記事:発送電分離 自民党内の反対で「努力目標」に
政府・自民党は18日、大手電力会社の送配電部門を発電部門から別会社化する「発送電分離」を盛り込んだ電力改革の政府方針案を修正する方向で調整に入った。
当初案は発送電分離を18~20年をめどに実施し、関連法案を15年通常国会に提出する方針を明記していた。しかし、党内の反対が根強いことから、目標年限は残しつつ、法案提出や改革の実施については「目指す」との表現を加える方向だ。改革が「努力目標」に後退することで、発送電分離が事実上、骨抜きになる恐れもある。
政府は月内に発送電分離と家庭向け電力販売の自由化を柱とする電力改革案を閣議決定する。18日開かれた自民党経済産業部会などの合同部会では、発送電分離について、出席議員から「原発再稼働などが見通せない中、拙速に行うべきではない」などの慎重意見が噴出。
このため、政府・自民は、発送電分離の法案提出や改革の書きぶりを緩める方向となった。最大の焦点の発送電分離の実現性があいまいになれば、電力改革の大幅後退は避けられない。(ASAHI)
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電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」について、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は2月15日の記者会見で、「今の状況では(原発は)多分持てない」と述べた。送配電網が切り離されれば売り上げが減り、原発の維持費用などを出せなくなると心配しているからだ。
経済産業省の専門委員会は8日、「5~7年後をめどに分離を進める」との報告書をまとめた。電力会社の子会社に送配電部門を移す「法的分離」(別会社方式)を想定している。
これに対し、八木氏は「低廉で安定的に電気を送れるのか検証されていない」「お客さまの利益につながるシステム改革にはならない」と反対した。
追加記事:2013/3/28
発送電分離2018~20年めど実施 4月2日閣議決定:
安倍政権は、電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」を2018~20年をめどに実施する方針を固めた。電力システムの改革を段階的に進める政府方針を4月2日に閣議決定する。安倍晋三首相は改革に積極的な姿勢を明確にしたうえで、電力分野を6月にまとめる成長戦略の柱の一つに据える考えだ。
政府方針では、まず15年をめどに電力会社が地域を越えて電力を融通し合うための広域系統運用機関を設置。今は電力会社にしか認めていない家庭向け電力の販売を新しい業者にも認める「小売り自由化」は16年をめどに行う。そのうえで18~20年をめどに発送電分離に踏み切ることを明記し、そのための電気事業法改正案は「15年の通常国会に提出を目指す」とする。
発送電分離には大手電力会社の反発が強く、自民党内に実施や法案提出の年限明記を見送るよう求める動きがあった。茂木敏充経済産業相は経産省の専門委員会の報告書に基づき、18~20年をめどに発送電分離を実施するための法案を15年通常国会に提出するといった改革案を自民党の部会に提示。だが、党内から反対の声が相次ぎ、「提出を目指す」と表現が後退した。(ASAHI)
朝日新聞社
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