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アイデアはあさっての方向からやってくる 人の心に灯をともす 4703より 写真はMさんからいただいた...

2021年08月09日 | 
【アイデアはあさっての方向からやってくる】4703



博報堂ケトル代表取締役社長、嶋浩一郎氏の心に響く言葉より…



ちなみに僕は、くだらないと思える情報ほど、かわいらしく見えます。

だから「どうでもいいことをよく知っているね」と言われるのは褒め言葉です。

同じようなことを言われたことがある人は胸を張っていいと思いますよ (笑)。


世界に誇る日本独自のクールな飲食スタイル「回転寿司」も、「あさっての方向」から飛んできたアイデアから生まれました。

寿司が皿にのってぐるぐる回るスタイルは、「元祖廻る元禄寿司」の創業者が発明したのですが、きっかけは飲食店組合の行事で行ったビール工場見学でした。

ビール工場のベルトコンベヤーで流れているビール瓶を見て、ふと「こんな感じで寿司が客のところまで運べたら手間がかからないのに」と思ったそうです。

行事が終わったあと、さっそく試作機を作ってみたそうですが、やってみるといろいろ大変。

ベルトコンベヤーのコーナーの部分の機構がうまく作れずに頭を抱えました。

しかし、そんなピンチを解決する方法も、これまた「あさっての方向」 からやってきました。

ある日、手にしていた名刺を何気なく扇形に開いたときにピンときたそうです。

「あっ! コーナーをこの形にすればいいのでは?」と。

回転寿司は、実は会社員が最もなじみのある「ビール」と「名刺」がヒントになって生まれたんですね。


そもそも回転寿司の生みの親が、飲食店組合の行事を「面倒くさい」と行かなかったら、寿司が回るイメージが頭に浮かばなかったでしょうし、もらった名刺を扇形に開かなければ、コーナー部分をうまく作れずに、開発をあきらめていた 可能性もあります。

本当にどこでどんなアイデアが生まれるかわかりませんね。

ときには焦らず「回り道」をしてみましょう。

そこに抱えている問題のヒントが転がっているかもしれません。


最近はムダなく事を進める「効率化」が重要視されていますがアイデア創出の世界ではムダこそ重要なんです。

だから簡単に「これはムダ」と、区別しないでほしい。

繰り返しになりますが、ムダな情報こそ、愛でるように接してたくさん集めてくださいね。


『アイデアはあさっての方向からやってくる』日経BP
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本書の中に「ネットの評価」についての興味深い文章があった。


『「お腹すいたなぁ。この辺りにおいしい店ないかな」と思ったとき、すぐにスマホで飲食店を検索してクチコミ評価をチェックする人、多いですよね。

ネット上での評価を調べて、より点数の高い、より評判の良い店を探す人です。

「失敗したくない」「行くならいい店に」と思っての行動でしょうが、それが習慣化している人は注意が必要です。

企画者に必要な「好奇心」や「嗅覚」が育たなく なりますよ。

ネットが普及してから、コンテンツに対してより一層、「効果効能」を重視する人が増えたような気がしています。

「ムダな時間、ムダな体験を極力なくしたい」という考えからでしょうか。

本書が勧める「ムダを愛する」考え方とは正反対ですね。

効果効能を重視する人は、本を買うときも「役に立つか立たないか」で考えるし、映画を見るときも「感動するかどうか」で考えます。

「この音楽、使えるよね」とか、音楽に対して好き嫌いではなく“使える”とか言っちゃう人もいます (音楽っていつから使うものになったのでしょうか…)。

あっ! そんなことを考えていたら思い出しました。

ある事件のこと。

前に新人研修の講師をしたとき、ちょっとハードなスケジュールだったので、 懇親会も兼ねるつもりで「この後、僕の好きな〇〇という店が近くにあるから、 みんなで行こうか」って提案したんです。

そうしたらあろうことか、ある新人が手を挙げて「すみません。嶋さんがこれから行こうと言っている店、グルメサイトだと3.0の評価なんですけど大丈夫 ですか?」って言ってきたんですよ!

いやいや、待て待て。

よくそんなことを提案者に直接言えるよなって感じですよね(笑)。

でも、僕はぐっとこらえました。

そして「えーと、君は目の前にいる僕の評価より、ネット上の会ったこともない人の評価の方を信用するのかい? 大丈夫だから行こうよ」と大人の対応をし、みんなをお店に連れて行きました。

あのとき、「なるほど。ネット上の評価である“集合知”に依存している人は意外に多いのかも」と感じました。

当然ですが、効果効能を求めて集合知を判断基準にしてもいいんですよ。

でも、そればっかりになると「新たな発見」がなくなります。

効果効能があるという前提で触れるコンテンツは、本当に効果効能があるかどうかという「確認作業」になってしまうので、新たな発見がしにくいんです。

おいしいかどうかわからない、役に立つかどうかわからないからこそ、自分の感性やセンスが問われてドキドキして面白いのに......。

確かにインターネットは便利です。一番安心なネットの評判に頼ってしまう気持ちもわかります。

でもそれは、「自分の好奇心や嗅覚を育てる機会を放棄している」と考えた方がいいと思うのです。

そう考えると、ネットの評判の見方が変わってきませんか? ネット上の集合知は、何かを判断する際の「ものさし」の1つにすぎません。

大事なのは、ものさしを複数持つこと。

ですから、自分の嗅覚、知人の意見、メディアの評価、ネットの集合知といった「複数のものさし」で物事をとらえるようにしましょう。』



最新の進化論で言われていることに、「効率を重視しすぎたとき、その種は滅びる」というものがある。

たとえば、アフリカの動物の中でも最強のサイは、最強なるがゆえに、少子化になり、一匹一匹を大人になるまで大事に育てる、という進化の過程をたどった。

それが、生き残るのに効率的だったからだ。

しかし、あるとき天敵が急にあらわれ、絶滅危惧種となってしまった。

その天敵とは人間のことだが、多くの動物が天変地異、異常気象、疫病に対するのに、無駄なDNAを多く受けついている。

多産であるというのもその一つだ。

普段役立たない遺伝子であっても、疫病(やくびょう)やウイルスに強いものがいて、その遺伝子を持つ者だけが生き残るという事態になる。


だから、普段から役に立たないもの、非効率なもの、ムダなものを持っていることは種の存続にとって重要だ。

そして、同時に大事なのは好奇心と面白がる心。

好奇心がない人は、効率を重視し、ムダなものを排除する。

また、何にでも面白がる人には、まわりから予期せぬ情報がくる。

なぜなら、面白がる人は「(情報をもらうと)喜び、感謝する」という、喜び上手だからだ。


映画や食べログなどのネットの評価に依存してしまうと、自分の嗅覚が育たない。

自分で開拓するというプロセスを省略するからだ。

自分で探そうとすれば失敗やハズレもあるが、思わぬ拾いものもある。


かつて日本には、贔屓(ひいき)という「育てる」文化があった。

気に入った歌舞伎役者や相撲取りなどのパトロン(後援者)になることだ。

いわゆるタニマチという贔屓筋の人たちだ。


そして、誰かを育てることによって、他との比較ができ、目利き力が育つ。

嗅覚が発達するということだ。


ムダも大事にし、ネットに過度に依存しないことで…

嗅覚を磨き、自分のものさしを持てる人でありたい。




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