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麻生のナチス発言 内外から批判続々’安倍首相の任命責任も重い

2013-08-02 | Weblog

安倍、麻生の「ナチス発­言」で思わぬ痛手.国会の会期をわずか6日間に短縮させて「任命責任の追及」をのがれる算段。


失言・放言癖のある人だから、では済まされない重大発言だ。

 麻生太郎副総理兼財務相が講演で、憲法改正をめぐり戦前ドイツのナチス政権時代に言及する中で「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と述べた。

 当時、世界で最も民主的で先進的といわれたワイマール憲法を現在の日本国憲法になぞらえて、改憲の必要性を説く中で出た言葉である。

 麻生発言の向こう側に、ワイマール憲法破壊後に戦争に突き進んだナチス政権と、憲法を改正して国防軍創設などを目指す自民党、安倍政権の姿勢が重なって見えると言ったら言い過ぎだろうか。

 1933年の政権奪取後、ナチス政権は「一家に1台フォルクスワーゲン」のスローガンの下でアウトバーン建設など公共工事を推し進めて景気を回復。一方で、反ユダヤ主義などでナショナリズムを刺激し、政権基盤を固めた。

 その「手口」に学び、アベノミクスによる景気回復を強調し、尖閣などの領土問題や歴史認識問題でナショナリズムを刺激する。こうした中で「改憲やむなし」の空気を醸成する。そういうことか。

 ナチス政権は国会議事堂放火事件を政治利用し「緊急事態」に対処するためとして、内閣に立法権を一時的に付与する「全権委任法」を成立させた。同法を根拠にナチス以外の政党の存在を認めずに、独裁と戦時体制を確立したのだ。

 自民党の憲法改正草案も98条と99条で「緊急事態」に関する規定を設けている。有事や大規模災害時に、法律と同等の政令を制定することができるなどの権限を内閣に付与するものだ。これもナチスの「手口」に学んだのか。

 自民党、安倍政権の改憲目的は、戦時体制を整えるためにあるのかと思われても仕方があるまい。しかし、緊急事態規定がいかに権力によって乱用され、悲劇的な結果を招くかはナチス政権を見ても明らかだ。

 昨年の衆院選での自民党同様、ナチス政権も民主的制度の下で合法的に政権を奪取した。しかしその後に、かつての日本と同様に戦争への道を歩んだということを、国民は肝に銘じる必要がある。

 首相の任命責任も重い。麻生氏は民主主義を否定するつもりはないとも述べたが、額面通り受け取る人がどれだけいるだろうか。(琉球新報)


参考


民主政体でなぜ独裁?「ナチス憲法」は存在したの?

-麻郎副総理兼財務相のいわゆる「ナチス憲法」発言が物議を醸している。

ドイツは第1次世界大戦(1914~18年)の敗北に伴って帝政が崩壊し、当時の欧州の中で最も進歩的な民主政体とされるワイマール共和国が成立した。

その進んだワイマール憲法下で実施された選挙で、ヒトラー率いるナチス党(国家社会主義ドイツ労働者党)が第一党の座を獲得し、独裁体制へ突き進むわけだが、麻生氏が言うような「ナチス憲法」といったものは存在しなかった。

ナチス政権の下でも、ワイマール憲法は形骸化しながらも残っていたのであって、「ナチス憲法」に取って代わられたわけではない。

-どうしてヒトラーはそんな民主的な憲法の下で、独裁体制を構築できたのだろうか。

1933年1月のヒトラー内閣成立直後の3月、国会で「全権委任法」が可決された。これは政府に立法権を委ねる法律で、ヒトラーはこれによってワイマール憲法を無視し、大統領の承認や国会の制約も受けずに国を支配することが可能になった。

当初は時限立法だったが、更新が繰り返され、ナチス独裁に正当性を与える法的根拠となった。

全権委任法は、国会議席の3分の2以上の賛成がなければ成立できない法律だったが、ヒトラーの政治工作によって圧倒的賛成多数で可決された。

-ナチスはユダヤ人迫害も法律にのっとって実行していったのか。

全権委任法成立後、ナチスはユダヤ人迫害のための法律を次々に施行した。同法成立直後の4月には、非アーリア系(ユダヤ人)の公務員らを強制的に退職させる法律も制定された。

ユダヤ人の社会権・生存権を否定する立法・政令は枚挙にいとまがないほどだ。反ユダヤ立法の最たるものは35年のニュルンベルク法で、ドイツ人との結婚を禁じるなどユダヤ人からあらゆる権利を剥奪した。

-全権委任法がヒトラーの暴走を許したわけだが、戦後のドイツはこの教訓をどう生かしているのだろうか。

ワイマール憲法は実質的に、全権委任法の成立を可能にしていたと同時に、危機に際して国家元首の権限を拡大する緊急命令発布権を認めていた。これらがナチス独裁に道を開いたワイマール憲法の大きな弱点だった。

その反省から、戦後のドイツ基本法(憲法)は為政者への全権委任を認めていない。また、改憲は連邦議会の3分の2以上の賛成で可能と規定されているが、基本的人権や三権分立の保障を定めた条文の改正は決して認められていない。


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