私がまだ小学生だったころ、すでにカラヤンの名声は世界的なものだった。友達のひとりは、黒のトックリセーターを着たカラヤンの下敷きをすでにもっていた。私はベートーベンの肖像画のついた五線譜を買って悦に入っていた。長じて、高校生のころカラヤンの演奏を聞いて、違和感を覚えた。現代的といえばよいのだが、その演奏スピードは、、いささか速すぎるように感じたのだった。大学に入学したころには、カール・ベームの重厚な指揮に魅了されるようになっていた。最近、またバッハ、ベートーベン、ブラームスなどを頻繁に聞くようになって、「それでも、カラヤンの演奏も捨てがい。」と再度思うようになった。
もともと好きだった、ベートーベンの交響曲第3番(英雄)の小気味よい演奏などを聴くと、カラヤンの魅力が際立っていることにまた気づくのでした。