『朝まで生テレビ!』を自民・公明の全議員がドタキャン! 安保法制論議から逃走の無責任
逃亡与党に田原総一郎もご立腹!(テレビ朝日『朝まで生テレビ!』番組サイトより)
「自民党、公明党が出てこない」
6月26日深夜放送の『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)、冒頭で司会の田原総一朗が苦々しく言った。この日の放送では「激論!若手政治家が日本を変える?! 若手国会議員がスタジオに集結! 戦後70年、未来の総理(?)に問う!」と題して、与野党の若手議員が安保法制を中心に討論する予定だったのだが、出演したのは民主党ら野党議員のみ。なんと、自民党と公明党の議員は一人たりとも姿をあらわさなかったのだ。
田原は冒頭の台詞に続き「安保法制の議論が、そうとう際どくなってる。しかも、わりに自民党も最初はね、簡単に番組に出そうだった。出ると言っては断る、出ると言っては断る(ということがあった)」と指摘。さらには番組プロデューサーを呼び出して、その“与党出演拒否”の経緯を説明させた。
その説明によれば、『朝生』は、事前に30名以上の自民党議員に出演をオファーしたが、すべて断られてしまったという。さらに自民党広報部に取りまとめを求めるも、やはり「都合がつかない」ということで出演はゼロ。しかも公明党に至っては、「自民党と足並みをそろえたい」という意味不明の理由で出演を断ってきたのだという。田原も「なんで公明党も出ないんだろ、自民党の子分でもあるまいし」と批判したが、やはり、この“出演拒否”には裏があったことがわかっている。
実は、自民党の河野太郎議員が23日、自身のブログで、こんなやりとりを明かしていたのだ。
〈あるテレビ局の記者が、議員会館の私の部屋で油を売っている。
「週末の番組に自民党の若手議員をよんで安保法制について議論をしてもらう企画をしているんです。」
「へーえ、おもしろそうじゃん。でも野党はよばないの」
「いや、野党の若手もよんで討論みたいな企画なんです。」
「自民党は誰がでるの。」
「声はいろいろかけてるんですけど、党本部から出演が禁止されたみたいで、まだ誰もOKしてくれないんです。」
「じゃ、俺が出ようか。」
「いや、若手議員に出てもらおうという企画なんで。」
ふん、どうせ四捨五入すれば私は百歳だよ。〉
この「企画」はどう見ても『朝生』のこと。ようするに、自民党本部から議員に“出演禁止”が指示されていたのだ。つまり、何十人もが口をそろえて「都合がつかない」というのは真っ赤なウソ。安保法制をめぐって形勢不利とみた自民党が、生放送の議論から逃げ出していたのである。
だが、前述の『朝生』プロデューサーによれば、それでも、25日の夕方になって一人だけ自民党議員が出演を応諾していたという。ところが、この議員も結局、26日の番組が始まる直前に「体調不良で病院にいくので深夜の番組には出られない」という理由でドタキャンしてきた。
番組では名前は出さなかったものの、この議員は秋元司議員と言われている。おそらく、24日の自民党若手議員の会合「文化芸術懇話会」での「マスコミを懲らしめる」発言が問題になって、これを蒸し返されたくない自民党が秋元議員に「何があってもテレビにでるな!」と圧力をかけたのだろう。
安倍政権と自民党はこの間、メディアで政府や与党の言い分よりも野党の意見や政権批判のほうが少しでも多く取り上げられると、即座に抗議し、「偏向」「公正さに欠ける」などと圧力をかけてきた。昨年末の衆院選のときにも〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉という通達を各テレビ局に出して、政府自民党の主張を取り上げるよう要求してきた。
それが、一転、自分たちの提出した法案が穴だらけで、まともな説明ができないことが判明すると、メディア側が政策説明の時間を与えるといっているのに、それを拒否。できるだけ国民に説明する機会を減らして逃げ切ろう、というのである。
そして、自分たちだけで「非公開な勉強会」を開催し「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番」とか「テレビのスポンサーにならない。これが一番こたえる」などと卑劣な手段を話し合っている。
これが国民に選ばれた政治家のやることだろうか? いや、自民党はすでに民主主義国家の政党であることをやめているのかもしれない。こんな連中にこの国を任せておいていいのか、国民は真剣に考えるべきである。 以上、日刊サイゾからの記事
参考:
番組では当初、与野党の若手議員が安保法制などについて議論する予定だったが、自民党議員とともに公明党議員も出演を断り、参加は野党議員と評論家らだけだった。
番組内で説明したプロデューサーらによると、出演予定だった自民党議員3人が「地元の日程の調整がつかない」と辞退。その穴を埋めようと自民党議員三十数人に出演を求め、1人が出演を承諾した。だが放送直前、この議員も「体調不良」を理由に辞退した。
司会の田原総一朗氏は番組で、辞退の背景について「安保法制の議論が際どいところへきている」と語り、懇話会問題も影響したと分析。公明党については「なぜ出ないのか。自民の子分でもあるまいし」と批判した。
谷垣禎一幹事長は27日の記者会見で、出演辞退の経緯は不明としつつ、「こういう時は慎重に対応してもらいたい」と暗に今後の出演自粛を促した。自民党幹事長室は今月、安保法案審議の混乱を受け「マスコミに出演する際には事前に報告するように」と通知していた。党関係者は「幹事長室が(番組出演を)止めたのだろう。首相官邸がテレビでの議員の発言にピリピリしている」と語った。
一方、公明党は「出演できる議員を探したが、日程の都合がつかず、25日に断った。自民と歩調を合わせたわけでない」(広報部)としている。
出演した民主党の蓮舫氏は27日、「平時ならば与党は議員をテレビに出すのに必死なのに、都合がよくないと出ないのは権力のおごりだ。議論が深まらなかった」と、与党の不参加を批判した。
◇出席議員 おわびや釈明に追われる
懇話会に出た議員たちは、おわびや釈明に追われた。
懇話会代表で党青年局長を更迭された木原稔氏(熊本1区)は27日、地元での会合で、支持者に「私の本意に反して国会運営に多大な迷惑をかけたことを申し訳なく思っている」と陳謝。会合後、取材に「処分は全面的に受け止める」とした。
「(圧力を加えるには)広告収入をなくすのとスポンサーにならないことだ」などと発言した井上貴博氏(福岡1区、厳重注意)は26日、「私の発言が誤解を招いたとすれば申し訳なく思っている」と、おわびのコメントを発表した。
長尾敬氏(比例近畿、同)は26日、ネット上で「沖縄の二大メディアには偏向的な記事が極端に多い。報道の自由を盾に、ノリを越えたあり方は激しい疑問符をうたざるを得ない」と改めて持論を展開したが、27日にネット上で陳謝した。
大西英男氏(東京16区、同)は26日、ホームページ上で「一部の新聞が報道したようなマスコミを規制することを目的に開かれた会合では決してない」などと釈明した。
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