テレビが普及する前、お寺の境内で紙芝居を見るのが楽しみでした。
その割には、どんなお話だったのかはほとんど覚えていません。
(「黄金バット」だけはなぜか記憶にありますが。)
なにしろ、私はお話よりもおじさんが持ってくる駄菓子に興味があったものですから。
大きなブリキの缶に入った水あめや、
引き出しの中に入っていたソースを塗った薄い煎餅などを必ず買って食べました。
なにか買わないと紙芝居は見られないのですが、
そのシステムが嫌だと思ったことはありません。
むしろ、大歓迎でした。
特に楽しみだったのが型抜きです。
四角の甘くて硬い菓子の真ん中に竹(だった?)で出来たヘラみたいなもので小さく穴を開け、
徐々に穴を大きくしていって、
何円玉かは忘れましたが、小銭が通るまで開けられたら景品が貰えるのです。
おじさんだってそんなに簡単に景品を持っていかれたら大変です。
だから、縁が薄くなるまで削らなければ小銭が通らない大きさにちゃんと計算された
四角の器を削っていくわけですから、
細心の注意が必要です。
不器用な私はもう、必死でした。
もしかしたら、紙芝居を見る余裕もなかったかも…。
でも、いつも「もうちょっと!」と言うところで、
無慈悲にもプチッとお菓子は切れてしまうのでした。
景品を貰う男の子が心底羨ましかったです。