靖国参拝、アメリカ反対押し切り決行「失望している」
安倍晋三首相は12月26日、日本の首相として2006年以来7年ぶりに靖国神社を参拝した。首相はFacebookで以下のように発言している。
日本のために尊い命を犠牲にされたご英霊に対し、尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈り致しました。
同時に、戦争で亡くなられ、靖国神社に合祀されない国内、諸外国の人々を慰霊する鎮霊社にも、参拝いたしました。
二度と人々が戦争の惨禍に苦しむことが無い時代をつくる、との決意を込めて、不戦の誓いをいたしました。
国際世論の反応
アメリカ政府は大使館のホームページで声明を発表。「失望している」と評した。
日本は重要な同盟国であり友だが、アメリカ政府は日本が隣国と関係を悪化させる行動を取ったことに失望している。
(駐日アメリカ大使館「Press Release」より 2013/12/26)
日本政府は事前に11月中旬にアメリカに靖国参拝について説明していたが、反対されていたという。
衛藤首相補佐官は、靖国参拝をめぐる意見交換のため、11月中旬に訪米し、ラッセル国務次官補など、アメリカの要人らと面会した。この際、アメリカ側から、「オバマ大統領が理解を示すことはない」、「日本の評判を落とし、日本のアジアにおける影響力低下を招く」などと、厳しく反対されたという。
(FNNニュース「安倍首相靖国参拝」より 2013/12/26)
■イギリス:BBCの反応
最大の疑問はなぜ今、安倍首相が参拝を決断したかだ、とBBCのルパート・ウィングフィールド-ヘイズはリポートする。
安倍首相を支持する自民党内のタカ派のごきげんを取った可能性もあるが、反日姿勢を明確にする中国の新指導部、韓国の大統領に対する、安倍首相自身の返答という意味もあっただろう、と分析する。
(BBC News「Japan PM Shinzo Abe visits Yasukuni WW2 shrine」より 2013/12/26 ※18:00現在、該当の記述は削除されている)
■アメリカ:ニューヨーク・タイムズの反応
安倍首相は保守的な歴史観で知られており、慰安婦問題を含む、日本の戦時行為についても一部疑いを持っている。また、これまでの日本の軍縮を覆し、中国に対向するためドローン(無人機)や水陸両用強襲輸送車を配備するなど、軍備を増強しようとしている。
(NYTimes.com「Japanese Premier Visits Contentious War Shrine」より 2013/12/26)
■アメリカ:CNNの反応
10月にはジョン・ケリー国務長官とチャック・ヘーゲル国防長官が千鳥ヶ淵戦没者墓苑に献花した。ここは靖国から1マイルも離れていない場所にある。宗教とは切り離されており、第二次大戦中、海外で命を落とした軍人、民間人の遺骨が収められている。ケリー長官らの訪問は、靖国のかわりにこちらでどうか、という提案にほかならない。
(CNN.com「Japanese prime minister visits controversial war shrine」より 2013/12/26 ※18:00現在、該当の記述は削除されている)
■アメリカ:USAトゥデイ
この隣国を不安にさせる日本の行動は、平和憲法改正や、東シナ海の問題で中国に対抗するため、軍備を拡大する安倍首相のこれまでの姿勢と一致する。
(USAトゥデイ「Japanese prime minister to visit Yasukuni shrine」より 2013/12/26)
■ドイツ:ヴェルトの反応
北京と東京との危機は一気に高まっている。中国にとって重要なイベントとなる毛沢東の生誕120年祭のさなかに、安倍首相が政権を取って1年になる日本は靖国参拝によって中国を挑発した。
(Welt.de「Tokyo: Japan's Premier provoked China with shrine visit」より 2013/12/26)
Twitter上での反応
野口健 ✔@kennoguchi0821Follow
総理の靖国神社参拝の度に大騒ぎするこの状況に対し英霊たちは何を感じているのだろうか。国が始めた戦争であり多くの兵士は赤紙一枚で戦場に派兵され散っていった。僕が遺骨収集を続けているのも国の為に戦い亡くなった方々に対し冷たい国は、そんな国はいずれ滅びると感じているからだ。
内田樹 ✔@levinassienFollow
安倍首相の靖国公式参拝、BBCやNewYorkTimesが速報を出したということはそれだけ外交的に重要なシグナルだということです。中国、韓国の国民感情や政府の抗議は「意に介さない」というだけではなく、アメリカの意向も「意に介さない」ということを含意しています。
落合洋司@yjochiFollow
自分は靖国参拝自体に反対する立場にはないが、アジアの緊張が高まるのは避けるべきだし、アメリカが首相の靖国参拝に自制を求めてきている理由も、そこにあると思う。靖国参拝で緊張、反発が高まり、海外の日本人が危険にさらされる。それを戦陣に散り戦火に倒れた人々が望んでいるのか、とも感じる。
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