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仮想通貨ビットコイン、暴かれた考案者の正体とは

2014-03-08 | Weblog

本物!? Bitcoin作者「Satoshi Nakamoto」独占インタビューを米Newsweekが掲載

最近、何かと世間を騒がし、ついには各国政府自らが対応にまで乗り出す事態となった仮想通貨「Bitcoin」(ビットコイン)。現在も高速プロセッサを用いた“発掘”や取引が続いていたりするが、その出所には不明な点が多い。例えば、WikipediaのBitcoinページによれば、2009年にオープンソース開発者の「Satoshi Nakamoto」によって初めて紹介されたとしている。

 しかし、実のところ「Satoshi Nakamoto」氏が何者かは不明で、自己紹介などのプロフィールから「日本人男性らしい」というくらいしか分かっていない。そもそも「Satoshi Nakamoto」が本人の本名かどうかさえ不明で、一部のミステリーマニアや愛好家らは「何か秘められた暗号が込められているのかもしれない」「本来の身分を隠すための偽名」だと考え、その正体や隠された意味について推理が進められていたりもした。事実は小説よりも奇なりというが、本当の事実はもっとシンプルで考える余地のないことだったりするのかもしれない。

 米Newsweek誌が3月6日(現地時間)に公開した「The Face Behind Bitcoin」という記事では、2ヵ月に及ぶ内偵調査の結果、この「Satoshi Nakamoto」の居所を突き止め、本人に直接接触することに成功したことを報告している。

 本人の写真や生活風景についての詳細はNewsweekの記事を参照してほしいが、その風貌はおよそ前述の愛好家の想像や政府のエージェントや世界の投資家らが翻弄されているものとは異なり、身だしなみにあまり気を使っていない普通の中年男性のそれだった。

 本人の名前は「Satoshi Nakamoto」といい、64歳で日本の東京を出身とするアメリカ人男性で、鉄道模型を趣味としている。現在は米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊に住んでいるが、Newsweekの記者が同州テンプルシティの保安官2名の立ち会いの下でSatoshi Nakamoto氏宅を訪ねたとき、保安官らは実際の氏の風貌や生活風景と、現在世間を騒がせているBitcoinのイメージとのギャップに大きく驚いていたようだ。そう、Satoshi Nakamotoは偽名でも隠された暗号でも何でもなく、単に開発者本人の本名だったというわけだ。

 記者が実際に同氏宅を訪問したとき、対応に出た本人はひどく警戒する一方で、Bitcoinの作者であることを認めたという。だがSatoshi Nakamoto氏は、すでにBitcoinは同氏の手を離れており、それを受け継いだメンバーらが責任者となっていると述べ、実際の取引や作業に関わっている人間とは一切接触がないと、その関わりを強く否定している。つまり、根本部分の開発を行なった作者であることは認めたものの、すでに自身は無関係だとコメントのみを行なって、それ以上については語らなかったようだ。事実そうなのだろう。

 Newsweekによれば、ピーク時の取引額は1日あたり5億ドル(約515億円)であり、その気になれば一財産残して高級住宅街に隠遁生活も可能なはずだが、その生活風景を見る限り、そうした華やかな世界とは無縁の存在のように見える。

同氏本人を特定するまでの過程

 興味深いのは、Newsweek誌が同氏本人を特定するまでの過程だ。調査開始から本人接触まで2ヵ月がかかったと説明しているが、Satoshi Nakamoto氏を特定するのは容易ではなかったようだ。そもそも同姓同名が何人も存在するし、「Satoshi Nakamoto」自体が偽名の可能性がある。例えばニューヨーク在住のRalph Laurenのデザイナーや2008年にハワイ・ホノルルで死亡した人物、さらにはLinkedInプロファイルから日本在住のBitcoin開発者を自称する人物など、さまざまな人物のデータをあたってきたが、Bitcoin開発そのものに関わるプロファイルとは一致するものがなく、最初は人物特定に時間が割かれたようだ。

 最終的に、各種公共データの照会から米国市民の中で近いと思われるプロファイルの人物を特定し、テンプルシティ在住の同人物に電子メールでの接触を図れるようになったのは、この直接対面のわずか2週間前。しかも、電子メールでのやり取りの大部分は同氏の趣味である鉄道模型関連の話題で、日本や英国からパーツを取り寄せて加工、組み立てを行なう同氏のメールでのコメントはティーンエイジャーのようだったという。

 その過程で、少しずつ出自や過去のキャリアについて聞き出せたが、核心であるBitcoinに関する話題に触れた瞬間、それまでのやり取りが嘘であるかのように返答がなくなったようだ。息子であるEric Nakamoto氏に接触してみたものの、こちらは「父はBitcoinに関して語ったことはない」とのみ返答してコンタクトを拒否されてしまう。

 最終的に、長男であるSatoshi Nakamoto氏の3兄弟の末っ子、Arthur Nakamoto氏にアクセスしたところ、プロフィールの一部について知ることができた。Satoshi Nakamoto氏は優秀な研究者だが、そのキャリアの多くは機密情報にかかわっており、プロファイルとして存在しないという。そして、Bitcoinに関するものを含む、すべての情報について長兄は語ることはないだろうとだけ警告して電話を切ったとしている。

 Arthur氏が語ったように、同氏の仕事内容については家族でさえも把握しておらず、妻のMitchell Nakamoto氏も夫が優秀なエンジニアであることは知っているものの、その仕事内容について本人が家族に語ったことはないという。

 Newsweek上でのストーリーはまだまだ続いているので、詳細は記事を読んでほしい。ひとつ分かるのは、本人の外見的なイメージとBitcoinが結びつかず、さらに周囲の人間でさえBitcoinに関わった人物であることをほとんど把握していなかった点だ。一方で、エンジニアとしての優秀さや一般には示せない秘密のキャリアの存在と、Bitcoinを開発するだけのバックグラウンドは備えていることも、これら証言は示している。Bitcoinに関する騒動はまだしばらく収束することはないだろうが、その秘密のベールの一端が紐解かれた段階かもしれない。

世界駆け巡った「ナカモト」氏の正体判明報道

[image] Bloomberg

ビットコインの考案者と報じられたサトシ・ナカモト氏(自宅外で)

 インターネット上の仮想通貨ビットコインをめぐって6日、現実世界で大騒ぎが持ち上がった。「ナカモト」と呼ばれる正体不明の考案者が、ついに姿を現したのだ。

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 米東部時間6日午前6時過ぎ、米誌ニューズウィークはビットコインの考案者を紹介するという記事を掲載した。ちょっと前はマニアの趣味に過ぎないとみられていたビットコインは、ここ1年間に80億ドル(約8230億円)規模に拡大した。この報道が真実だとすれば、ビジネス界における最も大きなミステリーの1つが解決することになろう。

ニューズウィークがビットコインの考案者である可能性が高いと伝えたのは、日系米国人の男性、サトシ・ナカモト氏。ウォール・ストリート・ジャーナルはこれについて確認できていない。 

 その後、AP通信は同日、ナカモト氏が2時間におよぶインタビューで、ビットコインとの関係を否定したと伝えた。 

 ニューズウィーク誌の報道は、ビットコイン市場の投資家やトレーダーの間を駆け巡った。ついに匿名の考案者が明らかになってしまったと落胆した人々もいれば、ニュースにほっとしたと漏らす投資家もいた。規制当局者は、現実世界に流れ出し、マネーロンダリングなどばかりでなく、日常的な商取引に使われるようになっている仮想通貨の真相についにたどり着けることを期待していると述べた。 

 この報道を受けて、ロサンゼルス近郊のナカモト氏の自宅には報道陣が詰め掛けた。2階建てのピンクがかったベージュ色の自宅は、近所の人々が集まるなか、カーテンが下ろされ、静まり返っていた。 

 しかし、数時間後にはニューズウィーク誌がナカモト氏と報じた人物に似た男性がこの家から姿を現し、集まった報道陣に近づき、「高価な」ランチをおごってくれるよう求めた。すし店で食事をご馳走すると1人の記者が申し出ると、2人は取材陣の人だかりをすり抜け、その記者の車に乗り込んで出発した。 

 ニューズウィーク誌によると、ナカモト氏は1959年に母親のアキコ・ナカモト氏が離婚した後、母親とともにカリフォルニア州に引っ越した。父親は仏僧で、再婚した。不動産の記録によると、テンプルシティーにあるナカモト氏の住居は母親の名前で登記されている。ニューズウィーク誌は、現在93歳の母親が今でもこの場所に住んでいると伝えた。 

 ナカモト氏の兄弟の1人、トクオ・ナカモト氏はサトシ・ナカモト氏について、科学と数学の才能があったが、ビットコインの考案者ではないだろうとの見方を示した。「彼(ナカモト氏)が何かを隠しているとは思わない。それほど賢いとは思わない」と話し、「主任研究者やチーフ・エンジニアだったことはない」と続けた。 

 ビットコインの熱狂的なファンの中には、匿名の考案者が明らかになることで、ビットコインの正当性が増すことになろうとの見方を示す人々もいた。ビットコイン企業を展開するテクノロジー起業家のジェレミー・アライアー氏は「お金に関しては、謎めいているというのはあまりいいことではない」と述べた。 

 しかし、ビットコインコミュニティーの一部はニューズウィーク誌の報道に憤りを感じている。 

 開発者たちが使用していたフォーラムから考案者が姿を消す10カ月前の2010年7月にビットコインのソフトウエアチームとともに働き始めたというプログラマーのジェフ・ガージック氏は、この記事は「彼(ナカモト氏)がビットコインを考案したという信頼できる証拠は全く提供していない」と述べた。ガージック氏は現在、ビットコインの中核コードの開発にかかわる5人のチームに所属している。 

 ビットコインコミュニティーでは、ビットコインの考案者は6億5000万ドル相当のビットコインを保有していると広く考えられている。ガージック氏は、調査の結果、考案者はこのプロジェクトの開始に当たって確保したコインを今でも保有しているようだと述べた。その上で、こうしたビットコインを使用したりドルに換金しようとしたりすれば、すぐに認識されると指摘した。 

 ナカモト氏の正体が暴かれる可能性は、ビットコインの匿名性を好む熱心なファンにとっては特につらいことだ。ジェレミー・アライアー氏は「非常に気の毒だ。実際、それがサトシ・ナカモト氏だとすれば、彼の選んだライフスタイルが劇的に変化することになる。それを望まない人にそんなことは起こって欲しくない」と語った。 

 ナカモト氏の近所に住む人々は、世界的なビットコインの考案者とされる人物があまりにも控えめにひっそりと暮らしていたことを知って、衝撃を受けたと話した。 

 ニューヨーク州金融サービス局(DFS)のベンジャミン・ロースキー局長は、DFSはナカモト氏が考案者だとすれば、ナカモト氏の話を聞くことに関心があるとしている。DFSはビットコイン関連会社に適用される新規制の設定に取り組んでいる。ロースキー局長はインタビューで、ビットコインの背後にあるコンピューターサイエンスのテクニカルな詳細を規制当局者が理解する上で、ナカモト氏は役に立つだろうとの見方を示した。 

 ナカモト氏はトクオ・ナカモト氏と6日に話した際、記者団が自宅前にキャンプを張っていると言っていたという。 

 ナカモト氏がランチをご馳走してくれるという記者と出かけたとき、記者団は1時間ほど2人の乗った車を追跡した。そして、この追跡劇はAP通信のオフィスで幕を閉じた。追っかけの記者団がビルを離れるよう求められときにはナカモト氏は車から出ていなかった。 

 1人の警備員が、AP通信の駐車場にまだ集まっていた十数人の記者団に対し、ナカモト氏は自宅に戻ったと伝えた。6日夜には、一部の記者団が引き続きナカモト氏の自宅前に陣取っていた。ナカモト氏の母親と名乗る年配の女性が、ナカモト氏とそこに住んでいると話した。この女性は日本のメディアに対し日本語で息子は家にいないし、自分はビットコインのことは何も知らないと話した。 

 その後、サトシ・ナカモト氏がドアを開け、それ以上何も話すことはないと語った。「邪魔しないで下さい、帰って下さい」と話し、母親を家に導き入れ、ドアを閉めた。


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