MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

"コーワ、コーワ" じゃないよ

2012-06-29 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

06/29 私の音楽仲間 (401) ~ 私の室内楽仲間たち (374)



          "コーワ、コーワ" じゃないよ




         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




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              "コーワ、コーワ" じゃないよ




 今回は、まず譜例をご覧ください。 いきなり登場した、
青塗りの音符たち。

 「あまり見かけない形だな…。」 そう感じられるかも
しれませんね。 音符の "棒" や "旗" に上下の違い
はありますが、鳴っているのは同じ高さの音です。



   [譜例





 これ、弦楽器に詳しい方々はよくご存知ですが、二本
の弦を使って、同じ高さの音を取り、代わる代わる鳴らす
方法です。

 この場合は、片方を指で押さえ、もう一本は開放弦。
"4"、"0" は、それぞれの "指" の指示です。



 この形、ピアノや、木管楽器、金管楽器にも登場します。

 「二本の指や、代え指を用いろ」…という指示ですが、
オーケストラなどで、複数の楽器に跨って用いられる
こともあります。




 それはそうと、これ、どんな音がするのでしょうか?

 演奏例の音源をお聞きください。



   [譜例





 音源は、[譜例 ]の最初からスタートしますが、途中、
の箇所からは、下の[譜例 ]のへ、いきなり跳んで
しまいます。

 相変わらず、鑑賞には不向きな編集です。



   [譜例






 音楽はその先まで続き、また冒頭の音楽が聞えたところで
終ります。



 「なんだ。 それじゃ、進展が無いじゃないか!」

 いいの。 元の音楽へ "かえる" ように出来てるもんで。




 肝心の曲名は、前回までと同じ、ハイドンの弦楽四重奏曲
作品50-6 ニ長調 です。 実はこの曲 "" のニックネーム
で親しまれています。



 その理由はお解りですね? "ケロケロ"、あるいは
"ゴロゴロ" 聞えるからです。

 ただし、「ハイドンが蛙の声を表現したかった」…と
いう説には、根拠がありません。

 この形は、他の楽器にも登場します。




 ところで、この二つの譜例には、濃い緑色の音符もあります。

 かなり見にくいのですが、4つの音符が上下運動を繰り返し
ています。



 また、Sの字を横にしたようなのは "ターン" で、私が
書き加えたものです。

 まず上へ、次いで下へ向かってから、最初の音にかえる
ので、音符の数は、厳密に見れば "5個" になります。



 [譜例 ]、[譜例 ]は、前回の第Ⅲ楽章のものです。

 濃緑と、同じ素材が用いられています。



   [譜例





   [譜例





 そして、先ほどご覧いただいた[譜例 ]では、
両方が、一度にミックスされている箇所まであります。

 単純そうに見える楽章に、こんな深謀遠慮が巡らされて
いたなんて…。 私は仰天! "ひっくりかえる" です。



 いや、その前にハイドンさんに言われそうです。 「お前の
音には呆れかえるよ。 あれじゃ、梅雨時の豪雨で濁った
泥水じゃないか!」

 ええ、自分でも解っています。 たとえ一時でも、こんな音
を出すのはイヤ。 恥を曝すよりは、音源をかえることを
真剣に考えたほどです。



 「じゃあ、なんでこんな侮露愚を書いてるんだね?」

 …まことに厳しいご指摘…。 それでも何かエルものがある
のではないか…。 "反面教師" ということだってありますから。




    ハイドンの弦楽四重奏曲 ニ長調 Op.50-6

            音源ページ




 ケロケロ、ゲロゲロ、ゴロゴロ。

 ところで他の国では、蛙さんはどう鳴くのでしょうか?



 ますます呆れかえる貴方を振りかえることもなく、
世界各国の蛙さんに登場してもらいました。



 英 croak。

 米では ribbit も。

 フランス COÂÂÂÄ-COÂÂÂÂ, coa-coa、コアー コアー。

 ドイツ QUAK、クヴァック。

 アラビア語 gar gar。

 中国 guo guo。

 オランダ kwak kwak。

 フィンランド kvak kvak。

 ギリシャ brekekekex koax koax (なんて読むの??)

 ヘブライ語 kwa kwa (/qva qva)。

 ヒンズー語 me:ko:me:k-me:ko:me:k。

 ハンガリー bre-ke-ke。

 イタリア cra cra。

 日本 kerokero。

 韓国語 gae-gool-gae-gool。

 ノルウェー kvekk-kvekk。

 ポーランド kum kum。

 ロシア語 kva-kva。

 スペイン語 (スペイン) crua-crua。

 スペイン語 (アルゼンチン) berp。

 スペイン語 (ペルー) croac, croac。

 スウェーデン kvack。

 タイ ob ob (甲高く)。

 トルコ vrak vrak。



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 ハイドンさんはドイツ語。 でも私としては、"クヴァック"
は、あまりピッタリ来ません。

 どこの国の人が、"蛙" と名付けたのでしょうね。



 だーれ? おめぇヘソ、ねーじゃないか…なんて
言ってるのは。

 古いね~。 ボクと同じじゃないか!



 まさか、「"コーワ、コーワ" って鳴く」…なんて
思ってる人、いないよねー…?