動国債の人気は上がるはずです。それなのに、財務省が物価連動国債の発行を事実上取りやめたことは、経済政策の効果を疑問視していることを自ら告白しているようなものです。


 日本では、物価連動国債に人気がない。そのこと自体が、日本の景気が回復しない証拠である、と書かれています。



 当面は、景気が回復する見込みはないと思われます。

 ただ、「麻生政権は、日本は…(中略)…不況から…(中略)…三年で回復とか言っていますが、もしそうであれば、十年間もデフレが継続するはずがない」 の部分には、すこし、疑問があります。

 「デフレは終わらない」 に引用した部分で、高橋さんは 「十年間で平均二%で、十年後に二〇~二五%下がるというより、初めの三~五年間で半減して、その後回復するとみるのが、現在の日本においては妥当」 だと述べられています。この考えかたは、麻生政権の 「日本は不況から三年で回復する」 という考えかたと、合致しているのではないかと思います。

 また、「財務省が物価連動国債の発行を事実上取りやめたことは、経済政策の効果を疑問視していることを自ら告白しているようなものです」 の部分も、必ずしもそうとばかりは言えないと思います。財務省は、「たんに、需要不足に対応しただけ」 とも、考えられます。

 このあたりはやはり、「日本の場合、十年債しか発行されていません」 、「物価連動国債のマーケット自体が壊れかかっている」 ( =流動性が低い ) といった事情を、多面的に考察する必要があると思います。



 問題は、果たして三年程度で景気が回復するか、ですが、それについては今後の動き ( 対策 ) にも左右されます。すくなくとも 「当面は」 回復しない、と考えておけば間違いないと思います。

デフレは終わらない

2009-07-19 | 日記
高橋洋一・長谷川幸洋 『百年に一度の危機から日本経済を救う会議』 ( p.25 )

高橋  バーナンキに関しては、彼は金融恐慌のプロですから、このゼロ金利政策は序の口であり、これから世界中がさらにあっと驚くような政策を打ち出してくる、そう思っています。
 ところが、日本では折からのデフレ政策の影響なのか、物価連動国債を見ていると、驚くべきことに今後十年間の予想インフレ率が二〇〇八年末時点では二%以上のマイナスになっている。つまり、今後十年間二%程度のデフレが継続すると市場は見ていることになるのです。大恐慌クラスの場合でも、十年間悪いということはなく、初めの三~五年間の落ち込みがすごいもので、その後は立ち直る。ということは、十年間で平均二%で、十年後に二〇~二五%下がるというより、初めの三~五年間で半減して、その後回復するとみるのが、現在の日本においては妥当でしょう。ということからすれば、国民の生活レベルでは、初めの三~五年間で、物価半減、売り上げ半減、給与半減という姿が十二分に現実味を帯びてくる。
 だから、「百年に一度の危機」なのです。ちなみに、このペースは一九三〇年代の大恐慌と比べても最大級の悪さです。つまり、現実として日本はアメリカ以上の危機的状況なのですが、それにしては政府や官僚にいまいち危機感がない。百年に一度の危機的状況であるということを十二分に認識して、「百年に一度の政策」を打ち出さなくてはならないのに、そうしていない。


 日本では、今後十年間、2 %程度のデフレが継続すると市場はみている。したがって、「国民の生活レベルでは、初めの三~五年間で、物価半減、売り上げ半減、給与半減という姿が十二分に現実味を帯びてくる」 、と書かれています。



 説得力があります。

 この予測が的中すれば、日本では、「 ( 今後 ) 三~五年間で、物価半減、売り上げ半減、給与半減」 になる、というのですから、大変なことになります。

 直近の予想インフレ率も、対談がなされた時点と、さほど変わっていません。

 ということは、「 ( 今後 ) 三~五年間で、物価半減、売り上げ半減、給与半減」 になる可能性は、十二分にある、といえます ( もっとも、いまでは 「日銀のCP引受」 など、「百年に一度の政策」 が実施されていますので、状況が変わってくる可能性はあります ) 。



 ところで、ここで問題にすべきは、日本では、( 外国に比べて) 物価も給与も高すぎるので、「物価半減、給与半減」 が本当に悪いことなのか、だと思います。

 ものは考えようで、今後 「三~五年間」 辛抱すれば経済状況はよくなる、とも考えられます。もちろん、これは可能性であって、実際にどうなるかはわかりませんが、

 あと 「三~五年間」 の辛抱ですむのであれば、「さらにあと数年、構造改革を徹底すべき」 なのかもしれない、とも思います。