言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

マンデル・フレミング理論

2009-07-25 | 日記
高橋洋一・長谷川幸洋 『百年に一度の危機から日本経済を救う会議』 ( p.40 )

高橋  一九九九年にノーベル経済学賞を取ったマンデル・フレミング理論については先に触れましたが、もう少し詳しくいうと、変動相場制のもとでは、財政政策を打ってもその効果は海外にスピルオーバー(拡散)してしまうから、金融政策のほうが効果が高いとされている。つまり、財政政策をやるために国債を発行すると、長期金利が上がり、円高になる。円高になると輸出が減るので、公共投資の効果は輸出減で相殺されてしまう。円高になれば、輸出が減少する一方で輸入が増えるわけだから、つまり財政政策を打てば打つほど、その効果が外国へと流れていってしまうわけです。つまり、いくら公共投資をやっても、セオリーとしては景気回復は無理ということになる。それでも公共投資を選ぶというなら、政治家・官僚たちの頭は、もう末期的症状としか言いようがない。


 ここでは、マンデル・フレミング理論の解説がなされています。



 上記説明 ( 引用部分 ) を読むと、一見、説得的に映ります。しかし、実際には、さほどの説得力はないと思います。なぜなら、

 日本では、( 日本の ) バブル崩壊後、国債が次々に発行され、国債発行残高は積み上がっているにもかかわらず、長期金利は上昇していないからです。それどころか、金利は低下しています ( ここ十年の金利は概ね横ばいです ) 。したがって、「財政政策をやるために国債を発行すると、長期金利が上がり、円高になる」 という部分が、どうもあやしい。たしかに、論理の筋としては、「財政政策をやるために国債を発行すると、長期金利が上が」 るはずなのですが、実際には、そんなに単純なものではない、と考えるべきだと思われます。

 ( なお、「長期金利が上がると、円高になる」 、「円高になれば、輸出が減少する一方で輸入が増える」 という部分についても、論理としてはその通りだとは思いますが、実際には、そんなに単純なものではないと思います。 )



 マンデル・フレミング理論については、「財政政策と金融政策」 のところに、「為替介入を行うのであれば、財政政策も効果的である」 と考えるのが適切ではないか、と書きましたが、上記 ( 引用部分 ) の高橋さんの説明からは、マンデル・フレミング理論は机上の空論ではないか、すくなくとも、現在の日本経済にはあてはまらないのではないか、と思われます。


…と、大胆にもノーベル賞受賞理論を否定してしまいました。常識的に考えれば、私のほうが間違っている可能性が高い ( なにせノーベル経済学賞を取った理論だそうですからね ) ので、その旨、書き添えておきます。

経済対策の三類型

2009-07-25 | 日記
高橋洋一・長谷川幸洋 『百年に一度の危機から日本経済を救う会議』 ( p.39 )

高橋  福田総理が退陣を表明した翌日の九月二日に原稿依頼があって、九月五日付の『日経新聞』の「経済教室」を書いたのですが、原稿では最初、「守旧バラマキ派」「増税派」「上げ潮派」と、三類型を書いたわけです。それはあんまりだから、結局、「オールド・ケインジアン」と「財政重視主義者」と「上げ潮派」の三類型に書き直したのですが(笑)。蓋を開ければ、「守旧バラマキ派」は麻生さんで、「増税派」は与謝野さん、「上げ潮派」はまあ中川さんというところでしょう。
 それはともかく、経済成長を重視するのは「守旧バラマキ派」と「上げ潮派」。財政再建を重視するのは「増税派」と「上げ潮派」ということになります。ただ、同じ財政再建でも、「増税派」は税金をたくさん集めるという発想をするから、その意味では必ずしも「小さい政府」を志向しているとはいえない。ざっくりいってしまえば、「増税派」も「守旧バラマキ派」も「大きな政府志向」ということになる。
 それに、麻生さんの経済政策の顧問は、野村総研のリチャード・クー氏だといわれています。もし麻生さんがその路線で、積極的な公共投資を推し進めたら、まさに「失われた九〇年代」の再現になりますよ。


 経済対策の三類型が示されています。これを一覧表にまとめました。


守旧バラマキ派増税派上げ潮派
ケインジアン財政重視主義者上げ潮派
代表的政治家麻生与謝野中川
経済成長重視×
財政再建重視×
政府のサイズ大きな政府大きな政府小さな政府



 上記三類型を表現する際に、ケインズ主義に対して、「守旧バラマキ派」 などと、かなり辛辣な表現をされています。


 私は以前、リチャード・クー氏の著書を読みましたが、彼の言説には説得力があると思います ( 私は、バラマキ政策がよいとは思っていません ) 。

 意見が割れているのは、「あまりにも長く不況が続くので、どうしたらよいかわからない」 面もあるのではないかと思います。( 高橋さんの見解が間違っている 「かもしれない」 のですから ) そこまで辛辣に表現しなくともよいのではないか、と思います。