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[教育] 学べることは幸せなこと、日米の比較(米国の場合)

2013-01-22 | Weblog

米東部の世界屈指の名門私大8校で成るアイビー・リーグの1つ、コロンビア大学で19年間、構内の清掃員をしながら、大学職員に適用される授業料の免除制度を利用して勉強を続けた旧ユーゴスラビア出身の男性が5月13日、学士号を取得して無事、卒業を果たした。ニューヨーク在住のガッツ・フィリーパイさん(52)で、多くの米メディアは「仕事と学業の両立に新たな意味を与えた」などと称えた。

 ■旧ユーゴから移住

 フィリーパイさんが属したコロンビア大学スクール・オブ・ゼネラルスタディーズのピーターオーン学長は卒業式で「清掃員としても大学生としても、崇高なプライドを持った人物である」とフィリーパイさんを紹介し、「大変謙虚に感謝の意を示しながら、自分自身で自らの未来を切り開いた」と称賛を贈った。

 フィリーパイさんは旧ユーゴの首都ベオグラードのロースクールで法律を学んでいたが、1992年、32歳の時、前年に始まった激しい内戦から逃れるため難民として米国に移住した。英語は全く話せなかったため、叔父が暮らすニューヨークのブロンクスに。叔父が世話したシェルター(避難所)に住み、近くのレストランで食器の片付けなどを担当するバスボーイとして働いた。そして行動した。「いろんな人に『ニューヨークで最高の大学はどこ?』と尋ねたら『コロンビア大学だ』と言われたので、そこで仕事を探すことにしたんだ」

 ■午前授業、午後仕事

 時給22ドル(約1700円)で清掃員の仕事に就き、英語を学びながら午前中は授業に出席。その後、昼の2時から夜の11時までは清掃業務を続けた。試験前などは勉強に必要な時間が増えるため業務が徹夜になったが、翌朝はそのまま授業に出た。さらに、薄給の中から、旧ユーゴ構成国のモンテネグロに暮らす2人の子供や兄弟に仕送りを続けた。節約のため携帯電話もパソコンも持っていない。

 そんな苦労の日々を乗り越え、古代ラテン語とギリシャ語など古典学の学士号を優秀な成績で取得。卒業式に臨んだフィリーパイさんは、自身が傾倒する古代ローマ帝国の有名な政治家兼詩人、ルキウス・アンナエウス・セネカの手紙を引用し「富や名声を求めれば、シンプルで誠実で尊敬される人生は送れない」と語った。

 今後も清掃員として大学に残るフィリーパイさんは「古代ローマやギリシャ古典学の修士号と博士号を取得し、教師となってアルバニア人のために自分の好きな古典を翻訳したい」と夢を語る。「豊かさとはポケットの中じゃなく、心の中にあるんだ」。卒業式後、メディアの取材に対してこう話すと、ほうきとちりとりを持って清掃業務に戻った。

(AP通信)

 


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