02/04 私の音楽仲間 (359) ~ 私の室内楽仲間たち (332)
自己吟味の大家
これまでの 『私の室内楽仲間たち』
以下は私の書いた、あるメールの内容です。
メンデルスゾーンの室内楽など、まったく経験したことの
なかった私も、お蔭様でたくさん楽しませていただきました。
…と言っても、Sa.さんのレパートリーに比べたら、ほんの
些細なものですが。
それでも手元の記録を調べてみたら、いつの間にか、次の
ように膨れ上がっていました。 最初のピアノ六重奏以外は、
すべてご一緒に弾かせていただいた (/いただく) ものです。
(八重奏は、まだこれから準備に取り掛かります。)
・ ピアノ六重奏曲 ニ長調 Op.110 (1824、15歳)
・ 弦楽八重奏曲 変ホ長調 Op.20 (1825)
・ 弦楽五重奏曲 第1番 イ長調 Op.18 (1826/1832改訂)
・ 弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 Op.13 (1827)
・ 弦楽五重奏曲 第2番 変ロ長調 Op.87 (1845、36歳)
・ 弦楽四重奏のための4つの小品 Op.81 (1827~47)
・ 弦楽四重奏曲 第6番 ヘ短調 Op.80 (1847、38歳)
最後の曲は、昨日のものです。 ご存じのとおり、弟思い
の姉ファニーが急死し (1847年5月)、悲嘆にくれて出来た
作品の一つで、それから半年も経たないうちに、彼自身も
亡くなってしまいました。
曲の存在は知っていましたが、いざ弾いてみると、ところ
かしこに絶叫が感じられます。 姉の優しさや、陰気な死神
を思わせるような部分もありました。
しかし、これだけ「お姉さん、お姉さん」…と言って亡くなっ
てしまうと、残された奥さんが気の毒になります。 死後は、
息子たちと一緒に出版に尽くしたのに… (チェロの Su.さん
なら、"資金稼ぎのため" と言いかねませんが)。
これは、室内楽グループのお世話係、Sa.さんに宛てた
メールで、ヘ短調の四重奏曲から受けた印象が余りにも
強烈だったことを、伝えたものです。
…というわけで、今回は弦楽八重奏曲です。
いつも姉と一緒だったフェリクス。 揃って作曲の先生に
"正式に" 付いたのが、10歳の年でした。 この八重奏曲
は、16歳の年の作品です。
私がこの曲を初めて耳にしたのは、かなり昔のことです
が、まず心を惹かれたのが、曲の雄大さ! いつか触れて
みたいと思っているうちに、40年以上が過ぎ去りました。
冒頭の 4/4拍子、変ホ長調、"Allegro moderato con fuoco"
の始まり方からして、"この先が楽しみ"…になりませんか?
その期待は、どなたが聴いても裏切られないでしょう。
仄かな夢を秘めた、第Ⅱ楽章。 軽妙ながら、無駄のない
"SCHERZO"。 そして堂々たる終楽章。 少年フェリクスの
内的世界はすでに豊富であり、それが満ち溢れ出るのは、
もはや時間の問題だったのでしょう。
そして私がもっとも驚くのは、それを支える構成力です。
これは、作曲技術だけの問題ではありません。 自分を
客観的に吟味できなければ、"作品" は、単なる "天才
少年の閃き" 止まり…。
この点で、彼の作曲に対する姿勢は、すでに大家の
ものです。
[演奏例の音源]は、第Ⅰ楽章からのもので、冒頭と最後
を繋げてしまったものです。 フェリクスさん、ごめんなさい。
接続を誤り、9/8拍子になってしまった小節まで、一箇所
あります。 重ねてごめんなさい。
録音を聴いてみると、特に第Ⅲ、第Ⅳ楽章では、私が走りに
走っています。 "この先が楽しみ"…なんて、とんでもない…。
みなさん、さぞ弾きにくかったでしょう。
Violin の U.さん、San.さん、O.S.さん、Viola の Sa.さん、
B.さん、チェロの N.さん、Si.さん、本当にごめんなさい…。
[音源ページ]
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