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東京都教育委員会、高校教科書の選定をねじ曲げる(その一行の側注を理由に)

2013-04-19 | Weblog

 国旗掲揚と国歌斉唱について「一部の自治体で強制の動きがある」と記した実教出版の教科書「高校日本史A」に、東京都教育委員会が難色を示し、都立高校が使用しない事態が生じている。

都教委の意向を圧力と感じ高校側が使用を断念した、との証言もある。この教科書は今年は一年生が対象だが、来年度は二年生も使用の対象になるため、さらに「締め出し」の影響が大きくなる可能性がある。

 「『絶対変えろ』と言われたわけではないが」。今春退職した元都立高校日本史教諭の男性(60)は、語尾に悔しさをにじませた。「実質的には決定をねじ曲げられた」

 教科書は使用する前年にそれぞれの高校が選び、その報告をもとに教委が採択する。男性の高校で一年生に教える近現代史が中心の「日本史A」の教科書選定では当初、「レイアウトが優れている」などの理由で、四社のうちから実教出版の教科書を選ぼうとした。

だが校内の正式な選定を控えた昨年七月上旬、都教委から校長に「実教版は都教委の方針と合わない面がある」などと二回、電話があったという。

 都教委は、都立高二百三十校のうち、一年生に日本史Aを教える十七校全校を対象に電話したことを認めている。実教版が国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と側注で記していることについて「都教委の考え方とは相いれない」と指摘していた。

 男性の高校はこの二度の電話の後も、実教版を選ぶ方針を変えなかったが、さらに七月下旬、二度電話があり、校長が別の教科書への変更を決めたという。

 最終的に、男性の高校を含む十七校のうち実教版を選んだのはゼロ。しかし、全国シェアは14%に達しており「不自然な採択結果」(高校教員)との指摘が出ている。

 都教委高校教育指導課の江本敏男課長は「あくまで情報提供をしているだけで、『これを使うな』とは言っていない」と説明する。来春は二年生で教える高校も新指導要領対応の教科書を使うため、実教版をどうするかの選択を迫られる学校は、十七校から数十校に拡大する。

 元千葉大学教育学部教授で、千葉市教育委員の明石要一さんは「教科書の取り扱いについては、情報提供というあいまいな形ではなく、教育委員たちによる公開の定例会で議論すべきだ」とやり方に疑問を示す。実教出版は「コメントする立場にない」としている。


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