MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

後の祭り

2014-09-22 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

09/22 私の音楽仲間 (617) ~ 私の室内楽仲間たち (590)



                後の祭り




         これまでの 『私の室内楽仲間たち』

              室内楽で Viola



 私は今、反省しきりです。 違う楽器とはいえ、この曲を前回
弾いたときの記憶が無いのですから…。

 

 曲はメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲 変ホ長調 (第1番
Op.12) です。 今回は Viola ですが、Vn.Ⅰのパートを確かに
受け持ったことがある。 もちろん楽譜には自分の書き込み
も残っているし、そのときの記事まで書いています。

 記録を見ると、まだ二年も経っていない。 一体どういう心理
状態で、この曲を弾いたのでしょうか…?


 それに比べて、今回の印象は鮮烈でした。 Vn.Ⅰを担当した
Oさんが、みごとなリードぶりを発揮してくれたからです。 そして
何よりも、曲に対する愛情が満ち溢れた演奏でした。

 「そんなときに居合わせることが出来て、本当によかった…。」
自分の偽らざる感想です。


 それに引き換え、同じパートを弾いたはずなのに、自分には
記憶さえ無い。 もっとも中核を成す、重要なパートだというのに。
少なくとも達成感や満足感などは、おそらく無かったからでしょう。

 要するに、作品に対する思い入れが足りなかったということ。
これでは、一緒に付き合ってくれた仲間に喜んでもらえたはず
がない…。 そのときのメンバー表を見ながら、今申しわけない
思いで一杯です。

 


 

 演奏例の音源〕は、いきなり ff で始まります。 音量が大きい
のでご注意ください。 全曲の終わりの “3分間” です。

 〔譜例〕は【50秒】以後の部分ですが、やはり “寂しい歌” が
聞こえてきます。 まず断片的に Vn.Ⅰから。


 そして今回も、これを Vn.Ⅱが歌い始めます。 しかし前回
感じられたような、悲劇的な切迫感はありません。

           関連記事 ロマン派のタネ証し

 

 

 

 それ以後は、第Ⅰ楽章の終わりの部分の音楽が、ほぼ
そのままの形で聞えてきます。 やがて Vn.Ⅰ静かに
変ホ長調の主題を歌い出す。 違うのは、クライマクスの
部分が2小節ほど長いだけで、あとは同じです。


 しかしこの第Ⅳ楽章では、闘争や葛藤を思わせるト短調や
ハ短調が荒れ狂っていました。 同じ変ホ長調でも、ここでは
聴く者に深い平安を感じさせながら、全曲は終わります。

 あの絶えず絡みついてくる、ヘ短調の “寂しい歌” からも、
は解放されたのです。



 蛇足ですが、同じ〔譜例〕の二段目をご覧ください。 “sfp” が
2回ありますが、二つ目の “p” は、私が赤で消してありますね。
これ、手持ちのスコアには書いてないのです。

 ただしそれに気付いたのは、この記事を書いている最中の
こと。 つまり、〔音源〕の演奏は sfp” のままなのです。

 もしスコアのほうが正しいとすれば、どう変わってくるのか?




 
 最初は sfp” なので、すぐに音量を落とします。 でも
二度目は、【ある程度音量を保つ】…必要がある。

 三段目の “dim.” に入るまでは。 そのほうが緊張感
持続できることになります。 それが作曲者の望んだ
音楽なのかもしれません。


 もっと早く気付いていれば、Viola を持ちながら、ちょっと
した演出ぐらいは出来たはずです。 そうなれば、少しは
仲間に喜んでもらえたかもしれないのに…。

 またいつか、この曲に触れるチャンスがあるとは限りま
せん。 Vn. にせよ、Viola にせよ。
 

 


               音源ページ




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