MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

どっちでもないさ

2014-11-04 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

11/04 私の音楽仲間 (630) ~ 私の室内楽仲間たち (603)



              どっちでもないさ



         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




 Mozart 晩年の弦楽五重奏曲 変ホ長調 K614 、その第Ⅳ
楽章は “ロンド形式” で出来ています。

 ただし上記の解説ページでは “ソナタ形式” としていますね。
“モティーフの展開” が頻繁に行われているからでしょう。


 しかしテーマが目まぐるしく交代する印象が強いので、ここでは
一応【A B A C A B  A】…の、“自由なロンド” としておきます。

 [譜例]は、楽章の冒頭の様子です。

 


 “” の部分になると、確かに “新しいテーマ” が出て
きます。 しかしそれは、上のモティーフの動きを、逆に
しただけ。 低音域なので、それとは察しにくいのです。

 それに途中からは、またも “A” のモティーフが現われ、
展開風に繰り返されます。


 しかも “” の部分は、“A” のモティーフの展開そのもの
で、新しいテーマが現われるわけではありません。

 したがって「楽章全体は、すべて “A” を基にして出来て
いる」…と言ってもいいほどです。


 演奏例の音源]は、【A B A  A B  A】…の下線部
に当る部分です。



 「ロンドか、ソナタか…だって? どちらでもないよ。
自由に作っているだけさ。 そもそも全楽章を、一つ
単純なモティーフから組み立てたんだからね。
その “全体の枠組み” が、個々の楽章の形式より
優先したのさ。 結果的に。」 

 35歳の “晩年の Mozart” は、そう答えるかも
しれません。


 「〔全体は部分に優先する〕…って言ってるだろ?
あのフルトヴェングラー君だって。」

 あれ…。 どうして知ってるの?


 

      [音源ページ ]  [音源ページ




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