就職・転職支援の日経HRは大学生を対象に学業や課外活動など4分野から成る「学生生活充実度調査」を実施した。
学生時代に身につけた主体性や協調性は、社会人に必要な能力として企業が注目する。
調査結果から就職後に成長する能力などを指す「就業力」を育てる大学をランキングにした。就職面の強さを重視して大学を選ぶ受験生の参考になりそうだ。
総合首位に立ったのは東京外国語大学。授業に関して88%が「面白い」「理解している」と回答するなど、学業分野の評価が高い。ある学生は「目標がある人には何でも学べる入り口が開かれている」と指摘した。交友関係分野では100%が「学内に2人以上の友人がいる」「学外に年齢の異なる友人がいる」と答えた。海外からの留学生が多く、国際色豊かなキャンパスライフがうかがえる。
2位には横浜国立大学がつけた。交友関係分野で100%が「先輩・後輩との付き合いがある」、94%が「学生生活は楽しい」と回答した。主要な施設が横浜市のキャンパスに集中しており、研究分野や学年の垣根を越えて交流できる環境が整っている。
3位の一橋大学は回答者の全員が研究室に参加しており、「ゼミの一橋」の面目躍如となった。商学部の学生は「小規模なので教授の目が行き届いている」と評価する。大学の就職支援について91%が「役立つ」と回答。学園祭や合宿の参加経験が100%となるなど、課外活動も活発だ。
4位には首都圏以外ではトップの名古屋工業大学が入った。100%が「入学時に望んだ勉強ができている」と回答。89%が大学での学業や経験が仕事に「役立つ」と答えるなど、工業系大学の強みを発揮した。卒業後は愛知県内の製造業に進む学生が多い。
5位は愛知淑徳大学が私立大で最も上位にランクインした。授業について「理解している」が95%、「面白い」が86%に達した。学部や学科を越えて授業が受けられることが、学業分野の高い満足度につながっている。
6位は東京女子大学で、女子大で最上位だった。専門分野だけでなく幅広い教養を身につけるリベラルアーツ教育を実践しており、91%が「入学時に望んだ勉強ができている」と答えた。図書館を「よく利用する」は68%で成蹊大学に次ぎ2番目に高かった。
7位の筑波大学は学業分野で「ゼミに入っている」が94%、課外活動分野で「サークル・部活に所属している」が81%だった。社会・国際学群の学生は「充実した施設で少人数教育を受けられる文武両道の総合大学」と評した。
8位に東京大学が登場。イベントの参加経験を聞いたところ、サークルや部活などの合宿が91%、学園祭が83%に上った。「彼氏・彼女がいる」と答えた学生は全体平均の38%を上回る50%に達し、学業だけでない学生生活が垣間見える。
9位には上智大学が入った。国際性に富んだ学風を反映して「留学経験がある」は32%で、全体では4位だった。経済学部の学生は「留学生が多く、普通に生活するだけでもグローバルな人間になれる」と答えた。
10位は関西勢で唯一ベスト10入りした龍谷大学。「学内に2人以上の友人がいる」が100%、「先輩・後輩との付き合いがある」が95%と交友が盛んだ。
総合ランキングで10位に入らなかったものの、分野別で上位につけた大学もある。総合で59位だった同志社女子大学は学業分野では3位に入った。現代社会学部の学生は「幅広く教養科目の知識を身につけられる」と回答した。
大学の就職支援などを聞いた就業観分野では、山口大学が首位。地域に根差した就職支援組織が充実している。2位には女性のキャリア教育に定評がある跡見学園女子大学が入った。3位の金城学院大学はインターンシップを経験した学生が56%と多かった。
課外活動分野では岡山大学が3位。ボランティア活動に参加経験がある学生は67%おり、全大学でトップだった。交友関係分野は弘前大学が4位。学生からは「比較的小さな規模なので顔見知りが多い」といった声が上がる。
ランキングスコアの算出方法 「学業」「課外活動」「交友関係」「就業観」の4分野で構成するアンケートを実施。各分野の質問に対する肯定的な回答を大学ごとに集計・得点化するなどしてランキング化した。
ランキング対象 回答者数が15人以上あった77大学のうち上位65大学までの総合ランキングを作成。17日発売のムック「親と子のかしこい大学選び」(日経HR)では、65大学全体の総合ランキングや調査結果の詳細などをまとめています。
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