高橋洋一・長谷川幸洋 『百年に一度の危機から日本経済を救う会議』 ( p.40 )
ここでは、マンデル・フレミング理論の解説がなされています。
上記説明 ( 引用部分 ) を読むと、一見、説得的に映ります。しかし、実際には、さほどの説得力はないと思います。なぜなら、
日本では、( 日本の ) バブル崩壊後、国債が次々に発行され、国債発行残高は積み上がっているにもかかわらず、長期金利は上昇していないからです。それどころか、金利は低下しています ( ここ十年の金利は概ね横ばいです ) 。したがって、「財政政策をやるために国債を発行すると、長期金利が上がり、円高になる」 という部分が、どうもあやしい。たしかに、論理の筋としては、「財政政策をやるために国債を発行すると、長期金利が上が」 るはずなのですが、実際には、そんなに単純なものではない、と考えるべきだと思われます。
( なお、「長期金利が上がると、円高になる」 、「円高になれば、輸出が減少する一方で輸入が増える」 という部分についても、論理としてはその通りだとは思いますが、実際には、そんなに単純なものではないと思います。 )
マンデル・フレミング理論については、「財政政策と金融政策」 のところに、「為替介入を行うのであれば、財政政策も効果的である」 と考えるのが適切ではないか、と書きましたが、上記 ( 引用部分 ) の高橋さんの説明からは、マンデル・フレミング理論は机上の空論ではないか、すくなくとも、現在の日本経済にはあてはまらないのではないか、と思われます。
…と、大胆にもノーベル賞受賞理論を否定してしまいました。常識的に考えれば、私のほうが間違っている可能性が高い ( なにせノーベル経済学賞を取った理論だそうですからね ) ので、その旨、書き添えておきます。
高橋 一九九九年にノーベル経済学賞を取ったマンデル・フレミング理論については先に触れましたが、もう少し詳しくいうと、変動相場制のもとでは、財政政策を打ってもその効果は海外にスピルオーバー(拡散)してしまうから、金融政策のほうが効果が高いとされている。つまり、財政政策をやるために国債を発行すると、長期金利が上がり、円高になる。円高になると輸出が減るので、公共投資の効果は輸出減で相殺されてしまう。円高になれば、輸出が減少する一方で輸入が増えるわけだから、つまり財政政策を打てば打つほど、その効果が外国へと流れていってしまうわけです。つまり、いくら公共投資をやっても、セオリーとしては景気回復は無理ということになる。それでも公共投資を選ぶというなら、政治家・官僚たちの頭は、もう末期的症状としか言いようがない。
ここでは、マンデル・フレミング理論の解説がなされています。
上記説明 ( 引用部分 ) を読むと、一見、説得的に映ります。しかし、実際には、さほどの説得力はないと思います。なぜなら、
日本では、( 日本の ) バブル崩壊後、国債が次々に発行され、国債発行残高は積み上がっているにもかかわらず、長期金利は上昇していないからです。それどころか、金利は低下しています ( ここ十年の金利は概ね横ばいです ) 。したがって、「財政政策をやるために国債を発行すると、長期金利が上がり、円高になる」 という部分が、どうもあやしい。たしかに、論理の筋としては、「財政政策をやるために国債を発行すると、長期金利が上が」 るはずなのですが、実際には、そんなに単純なものではない、と考えるべきだと思われます。
( なお、「長期金利が上がると、円高になる」 、「円高になれば、輸出が減少する一方で輸入が増える」 という部分についても、論理としてはその通りだとは思いますが、実際には、そんなに単純なものではないと思います。 )
マンデル・フレミング理論については、「財政政策と金融政策」 のところに、「為替介入を行うのであれば、財政政策も効果的である」 と考えるのが適切ではないか、と書きましたが、上記 ( 引用部分 ) の高橋さんの説明からは、マンデル・フレミング理論は机上の空論ではないか、すくなくとも、現在の日本経済にはあてはまらないのではないか、と思われます。
…と、大胆にもノーベル賞受賞理論を否定してしまいました。常識的に考えれば、私のほうが間違っている可能性が高い ( なにせノーベル経済学賞を取った理論だそうですからね ) ので、その旨、書き添えておきます。